最近ではどこの墓地でもカラスの被害に悩まされているようです。
お供え物を狙ってやってきたカラスが、
お花を引っ張り出して散らかした、とか
線香立を取って行った、とか・・・・・。
墓地によっては「お供え物はお持ち帰り下さい」というところもあるようです。
そんな中、カラスの被害にあわなかったお墓の話。
年配の知人から聞いた話です。
そのお墓は昔ながらの墓地。
山間にある、いわゆる「野墓」というようなお墓で、
どのお墓もやはりカラスに荒らされていたそうです。
でも、最近納骨を済ませたばかりのお墓だけ、
たくさんのお供え物にもカラスは見向きもしない。
そのお墓には事故のため遠方で亡くなられた方を葬ってありました。
カラスに荒らされないお墓を不審に思った家族は、
はっと気がつきました。
そして、事故の現場にお寺様と一緒に出向き、
改めてお経をあげてもらって、
「さぁ、帰りましょうね」と声をかけたとか。
以来、そのお宅のお墓もカラスがお供え物を取っていくように
なったそうです。
その地方の人は、こんなことを言います。
「お墓に入るべき霊魂がちゃんと帰ってきてないから、
カラスもわかって、近寄らなかったんだよ。
家族がなくなったら、遺体を搬送する時、必ず
『さぁ、家へ帰ろうね』って声を掛けてあげないと、魂が迷うんだよ」
信じる、信じないは別としても
家族の最後に、「家へ帰りましょう」って声を掛けてあげる、
これはとても優しい習慣ではないかと思います。