☕コーヒーブレイク

時が過ぎていく。
ときには、その日の風まかせ。
ほっとひと息しませんか。

小説 散り椿を読んで

2017-04-15 12:35:33 | 日記
葉室麟さんの【散り椿】を読んで込み上げてくるものがありました。

病床に臥している妻が「春になれば椿の花が楽しみでございます」
「散り椿か」男はため息をついた。
妻はもう一度故郷の散り椿を見てみたいと、胸に秘めてきた想いを
語り始めた。
「わしはそなたに苦労ばかりさせて、一度もよい思いをさせた
ことがなかった。そなたの頼みを果たせたら褒めてくれるか」
「お褒めいたしますとも」妻の目には涙が滲んでいた。

「散る椿は残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの」
「ひとは大切に思うものに出会えれば、それだけで仕合わせです」
など、心に残るフレーズと言葉がいくつもありました。
時代小説による夫婦の純愛物語でもあり、生きることの意味を考え
させられました。