発育と体型の良さを吟味して、それ相応の価格を設定して競り落とすをモットーにしていても、導入担当者のボタン操作一つで、思惑違いの牛をつい競り落としてしまったということがままある。
写真の子牛は、諸にその類の導入牛である。
体調はまずまずであるが、体幅と体深に欠け、若干生気にも問題がある。
中でも、身体の深みに問題があり、下ケン部が切り上がり、腹部のボリューム感が無く、典型的な巻腹で、おいそれと増体し難いタイプである。
この様なタイプの素牛は、肥育して仕上がったとしても、枝肉重量は精々420kg程度にしか成らない。
この牛に期待を掛けるとするならば肉質しかないが、それを生かすには食い込みが順調であって始めて期待通りとなる。
常に一定以上の食い込みが無ければ、増体もしないし、体脂肪の蓄積もおぼつかない。
つまり、個体管理的に手心を掛けてやるしかない。
多頭化する場合、その様なことはつい疎かになりがちだ。
結果的に肉量も肉質も虻蜂取らずに終わってしまう。
手心を加えてやるとしたら、この様な素牛は、出来るだけ乾草など粗飼料をやや長期に食い込ませ、7~8ヶ月以降から肥育配合を与えて、徐々に徐々に増量し、7kg程度に至った段階で、摂取量が常に一定になるような飼い方が、妥当だと考えている。
体調異常などで、食い込み量が多かったり少なかったりした場合は、結果的に厳しいものになる。
前述したが、兵庫系や写真の牛などは、常にコピー状態での肥育が功を奏するようである。
38万円で落札した牛であるため、枝肉価格は最低78万円以上で販売出来ないと赤字となる。
と、なるとkg単価が1,860円以上すればトントンとなる。
現相場では厳しいものがあるが、何れは、何らかの結果が出ることになる。
子牛生産に置いても、品質の向上を図ることが期待されるが、購買者もそれ相応の見る目が不可欠である。