黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

今日は卒業式でした。

2007-03-23 15:14:01 | 近況
 今日(3月23日)は大学の卒業式(大学院は修了式)でした。昨年はこの時期スロベニアのリュブリャーナ大学で授業をしていたので、2年ぶり尾の卒業式ということになるが、毎年この時期になると、自分が大学のときは卒業式も入学式も経験しなかったので、なんとも言いようのない不思議な気持ちになる。「儀式」というものが本質的に好きではないからかもしれないが、どのような顔をして「式典」に参加したらいいのかわからなくなるからである。卒業生(修了生)のために、という名分を自分に言い聞かせて出席しても、決して居心地が良い訳ではない。年々学生との「濃密」な関係が築けなくなったせいなのか、それとも卒業したら「はい、さようなら」という学生たちが増えたせいなのか、その点は定かではないが、どうも汲々とした社会のあり方と関係しているようである。昔、僕らのころは「包丁一本さらしに巻いて」という歌の歌詞にかこつけて、「(卒業)証書一本さらしに巻いて、どこへ行くのも風任せ」などと嘯く学生がたくさんいたが、いまは卒業までに就職しなければと焦っている学生の姿を見たり、いい成績をとっていい会社に入って、というような風潮が蔓延している現実に接していると、悲しいかな、卒業式という「儀式」に虚しい風が吹いているように思えてならない。
 これもみな文学と「儀式」が相容れないものだからかもしれない。
 卒業式が終わると、入学式までの短い春休み。のんびりできるかと思うと、さにあらん、たまった原稿を書くのと、新著の刊行に関する作業が待っている。暇な時間がほしいのに…。

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