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麻生副総理の発言

2013年08月01日 | 憲法を生活に生かそう
 鎌田慧 公式ブログより転載

 麻生副総理の発言

 この発言、撤回しないよりはした方がいいとしても、問題が大きく、詳細に論じようとすれば、量も厖大になるので、ポイントを数点だけ、列挙します。
1)1933年国会議事堂放火事件がおこり、政権与党になっていたドイツ・ナチス党は、国会内でも第三党で100近い議席をもっていた共産党の陰謀と決めつけ、多数の共産党員と第二党の社会民主党員とを大量逮捕した。そのどさくさのなかで、議会の3分の二の賛成によって制定したのが「全権委任法」であった。国会が、政権与党の党首ヒトラーに対して、立法権を譲り渡すという内容で、立法・行政二権を掌握することでヒトラーはワイマール憲法より上位に立つことになった。最も民主的な憲法と評価の高かったワイマール憲法は有名無実化し、独裁者が誕生したのである。
ところで、放火事件は、ナチスの陰謀とする説と精神疾患のあるひとりのオランダ人による犯行説とに分かれている。
2)麻生副総理の意図は、このナチスが進めていったような「全権委任法」(授権法)を用いて、国民が知らない間に憲法を効力のないべつのものになっていたというような方法だったのか。この点を、国会喚問ではっきりとその意図をしりたい。
3)「あの手口を学んだらどうか」と「悪しき例」では、まったく意味が逆である。このことをどう説明するのか、国会喚問ではあきらかにしてほしい。発言者が、市井のお年寄りの放言なら撤回ですむことだが、政権の中枢にある人物の発言である。その真意を糺すのは不可避である。
4)7月29日の夜の講演会での麻生発言だが、翌朝、ほとんどの新聞は取り上げず、日本経済新聞だけが、よほど注意して見なければ気づかないほどの小さなスペースで掲載していた。東京新聞は31日。きょうになってようやく多くの新聞が紙面に取り上げた。また、野党からの追求の声もまだ聞こえてこない。おもな国会議員のホームページを見ても、だれも書いていない。なぜだろう。
アジア諸国からだけでなく、アメリカの議会におけるロビー活動でもっとも力をもつユダヤ人団体からも、すぐに抗議声明が出された。それで初めて新聞は書いた。様子を伺いながらの報道はやめてもらいたい。麻生発言の危険性や重要度がわからないはずはないだろう。圧力がかかったのなら、そのこと自体を訴えるべきだ。
5)ドイツでは、20世紀最大の哲学者と目されることも多いハイデガーなどそうそうたる知識人が、ヒトラーを賛美し、反ユダヤ主義を後押しした。ハイデガーは敗戦後、大学からの追放を免れるために、ナチスへの加担は誤解にすぎない、と弁明した。しかし、死ぬまで反ユダヤ主義を変えることはなかったのである。排他的民族主義やホロコーストにまで至る差別意識がいかに魔力をもっているかの一例である。
6)このような「悪」をいかに克服するかが、戦後ドイツの最大の課題であった。過去を克服するのは、隠蔽によってではなく、真実を明らかにすることで、はじめて可能になる。
ドイツの場合、侵略した近隣の国々の識者とともに、誰もが納得する歴史的真実を追究した。わが国は曖昧なまま、忘れようとした。この違いが、わが国では戦前の亡霊が姿をちらつかせ、また麻生発言がうまれる要因なのである。〈
管理人〉 
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