黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

『ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ―「核」を考える』近日刊行

2011-10-21 04:47:33 | 仕事
 8月末締め切り、ということで広島や長崎はもちろん、北は北海道から南は沖縄まで各地で活躍している文学者に寄稿を依頼していた『ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ―「核」を考える』が、いよいよ近日刊行の運びになった。アメリカ、インド、トルコからの寄稿者を含めて総勢17名、ヒロシマ・ナガサキやフクシマについて「生命」の存在と深く関わる文学に携わる人間に相応しく様々な意見が寄せられた。編者として、今最後のゲラ点検をしているところだが、寄せられた原稿を通覧して、手前みそ的な言い方になるが、現代文学に関わる人たちというだけでなく、現代人の「良心」を今感じている。
 「目次」を紹介して、前宣伝にしたいと思う。

『ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ―「核」を考える』目次

第Ⅰ章 私たちはヒロシマ・ナガサキから何を学んだのか?
 ・若い人たちへの希望―ヒロシマ・ナガサキからフクシマへ   (対談)林京子×黒古一夫
 ・「何とも知れない未来」に向かって―原発がつくるヒバクシャ 満谷マーガレット(翻訳家 アメリカ)
 ・ヒバクシャとともに生きる                 三浦精子(作家 広島)
 ・広島から福島第一原発事故への様々な思い          古浦千穂子(作家 広島)
 ・「フクシマ」その前・その後                伊藤真理子(詩人 東京・広島)
 ・トルコにて「フクシマ」を考える
    ―チェルノブイリ・原爆文学・フクシマ         フィリズ・ユルマルズ(トルコ)

第Ⅱ章 私たちは核にNOと言ってきたか?
 ・「ヒロシマ・ナガサキ」から「フクシマへ」
    ―「核」がもたらす隠蔽と差別の構造           黒古一夫
 ・債務支払いの覚悟を―原発損壊が告知するもの         菅 孝行(劇作家 東京)
 ・福島の未来を予言した詩人は夢想家ではなかった
    ―村上春樹氏への公開書簡                鈴木比左雄(詩人 東京)
 ・核状況を拒むセカイへ・セカイから
    ―ナウシカ・AKIRA/エヴァンゲリオン・そしてCOPPERION   田村景子(研究者 東京)
 ・原発と落書き―鶴彬・岡本太郎・Chim↑Pom           楜沢健(批評家 東京)

第Ⅲ章 私たちは福島からどこへ向かうのか?
 ・若い兵士たちの死顔は美しかったか              (対談)辻井喬×黒古一夫
 ・人類は核で死滅する                     小檜山博(作家 北海道)
 ・琉球弧から視る核時代批判                  高良勉(詩人 沖縄)
 ・部屋の中の象、あるいは世界の終わり
    ―北陸の地で考える、アナロジカルな黙示録的状況     雪谷コウ(作家 石川)
 ・基点に立ち返る                       横手一彦(研究者 長崎)
 ・未来は私たちのものです―推進か反対か、岐路に立つインドから ナレシュ・クマール(インド)

 原発や核に対して様々な言説が飛び交っている今日、この本が「屋上屋を重ねる」ことになるのか、それとも新しく問題提起を為す本として受け取られるのか、それは僕らの判断ではなく,この本を手に取ってくれた人の判断に委ねられると思っている。是非多くの人が手に取ってくれることを願っています。
 定価や正確な発行日などはまだ決まっていませんが、多くの人に読んでいただきたいので、版元と相談して僕のブログを読んでくださって版元へ直接注文した人には何らかの「特典」が得られるようにしたいと思っています。詳しいことは、刊行日が決まった時にお知らせします。
 よろしくお願い致します。