仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
ほぼワタクシごと、たまにお仕事。

位牌の楽しみ

2007-12-02 13:33:04 | 仏事のあれこれ

あるお寺から修理を依頼されたお位牌

数本あるうちの3本は写真のような形で「触れなば落ちなん」というよりも

「触れなば崩れん」という風情。

さらに修理を請け負ったものの、上部に入れられたらしい

家紋や文字の判読がかなり困難な状態。

最も文字がわかりにくかったのが写真のお位牌。

でも「修理」するからには修復後に文字までちゃんと復元しなくちゃ

話にならない。確認あるのみ!!!というわけで

ためつすがめつ位牌を囲んでしばしの評定。

 

上部の家紋はどうやら「葵の御紋らしい。

(そもそも、なんでこんな片田舎に「葵の御紋」のお位牌が!?!?)

と、悩むスタッフ。

さらに、中央にやや大きく彫られた文字は「○○大権現」と読める。

他の9つの文字列は全て「○○院殿」。

でも○○部分の文字が判読しにくい。

!?!?!?

葵の御紋に大権現、とくればこれはひょっとして歴代将軍の

戒名を刻んだお位牌なのでは?????

 

ありました、ありました。

徳川家康の「東照大権現」に始まって

2代秀忠が「台徳院殿贈正一位大相国公」(位牌の右端上)

3代家光が「大猷院殿贈正一位大相国公」(上右から2番目)

この調子で10代家治まで。

やはり歴代将軍の戒名を刻んだお位牌のようです。

 

一緒にお預りしたお位牌の中に「浦氏歴代之霊位」というものもありました。

浦氏は江戸時代、この近辺の領主だった家だそうです。

おそらく浦氏は自分の菩提寺に

先祖代々の位牌だけでなく、主君(毛利氏)のそのまた主君である

徳川歴代将軍のお位牌までつくって、供養していた、ということでしょう。

この位牌をつくったときの浦家当主の実直な人柄が

思われます。

 

ひょうたんから駒。

意外なところで思わぬ歴史のお勉強、となったのでありました。