黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

人心一新? 一発逆転なるか?

2008-08-02 06:26:21 | 近況
 内閣支持率の低迷に苦慮していた(?)福田首相が、ついに内閣改造に踏み切った。遅きに失した感もなきにしもあらずであるが、自民党の役員人事を含めて、内閣改造と言いながら相変わらずの「派閥均衡内閣」、というよりは、必死の「挙党体制内閣」と言っていい、派閥の領袖(クラス)をずらっと並べた衆院の解散・総選挙を予想した改造内閣、昨日1日の「狂想曲」を眺めていて感じたのは、永田町(現実政治)と僕ら国民の生活感覚とがいかに乖離しているか、ということであった。
 あの顔ぶれで、福田首相は何をしようというのか。政治への国民の不満が沸点に達しているのを察知して、漁に出れば赤字にしかならない漁民に対して「緊急援助金」を出すことを決めたり(しかし、焼け石に水、と漁民の反応は冷ややかだという)、抽象的で実現の裏付けのない「社会保障5つの安心プラン」なるものを舛添厚労大臣(大言壮語癖のある彼は、今度の内閣で留任という)に発表させたりしているが、物価高に追い詰められ始めている国民は、果たして今度の内閣改造によって、自分たちの生活が保障されると思っただろうか。
 昨日は、諸々の条件が好転したので、しばらくぶりに、大腿骨骨折以来施設で暮らしている義母のところにひ孫を連れてお見舞いに行ったのだが、マスコミの報道通り、沿道のガソリンスタンドは軒並み「レギュラーガソリン1リットル 180円台半ば」の値段になっていて、群馬県のように公共交通機関が少なく移動をほとんど車に頼っている地域では、このガソリン価格の高騰にみんな悲鳴を上げているのではないか、と思った。現に、つくばと群馬(前橋)を週に一度往復している僕も、より安いGSを見つけて給油し続けてきたが、更にその傾向を強めないといけないな、と改めて思った。値上げ前までは毎週3000円ぐらいだったのに、今は5,6000円は当たり前になった。買い控えができればいいのだが、僕の場合そういうわけにもいかないので、かなり困る。自動車に乗っていない人、あるいは運転手付きの自動車を乗っている人などには分からないと思うが、小遣いの範囲でガソリン代を払っている人間にしてみれば、どんな美辞麗句を並べても、原油高が放置されていることには納得できないだろう。
 どうして福田内閣は、諸物価高騰の最大要因と言われる原油高を少しでも緩和させるために、あの物議を醸した「道路特定財源=暫定税率維持」を来年から「一般財源化する」などと悠長なことを言っていないで、もう一度検討し直さないのか、もしあの悪名高い「道路特定財源=暫定税率維持」を撤廃して、ガソリンや軽油・重油の類を例え25円、30円でも値下げすれば、内閣支持率などあっという間に上昇すると思うのだが、目線が僕ら国民と同じになっていない福田首相(及び政治家たち)にそのようなことを要求するのは、どだい無理か?――またぞろ自称「ネット右翼」の「若者」たちに突っ込まれないように、急いで付け加えておきたいのは、あれほど与党の「道路特定財源=暫定税率維持」を批判していた野党(民主党)が、こんな物価高の事態になっているのに、この問題について沈黙している理由は何故か、ということである。まさか、「来年度に一般財源化」という言葉に安心してしまったということではないだろう。――
 ともあれ、今度の「内閣改造」で期待できるものは何も見あたらない。酷い言い方になるかも知れないが、せめて閣僚の誰かが不祥事(スキャンダル)でも起こして、第二次福田内閣が早期に「解散・総選挙」を実施してくれることを望むだけである。民主党が政権を取ったからといって、民主党にも自民党と「同じ穴の狢」がたくさんいるので、そんなには期待できないが、少なくとも、長年「野党」という冷や飯を食ってきた(悲哀を味わってきた)経験から、いくらかでもマシな政治をしてくれるかも知れない、という「淡い期待」は持っても良いのではないか、と思っている。
 庭の片隅で飼っている「ヒメダカ」の水槽も、大雨が降ったり、風が吹いたりしないと、水が澱んできて(腐ってきて)、水ヶ江をしてやらないと、中で泳ぐヒメダカの活動も不活発になる。そのことと同じように、政権も「安定多数」に安住していると、その政権を支える官僚と共に澱んでくる。それは、僕らが長年見てきた光景である。もうたくさん、というのが国民の本音ではないか?
 国民は本当の意味での「人心一新」を願っているのである。しかし、今度の内閣改造での「一発逆転」も期待薄となると、もはや僕らは政治家と共に腐っていくしかないのか、と思えて悲しい。何とかしないと……。

