牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

素牛を吟味し過ぎでは

2009-10-07 21:55:50 | 素牛


最近は、写真のように口が大きくて、顔の大きい牛が減りつつある。
肉質を期待するが余り、但馬系の血液割合の高い素牛が増えつつあるからである。
確かに肉質は改善されるが、その分枝肉量が少ない。
そのため、これらの交配産子は、一見キャシャに見える例も少なくない。
肥育する側では、写真のように体各部にボリューム感のある牛の方が、罹患率も低く食欲が旺盛で、増体速度も高く実に飼い易いのである。
第7糸桜号や平茂勝号の出現により、一見外国種ではないかと思わせるような体高に優れ、体幅に優れ、体積豊かな素牛が一時代を風靡した。
肩付きの弱さはあったが、その分素晴らしいボリュームから枝肉量が確保でき、その程度の充実したものほど肉質も期待できた。
ただし、ロース芯のサシの荒さが但馬系のものとは若干異なった。
その荒さが市場性には今一として、但馬系の素牛が好まれているのであろう。
食い込みだけを意識できた増体型と異なり、但馬系の素牛は、増体型並みの肥育法では得てして失敗するケースがある。
いずれにしても、増体型の次は肉質系とばかりに最近は兵庫産や飛騨産の子牛が人気があり高値で競り落とされている。
しかしながら、枝肉市場では、増体型だとか、肉質系だとか呼ばれている何れの素牛からも、グランドチャンピオンが選定されている。