今日も朝から恐妻の屁の音が聞こえてくる。
安物の打楽器を下手に打ち鳴らすように。
目覚めの悪い私は「朝から屁をこくのは止めてくれないか」
鼻をつまんで哀願する。
「朝の屁はダメという法律でもあるかしら」と妻はスッキリした顔で
のたまう。
ここで法律を出してくるところが、いかにも妻らしい開き直りである。
それならと、政倫審ならぬ【家庭倫理審査会】に屁の排除時間条令を
提出したいが、二人きりの出席だけに主導権は取れなく廃案になること
確実である。
自宅にいる時は、朝、昼、晩と一日中放出している。昨日は寝転んでる
私の顔目がけて上から戦闘機の爆音に勝るとも劣らないような屁をこいた。
花も恥らう乙女だった妻は、どこでどう道を踏み外したのか、今はただの
オナラ妻に成り下がってしまった。
「他のところでは絶対しないから、だいじょうぶよ」 信じられないです。
「万が一したとしても、その時はスカッシ屁でわからないようにするから
安心して」 他人のせいにして知らんぷりするみたいだ。
分かったことは、恐妻にとって屁をこくことは’へともおもわぬ’(屁とも思わぬ)
’へのかっぱ’(屁の河童)ということである。