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6 コメント

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Unknown (「いばらき」です。)
2008-08-02 20:28:06
暑中お見舞い申し上げます。いかがお過ごしですか?
3月の先生の日記にコメントを書きこんで以来、何の返事もできずに申し訳ございませんでした。

しかし先生のブログ、大変なことになっていますね。

書き捨てにも近いコメントにも、真摯になってお返事を書かれていらっしゃる。
相当なエネルギーを費やしているのでは?
と、いささか心配になってしまいます。

私が大学生だった頃に、パソコン通信やインターネットが普及し始めましたが、その頃は、利用者も少数で、かつ良識のある人も多く「文字だけのコミュニケーション」に関して初心者だった私に、当時のユーザーの皆さんは、ネット上で親切にアドバイスをしてくれました。

その後、「ネチケット」や「ネットマナー」といった、ネット上で心得るべきマナーやルールが広がっていきましたが、某巨大掲示板が出現したころを境に、これらのマナーを平気で無視する人たちが増えてきました。

※ 某巨大掲示板は、いわゆる「ネットの歌舞伎町」であると、私は考えていますし、主宰者も某新聞社のインタビューでこのように答えていました。

情報リテラシーをしっかり持った上でならば、大いに遊ぶことができる場所ですが、しっかりした遊び方を身につけずに、さらに、そこでの不確かな情報に踊らされていることに気づかないまま、それ以外の場所でも同じ振る舞いをする。

あたかも、ちょっと歌舞伎町を歩いたぐらいで、その街のすべてを知り尽くしているかのような大きな顔をして、歌舞伎町以外の街でも、同然の振る舞いをする。

※ 先生が以前に書かれた、女子学生が先生から借りたものを紛失した日記が、某巨大掲示板に歪曲されて書かれているのを見つけましたが、それを何の疑いもなく真に受けた2人が心無いコメントをしていました。

自分でブログを作らずに、だれしもが起こしがちな他人のブログに書かれてある発言に、タメ口で、かつ、汚い言葉でバッシングをする。

こういう形でしか、世の中の不満を吐くことができない悲しい輩なのは、先生も熟知されていると思います。「言った者勝ち」は、自身のブログの世界でしか通用しないことを知らずに。

よほど、自分たちに自信がおありなのでしょう、彼らは。
私にそこまで言える度量はないのかもしれませんが、いつのまにか、日本人の心の中から「謙虚さ」が消えているように思います。

「ネットウヨク」を自称しておきながら、日本古来の伝統をそれだけ理解しているのでしょう??

こう書くと、彼らは「謙虚さを無くして、われわれに教えなかったのは、あんたたち左翼だろうが!」と言うのでしょうが、それぐらい自分たちで身につけなさい、と僕は言いたい。

でも、彼らの言い分も僕にはまったく理解できないわけではありません。

僕も「就職氷河期世代」に当てはまる世代ですから、先回りせず何の手も打たないまま権力争いばかりしていた当時の閣僚たちには不満があります。「55年体制」が崩壊して、野党連合が政権を握っても、何の解決もしなかった。

そのことを知ってか知らずか、実現不可能な政策を掲げて、票集めに奔走している(ように見える)現在の野党にも不満を持つ彼らは「消極的選択」で自民党を支持するしかない。

それでも、湧き上がる「不満」をどこに吐いたらいいのか?
日本のために今、懸命に頑張っている(ように見える)自民党を、頭ごなしに批判している(ように見える)左翼の人たちに向けているのです。しかも、「人生勝ち組」と呼ばれている団塊の世代の人たちに。

ただ、それにしても、彼らのコメントは書き方もやり方も汚い。
他人のブログなのだから、主を嘲笑するような汚い文章はやめたほうがいい。
私のようなROMである第三者が見ても、正直いい気はしないし、同情も薄れる。見てて非常に見苦しい。

このような一個人のブログに余計なエネルギーを注ぐだけ、時間の無駄ではないですか?

