やっと妻の化粧が終わったようだ。
「ねぇ ねぇ見て! 私ってスゴクキレイだと思わない」
<別に、ゴリラと比べたらそうかも知れない>
「今日も化粧の乗りがいいのよね。ほれぼれしちゃうわ」
<確かにおだてには乗りやすいことは間違いない>
相づちを求める恐妻に「キレイだ、美人だ、チャーミングだ」と
私の誉め言葉3原則で応えると、身の程も知らずに、さらに
調子に乗って「私って20歳ぐらい若く見えるわね、きっと」とのたまう。
<エッ それはないでしょう。 気は確かだろうか>
妻の発した驚愕の言葉に、一瞬気を失い倒れそうになった。
こんな妻も乙女の頃は可愛かった。私はくちべにをプレゼントした
こともありました。 「なにかあたしもお返ししないとね」と喜ぶ妻に
「その口紅をキッスで返しくれ」と。 今思い出すと妻は顔を赤らめて
恥ずかしそうにしてましたよ。
そんな時代もありましたが、今は図々しさを化粧で隠すようになりました。