黒古一夫BLOG

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対米従属を強める安倍政権――安倍「ナショナリズム」の自己矛盾

2014-10-23 05:13:56 | 仕事
 安倍晋三という政治家、あるいは彼に率いられた政権が「現実」を直視せず「観念的」に過ぎるというのは、再三再四言ってきたことだが、この頃気になって仕方がないのが、その「対アメリカ」の在り様である。
 周知のように、安倍政権は第一次の時も、また2度目の今回も一貫して「アジア」を軽視し――その典型的な現れは、口では「いつでも対話の用意がある」と言いながら、未だに中国と韓国との関係は悪化したまま放置されていることに見ることができる――「日米同盟の強化」を謳ってきた。しかし、安倍晋三氏の政治信条である「戦後レジュームからの脱却」からして、日本の戦後が「日本国憲法」の施行が象徴しているように、歴史的事実として「アメリカ的民主主義」を基底に作られたものであることを踏まえれば、「日米関係の強化」と「戦後レジュームからの脱却」は、本質的に「矛盾」している、と言わねばならない
 だから、安倍晋三氏の言葉は「軽く」「観念的」と批判されるのだが、それはそれとして、僕がこの頃気になって仕方がないというのは、「集団的自衛権行使容認」に始まる一連の対米政策、具体的に言えば、米軍寄りをますます鮮明にしている「日米ガイドライン」の改訂問題、「沖縄・普天間基地の5年後の運用停止」(辺野古沖の米軍新基地の建設)問題、そして「宇宙監視体制」のおける日米協力(これは要するに、自衛隊に新しく「宇宙監視部隊」を創設し、アメリカと一体となって対中国を念頭に置いた「宇宙戦争」に備えるというもの)など、どう考えても「対米従属」の度合いを強めているとしか思えない。
 例えば、典型的なのは、「普天間基地の5年後の運用停止→返還」という20年越し、10年越しの課題に関しても、今度の沖縄知事選で立候補を表明している自民党推薦の仲井真現知事も、また菅官房長官も、あたかも「5年後」にはあの危険きわまりないアメリカによる沖縄線量を象徴する普天間基地が「運用を停止し」「返還」されるかのように言っているが、肝心のアメリカ(軍)は「辺野古沖の新基地」建設が完成しない限り、「5年後の運用停止」など約束できないし、現にそんな約束は日本政府のどの部局とも行っていない、と明言している。安倍政権お得意の、国内向けと外国向けの「二枚舌」をここでも使っているとしか思えないが、「沖縄の負担軽減」と言いながら、オスプレイの基地を普天間基地にした米軍の「横暴」を黙認してしまう、その「沖縄差別」としか言いようがない対米(軍)政策、その本質が">「アメリカ(軍)の言いなり」であることに、僕らは本気で怒らなければならないのではないか。
 この沖縄における「米軍基地」問題は、まさに戦後における連合軍(アメリカ軍)による「日本占領」の申し子のようなもので、もし「戦後レジュームからの脱却」を言うのであれば、まず最初に沖縄における米軍基地をはじめ日本国内における三沢基地や横田基地、横須賀基地、厚木基地、岩国基地、佐世保基地、等々の日本各地に散在する米軍基地の撤去を主張すべきである
 ところが、、そんなことはおくびにも出さず、「日米同盟の強化」を強調する。その結果は、集団的自衛権行使容認であり、「自衛隊の宇宙監視部隊」の新設が象徴するように、米軍と自衛隊の「一体化」であり「従属」の強化である――実は、これはアメリカ軍の指揮下に自衛隊が入る、つまり自衛隊は「専守防衛」の看板を捨て、アメリカ軍の一部隊として世界のどこへでも出掛け、アメリカ軍と共に戦うことを意味している――。
 何が何でも破綻しつつある「アベノミクス」=経済最優先政策を維持するための方策かとも思うが、一つだけはっきりしているのは、集団的自衛権行使容認の時にも言われたことだが、この安倍政権の「対米従属政策」によって、日本は近い将来確実に「戦争」に巻き込まれるだろうし、戦地(戦場)に出て行かざるを得ない自衛隊から、確実に「死傷者」が出る、ということである。 僕らは誰も、こんな形の「戦後レジュームからの脱却」を望んだわけではない。そのことをもう一度確認して、一つ一つ安倍「極右」政権に反撃しなければならない。

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