それよりも、自分たちで自身のブログを立ち上げて、そこで、黒古先生のように、不満を大いにぶちまけたほうが、よほど有意義なのではないか、と思うのですが。

もちろん、「ネチケット」もきちんと身につけながら。
「謙虚さ」も身につけましょう。身に付いているのなら、その姿勢を表現しましょう。それが、今の世を渡っていく上で、重要な要素ですよ。
コミュニケーションは「謙虚さ」から始まるのが日本社会です。

私自身のブログは現在閉鎖中(サーバーを移転中)ですが、近いうちに復活させたいと考えています。

ブログを汚してしまい大変失礼しました。
また、近いうちにまともなコメントを書きたいと思います。
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何度もすみません (再び「いばらき」です)
2008-08-02 20:33:45
>> 「ネットウヨク」を自称しておきながら、日本古来の伝統をそれだけ理解しているのでしょう??

「それだけ理解」じゃなくて、「どれだけ理解」の間違いです。
本当にご免なさい。
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「いばらき」君へ (黒古一夫)
2008-08-03 07:02:52
 「弱者」を気取って、自分以外の人の「成功=勝ち組」(?)を羨むことしかできない輩に対して「反論」を書くことは、べつに何の苦労もありません。ただ、彼らの偏向した「文章の読み方」や「ルサンチマン」の強さ、「嫉妬深さ」にはいささか閉口し、対応に「疲れ=消耗」することは確かです。
 とは言え、誰かが(僕でなくても良いのですが)きちんと対応しないと、彼らの「歪んだ論理」は正されないのではないか、と思い、「もういい加減にせい!」と思いつつ、対応しているのです。「遊んでやっている」と言ったら、また彼らは決して「強者」に向けない牙をむき出しにして、僕に襲いかかってくるかも知れませんが、「権力」の恐ろしさをいささかでも知っている僕としては、彼らの「世迷い言」など何でもありません。ただ、今書いている「書き下ろし」が遅くなることだけが気掛かりですが、それも今は夏休みなので、何とかなります。
 心配してくれて、大変ありがたく思います。君と同じように、顔を合わせると「大丈夫ですか」と言ってくれる人もいますが、いつも「あんなの大丈夫です」と答えていますので、ご安心を。
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猛暑お見舞いと、「ジコチュウの起源」 (雄三)
2008-08-03 16:13:36
こんにちは。
 「ネット右翼」の「嫉妬深さ」、やはり当人たちの知らぬ、例の「幼少時の放任」に由来するんでしょうか。食事だけ与えられて、テレビの前に座らせられて育ったのでしょうか・・・。オシメなどもきちんと交換してもらえず、疎まれた育てられた幼少期…。その後も放任で育ったため、他人の気持ちを慮るなど、到底有り得ないお方々の「大人になった姿」。
 本人の意識しないごく幼少期に、ツネられたり引っぱたかれたり、車の中に長時間、「忘れたまま」にされたりして、放任ぎみに育った人たちが大きくなり、相手の顔が見えないパソコンや、暗闇、ナンバーを隠した車など「密室状態」になると豹変して、あちこちで、いやがらせをして、憂さを晴らします. パソコンの例ですと、バイアスの設定が、普通のパソコンと異なるお方といえるそうです。
 
 脳の配線も普通の育ちの人とは、ちょっと変わっていて、論議してもらちがあきません。ジャンクな食事を与えられたり、きちんとした時間に食事を摂れなかったりすると、脳の配線の方も、通常の人間とは異なる配線になるんだそうです。

スーザン ジョージの『 なぜ世界の半分が飢えるのか 』 
「栄養学者は、妊娠後期と出産直後に、カロリーと淡白質が不足すると、脳に取り返しのつかない損傷を受けると警告している。脳細胞が盛んに増殖するこの時期に栄養が不足すると、後になっていくら食べさせられても、手遅れとなるのである。」
「・・出産直後にカロリーとたんぱく質が不足して栄養失調になった子供の場合は、500人のうち62%が、IQ80以下だったという....」
 "How the Other Half Dies"  Susan George  1977.

