小部屋日記

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宮廷画家ゴヤは見た

2010-08-27 | カ行の映画

Goya's Ghosts(2006/スペイン・アメリカ)【DVD】
監督:ミロス・フォアマン
出演:ハビエル・バルデム/ナタリー・ポートマン/ステラン・スカルスガルド/ランディ・クエイド/ホセ・ルイス・ゴメス/ミシェル・ロンズデール

それは、立ち入り禁止の、愛

ゴヤというと、スペインを代表する画家。「裸のマハ」が有名ですが、おぞましい絵を描く画家という印象があるんだけど宮廷画家だったとは知らなかった。
18世紀末、ゴヤの目からみた当時の社会、異端審問によって狂わされていく男女の人間ドラマ。
視点がさだまらなくて戸惑いながらも、見応えあり。
見終わったあと「アマデウス」の監督さんだと知って納得!


ゴヤのモデルになった美しい少女と神父。
少女は異教徒だといわれ異端審問所で拷問をうけ牢獄にいれられる。拷問で無理矢理認めさせるなんて卑劣。
宗教って救われることもあるけど、縛られるのも恐ろしい。


審問官でもある神父が節操がない人で、少女を追い込みながらも失脚させられ逃亡。
ナポレオン軍の手先になり教会を否定したと思ったら、数年後牢獄から出た少女と再会。
少女も神父も波瀾万丈人生ですねえ。
スペインはその後、ナポレオンがひきいるフランス、イギリス軍の侵攻で地獄をみることになる。
ゴヤの気味悪い絵にはその当時そのままが描かれていたんですね。
邦題どおりなんだけど、もう少しアートチックな題名のほうがよかったな。


神父役のハビエル・バルデムがあいかわらず濃くて、何考えてるかわかんないところある。
それにもまして少女役のナタリー・ポートマンの熱演にびっくりというか、ショック。。
美貌があんなふうになるとは・・役者魂をみた。
ゴヤ役のステラン・スカルスガルドもいいんだけど、ハビエルとナタリーに完全に食われてたかな...

人間は思想、権力、戦争に翻弄されてしまう生き物。
醜さも伝わってきて、後味も悪いですが完成度は高いです。


★★★★(5段階☆は0.5)

公式サイト

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乙女の祈り

2010-08-27 | ア行の映画

Heavenly Creatures(1994/ニュージーランド・アメリカ)【DVD】
監督:ピーター・ジャクソン
出演:メラニー・リンスキー/ケイト・ウィンスレット/サラ・パース/ダイアナ・ケント/クライブ・メリソン

さあ、愛のために、ママを殺そう。

1954年にニュージーランドで実際に起きた殺人事件の映画化。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」「ラブリー・ボーン」のピーター・ジャクソン。
脚本はジャクソン監督の妻であるフラン・ウォルシュ。


クライストチャーチの女子高に通う内気なポーリーンと、イギリスから転校してきたワガママ娘のジュリエット。育ってきた環境はちがっても、しだいに惹かれ合う二人。
空想好きの二人は日記や詩、物語をつくって、将来作家になることを夢見る。
森を下着で走りまわったり、二人だけの楽園をつくるのだ。


仲の良さがレズビアンなのかどうかは判断できないけど、親密になっていくふたりを心配した親たちは、無理矢理引き離そうとする。
そしてポーリーンとジュリエットは計画的犯行によって、ポーリーンの母親を殴り殺す。それも執拗なんだよね・・実際、母親の体には45か所も傷が残ってたらしい。


妄想が激しいのは女性はよくあるけど、思春期の頃ってエキセントリック。
傷つきやすく未熟な時代。暴走すると止まらなくなる。少年、少女のキレる事件は現代にも通じるものがあるかな。
二人の少女が夢想するファンタジーシーンは監督らしさが出ていて、「ロード・オブ・ザ・リング」につながるんですね。
ジュリエット役のケイト・ウィンスレットは演技が上手い。
ショッキングな事件にしては、多感な少女時代の物語でした。

後日談として、ポーリーン・パーカーとジュリエット・ヒュームは刑務所に入るが、まだ若いということで死刑を逃れ、二度と会わないということを条件に釈放された。
映画が公開後、イギリスの小説家アン・ペリーはジュリエットは私と自ら名乗りでた。

★★★★(5段階☆は0.5)

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