細野さんが出る、と目星を付けていた「ホンネ日和」を昨夜見ました。
普段TVは見ないのもありますが、ひさしぶりにTVを見て、こんな良い話しが聴ける貴重な番組もあるんだな。
と認識。
いとうせいこうさんと細野さんが、上野公園、しのばずの池という、ボクの庭の1つを歩きながら、2人が語り合う。
番組宣伝には『・・・・年を重ねた“今”だからこそわかる「自分なりの生き方」。
誰しも逃げられない“老い”に対し、2人はどんな答えをだすのか?
そして誰しもが経験する「老い」について本音で語り合う』とある。
30分番組とは短い!
もっともっと話しを聴きたかった。
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いとうせいこうさんは1961年生まれの50歳。
細野さんは1947年生まれの64歳。
せいこうさんは、勉強の好きな少年で試験・受験がどうこうではなく勉強をしていたが、早稲田大学に入ったとたんに、生きる目的をなくし、毎日「死のうかな」と想っていたという。
そんなときに出会ったのが、細野さんの「はらいそ」。
せいこうさん曰く「ジャケットにもレコードの中身にも、とにかく色んな世界の音楽がきらびやかにあって、それを聴くうちに、死ぬ想いが消えてしまった」という。
一方で、その「はらいそ」の頃の細野さんも悩んでいた。
その時、その時で興味のおもむくままに影響を受けた音楽を取り入れながら、自分なりに真剣に音楽に取り組んできたのに、誰にも相手にされず・・・。
これは、前々から細野さんがよく言っていたことだが「はらいそ」で自分の音楽を終えて、どこかに行ってしまおうと思っていた。
「サヨナラ」という言葉が、このアルバムの随所に出てくるのは、細野さんのホンネだった。
■細野さん「はらいそ」■
昨日の放送では、細野さんはこう言っていた。
「はらいその段階で、道は2つしか考えていなかった。
1つは、音楽をやめて高野山にこもること。
もう1つは(村井さんの誘いで取り掛かった)イエロー・マジック・オーケストラ。
もし反応が自分の想いと違ったならば、その時点で音楽をやめる。
どっちでも良かったが、サイコロを転がしてみた。」
その後、イエロー・マジック・オーケストラがご存知の通り、1つの時代を創る。
人生と言うのは、どこでどう転がるか分からない。
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2人が「歳を取ることによって、過去気付かなかった観点に気付き、歳を取るということでの広がり」を話していて、同じ想いをしている自分とシンクロした。
細野さん「なんで、日本のポップスは20代ばっかりなの?
おかしいよね。完全に、音楽は引き裂かれた状態にある。」
私は、80年代のYMOも好きだが、そこから円熟の年月を経て、今、改めて演奏するYMOは異なる音楽。
曲は同じでも、新しい解釈と新しい響きを、ボクは自分の中に感じている。
細野さんが「悲しみのラッキースター」の中で、「何か新しい音が生まれそうな感じ」と語っている、前ぶれと予感への気持ちの変化。
ボクの中でも、40を越えてから、改めて音楽を再発見することが多い。
音楽は若者だけのものでは無いし、そういう若い年齢のためだけにあるのではない。
生涯、同じ曲でさえ音楽が意味すること・聴こえてくる響きは変化していく。
ボクも細野さんも同じ事を考えているんだなあ、と昨日の夜、再確認した。
■細野さん 「ラモナ」■