 村上龍の「コインロッカー」ではありませんが今、そうした人間がたくさん増殖し、「自己中」と呼ばれ、疎まれる世の中となりました。
連中の特徴として、愛情をもって育てられた普通の人々のことが、嫉ましく嫉ましくてならないんだそうです。以後、そうして妬みの世界に生きるわけです。『フライデー』とかゴシップ雑誌の「読者」も、それだそうです.

 そちらは、三十五℃以上の猛暑という報道でした.どうかご自愛下さいませ.
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ありがとうございます。 (黒古一夫)
2008-08-04 06:08:11
 文字通り「猛暑」の日々が続いています。昨日(3日)今夏初めて仕事部屋のクーラーを入れました。僕の仕事部屋は、自宅を建設するときに友人の大工さんに「注文」して2階に作ってもらったので、南側と東側の窓を開けておくと、普段はかなりの暑さまでしのげるし、クーラーが余り好きではないということもあって、昨日まで何とか我慢していました。しかし、昨日はパソコンを打っていても、本を読んでいても汗が垂れてきて、もう限界、とばかりにクーラーを入れたのですが、28℃の部屋での仕事ははかどりました。
 さて、雄三さん、いつも適切なアドバイスと提言、感謝しております。「ネット小僧」たちへの対応は、時に煩わしいときもありますが、僕なりに対応することで、偉そうに言えば「迷える人たち」に何らかのヒントを与えることができるのではないか、と思い、「遊び心」(なんて書くと、また彼らを刺激するだろうか?)でやっておりますので、ご安心下さい。また、彼らとの対応は、何十年か前の「党派闘争」(あくまでも「論争」におけるそれです。ゲバルトを伴うものは、当時も僕は否定していました)を思い起こさせ、正直言ってファイトが沸きます。
 群馬の片隅から、どんな些細なことでも「異議」を述べていこうと思っています。
 話は変わりますが、「三角ホー」手に入れました。久し振りに別な用事でホームセンターへ行ったとき、雄三さんの言葉を思い出し農機具売り場を覗いたらありましたので、早速購入して使い始めました。腰をかがめないでも、相当しぶとい雑草も簡単に抜くことができ、家人共々喜んでいます。その勢いで、一昨日は、「タクワン用」の大根栽培(5軒分もタクワンを付け、また「ハリハリ漬け」も作るので、例年250~300本の大根を作ります)のために、1回目の畑起こしをしました。これから、牛糞や豚糞、鶏糞などと昨秋集めておいた落ち葉(腐葉土)を鋤込み、もう一度耕してから種を蒔きます。今年のこの暑さ、いつ種まきをするか、思案中です。いつもは「農事暦」に従って8月下旬に蒔いているのですが……。
 以上のように、僕は元気です。雄三さんも暑さが続く折、どうぞご自愛下さい。
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先生の大根 感服いたしました. (雄三)
2008-08-07 00:01:35
 エネルギッシュなお返事をありがとうございます.おおっ、大根、250~300本! 収穫量は800kg~1tではないでしょうか!(^^;
 いや~先生の「家庭菜園」のスケール、本当に感服致しました。理想的な有機質肥料を使い、二度も耕されるとのこと、やはり精農家と呼ぶにふさわしく思われます.本当に感服です.私などは、馬鈴薯の跡地に、無追肥で、小ぶりの内木源助大根や、中国の紅芯大根を植える程度です。
 
 沢庵用となりますと、大きな練馬型と想像します。先生の精力的な「家庭菜園」といい、これまでクーラなしでお仕事されていらした事といい、先生の精力的なお姿、これからの日本国民にとって、広く国民の手本となすべきものと、拝見させて頂きました. 
 ナチの雑魚どもの相手などせず、文学評論の御合間に、是非とも、先生の「家庭菜園」の意義と真髄をご執筆頂きたく存じます。 「有機農業」という語彙を用いていた灰谷健次郎「ファン」の誤解も、吹き飛びます事、まちがいありません。また、 先生の農の真髄を明らかにされ、「自然農法」「自然農」「何々農法」の類を批評、喝破、粉砕されたし。
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