牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

子牛の毛色

2009-03-07 16:37:17 | 素牛


最近の導入牛に赤茶けた毛色の牛が意外と多くなった。
今月導入した奄美牛の写真であるが、その70~80%がこの様な体毛をしている。
奄美地方でも、宮崎県産の系統牛が、かなりの割合で導入され、安平、隆桜、糸秀、福桜などが2代祖3代祖に名を連ねているが、毛色はそれらの影響ではないかと思われる。
子牛市場では、赤茶けた素牛を好んで欲する購買者がいる。
それらの中に、肉質の良好な成績を残したことがあるからであろう。
前述したが、毛色と肉質の関係は、必ずしも深いとは言い難い。
以前肥育牛を生体取引していた頃は、和牛の審査標準の資質項目で良好なものは肉質がよいとされていた。
が、生体牛を競り落とした卸屋さんらは、その結果については、いつも「あかなんだ!」の一言しか返ってこなかった。
当時は、購買者個々の審査眼があって、肉質を予測していたはずであるが、それらの確率については、その全てがやぶの中で埋もれ去っていった。
やがて、65年以降枝肉市場が開設されてからは、審査標準どおりの結果でない事実が判明した。
驚いたのは、第7糸桜号の産子の発現であった。
和牛やホル黒F1牛などについて、枝肉の産肉生理に関する研究の中で、第7糸桜号の産子を100頭程度生産して供用したが、毛色はホルスタイン種の黒色並で、骨太で、背が抜けて体高が高く、増体能力に優れ、和牛らしさには欠けた感があったが、肉質に置いては、優れたものが現れたことであった。
肉質は、係る経済形質に関係する遺伝子を有することで、その結果が得られるのだと、実感したものである。
極論で言えば、赤茶けた色が肉質と関係が深いなら、何も黒毛和種に限ることではなく、褐毛和種や日本短角でも期待できるはずである。
ところが、そうは問屋が卸さない。
要するに遺伝子が左右するからである。
毛色は論外で、市場名簿に記載されている諸々のデータと発育と健康状態を勘案しながら、競り価格を決めるしかないのが現実である。
余談であるが、20年以前になるが、褐毛和種、とくに高知県産については、黒毛和種同様で3~4等級程度の枝肉を生産したことがあった。
また、褐黒の交配種でも同様の結果を得たものである。