1年前の記事を再アップします。
全国亭主関白協会とは
「関白とは本来、天皇(妻)に次ぐナンバー2の地位」。
つまり、家庭内で奥様をチヤチヤともてなし補佐する亭主の
集まりです。
全亭協のシンボルストーリー(実話)を、一部省略して紹介します。
例年より桜の開花が遅れていた。総合病院のエントランス脇にある
数本の桜も春の訪れを待ちわびている。
妻は乳がんが全身に転移していて、余命幾ばくもないと、家族みんな
が知っている。
高3の長女、高1の長男、中2の次男と家族全員が揃ったのは久しぶりだ。
子ども達の近況を聞いてた妻が、少しの微笑みと共に、私の方に目を
やると、唐突に「あなた、キスして」と言った。
二人の看護師さんと三人の子供たちには聞えたのだろうか。一瞬ハッと
したが、ためらいもなく唇を重ねた。生涯の中で、こんなに長いキスは
初めてのような気がした。薄目を開いてみれば、ひとすじの涙が頬を
伝っている。そっと唇を離すと、嬉しそうに、だが、「短いのね」と
すねてみせた。看護師さんも子供たちも見て見ぬふりをしていたような
気がしたが、私は「二人っきりの時にリクエストくれよ」と頭を掻いた。
精一杯の照れ隠しだったが、病室は静けさに覆われている。
やがて深い眠りが訪れたのを確かめて、病室を後にした。涙で、病院の
廊下がゆらゆらと揺れていた。それから二週間後に妻は息を引き取った。
満開の桜の下で遺影を抱いた長女が、「あの時のお母さん、とっても
幸せそうだったね」とポツリ。
子供の前で交わしたキスからもう3年が経った。
三人の子供たちも真っ直ぐに育っている。
君の、最後のメッセージは。決していい夫ではなかった私の心にも、
永遠に灯っている。
そして二度と交わすことの出来ない、君との「10秒のキス」を一生
忘れないだろう。
全国亭主関白協会とは
「関白とは本来、天皇(妻)に次ぐナンバー2の地位」。
つまり、家庭内で奥様をチヤチヤともてなし補佐する亭主の
集まりです。
全亭協のシンボルストーリー(実話)を、一部省略して紹介します。
例年より桜の開花が遅れていた。総合病院のエントランス脇にある
数本の桜も春の訪れを待ちわびている。
妻は乳がんが全身に転移していて、余命幾ばくもないと、家族みんな
が知っている。
高3の長女、高1の長男、中2の次男と家族全員が揃ったのは久しぶりだ。
子ども達の近況を聞いてた妻が、少しの微笑みと共に、私の方に目を
やると、唐突に「あなた、キスして」と言った。
二人の看護師さんと三人の子供たちには聞えたのだろうか。一瞬ハッと
したが、ためらいもなく唇を重ねた。生涯の中で、こんなに長いキスは
初めてのような気がした。薄目を開いてみれば、ひとすじの涙が頬を
伝っている。そっと唇を離すと、嬉しそうに、だが、「短いのね」と
すねてみせた。看護師さんも子供たちも見て見ぬふりをしていたような
気がしたが、私は「二人っきりの時にリクエストくれよ」と頭を掻いた。
精一杯の照れ隠しだったが、病室は静けさに覆われている。
やがて深い眠りが訪れたのを確かめて、病室を後にした。涙で、病院の
廊下がゆらゆらと揺れていた。それから二週間後に妻は息を引き取った。
満開の桜の下で遺影を抱いた長女が、「あの時のお母さん、とっても
幸せそうだったね」とポツリ。
子供の前で交わしたキスからもう3年が経った。
三人の子供たちも真っ直ぐに育っている。
君の、最後のメッセージは。決していい夫ではなかった私の心にも、
永遠に灯っている。
そして二度と交わすことの出来ない、君との「10秒のキス」を一生
忘れないだろう。