山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

英語教育、国際姉妹都市交流、ジョン・スタインベック、時事英語などの研究から趣味や日常の話題までいろいろと書き綴ります。

ポール・オースター(Paul Auster, 1947-2024)

2024-05-03 00:29:04 | 文学
アメリカのユダヤ系作家ポール・オースターが2024年4月30日に亡くなったとの報道がありました。


山陽新聞2024年5月2日

ポール・オースターの作品の多くがニューヨークが舞台になっています。

『ブルックリン・フォリーズ』『写字室の旅/闇の中の男』『ムーン・パレス』『ガラスの街』『幽霊たち』『サンセット・パーク』『インヴィジブル』『内面からの報告書』『冬の日誌』など一連の作品を読み、ポール・オースターの筆致力にすっかり魅了されました。

その中でも特に『ガラスの街』が大好きでした。出だしが秀逸ですし、作品中のニューヨークのまち歩きの場面はぜひ自分でも一度再現してみたいと思います!

ご冥福をお祈りいたします。

ちなみに、僕も共著者として執筆している『ユダヤ系アメリカ文学のすべて 十九世紀から二十一世紀』(小鳥遊書房, 2023)にもポール・オースターについて取り上げられています(僕が書いたのはアルフレッド・ケイジンについてですが)。

小鳥遊書房より『ユダヤ系アメリカ文学のすべて:十九世紀から二十一世紀』(2023)出版 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

所属している日本ソール・ベロー協会編で小鳥遊(たかなし)書房から『ユダヤ系アメリカ文学のすべて:十九世紀から二十一世紀』が2023年8月31日付で出版されました。僕は本書...

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中・四国アメリカ文学研究No.58での『スタインベックのまなざし―我がアメリカ文学・文化研究の原点—』書評

2024-01-05 22:31:37 | 文学
中・四国アメリカ文学会の『中・四国アメリカ文学研究』No.58(2022年6月)で加藤好文先生著の『スタインベックのまなざし―我がアメリカ文学・文化研究の原点—』(大阪教育図書, 2021)についての書評を書かせてもらいました。

以下で読めますので、ご興味がある方はどうぞ(pp.76-78)。

https://www.chushikoku-als.org/kaishi2022%2858%29.pdf

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小鳥遊書房より『ユダヤ系アメリカ文学のすべて:十九世紀から二十一世紀』(2023)出版

2024-01-01 01:44:43 | 文学
所属している日本ソール・ベロー協会編で小鳥遊(たかなし)書房から『ユダヤ系アメリカ文学のすべて:十九世紀から二十一世紀』が2023年8月31日付で出版されました。





僕は本書の中で「『ニューヨークのユダヤ人たち』―ケイジンの描くニューヨークとユダヤ人作家たち―」(pp.93-110)というタイトルでAlfred Kazin(アルフレッド・ケイジン)(1915-1998)について書かせてもらっています。

僕が最初にAlfred Kazinが書いた文に触れたのは、大学4年生の時でした。

大学3年生から4年生になる間の春休みに短期語学研修でアメリカに行ったときに知り合った別の大学の英文科の友人の宿題かレポートか何かがこのKazinが書いたOn Native Groundを訳すものでしたが、それを頼まれ手伝ったときに彼の文章に初めて触れました。

その後、しばらくたってからいつの機会にか、Alfred Kazinが僕と同じ6月5日生まれであることがわかり、しかも僕が生まれたちょうど50年前に生まれていることから、なんとなく親近感を感じていました。

さらにすごいのは(こういう人は確率的に約365人に一人いるわけですが)、彼が自分の誕生日である6月5日に亡くなっているということです。

そんなこともあり、この書の企画時にAlfred Kazinについて執筆することを希望し、その後彼の著作に触れ、上記の文をまとめました。

この書にはいろいろなユダヤ系作家が取り上げられています。

よろしければお読みください。

小鳥遊書房のウェブサイト上の案内はこちら↓

小鳥遊書房 本が本を産む|書籍一覧|ユダヤ系アメリカ文学のすべて

小鳥遊書房の書籍一覧「ユダヤ系アメリカ文学のすべて」紹介

 


日本ソール・ベロー協会が出した書籍で僕が関わらせてもらったものについては以下もご覧ください。

彩流社『ソール・ベローともう一人の作家』間もなく出版 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

ソール・ベローともう一人の作家 - 彩流社

日本ソール・ベロー協会 編

 


ソール・ベロー 都市空間と文学 - 彩流社

日本ソール・ベロー協会 編

 
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2023 International Steinbeck Conference(March 22-24, 2023)において研究発表を行いました(2023年3月22日)

2023-12-31 15:47:34 | 文学
2023年3月22日~24日にかけて米国カリフォルニア州サンノゼのサンノゼ州立大学で国際スタインベック学会(2023 International Steinbeck Conference)が開催されました。

2023 International Steinbeck Conference Schedule Draft.docx

Google Docs

 


今回は対面とオンラインの併用学会でした。

当初は、対面で参加し研究発表を行う予定でしたが、期間内に別の予定が入ってしまい、残念ながらオンライン参加に切り替えました。
(自宅から国際学会で研究発表ができるのはとてもよいことですが、海外のスタインベック研究者や愛好者と直接お会いして意見交換をしたり、知り合いになったりする国際学会の最大のメリットはなくなってしまいます。)

今回は、プログラム最初のパネルでの研究発表のトップバッターとして「登壇」(自宅の書斎の机の前で発表したのですが)させてもらいました。

"Steinbeck’s Big Books (Virtual/Streamed Session)"というパネルで進行役(Panel Chair)も務めました。

僕の研究発表のタイトルは、
“Itaru Nii, the First Translator of The Grapes of Wrath into Japanese”で、『怒りの葡萄』の初訳者新居格についての発表を行いました。





3月10日~15日にかけて、久しぶりの海外出張で疲れから風邪をひいていたのと(コロナではなかった)、日本時間では朝5時からのパネルで身体のコンディションはあまりよくなかったのですが、何とか切り抜けました。

国際スタインベック学会は3年に一度の開催で、今度は2026年になると思いますが、次回は対面で参加させてもらいたいと思います。

前回の国際スタインベック学会での研究発表(2019年5月3日)についてはこちらをご覧ください。

カリフォルニア出張報告(2019年5月3日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

2019年5月3日、スタインベック国際学会3日目です。JohnSteinbeckandSaulBellow:InfluencesandImpactsonEachOtherと題して研究発表をさせていただきました。午後は学会のオプ...

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第48回備北人文科学学会学術集会での研究発表(2023年1月30日)

2023-01-31 23:12:12 | 文学
2023(令和5)年1月30日(月)、第48回備北人文科学学会学術集会が開催され、「New York City とAlfred Kazin」というタイトルで研究発表を行いました。

現在進めているユダヤ系アメリカ作家のAlfred Kazinについての研究の途中経過報告という感じでした。

これは小さな学会ではありますが、異分野研究者との交流ができる機会です。

この学会での前回の発表についてはこちらをご覧ください。
第46回備北人文科学学会学術集会にて研究発表(2022年1月5日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
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第46回備北人文科学学会学術集会にて研究発表(2022年1月5日)

2022-12-25 17:55:16 | 文学
2022(令和4)年1月5日(水)、第46回備北人文科学学会学術集会が開催されました。

「新居 格の『怒りの葡萄』翻訳について」という題で研究発表をさせていただきました。

新居格については、以下もご覧ください。

徳島県立文学書道館「新居 格の仕事」展観覧(2021年9月19日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

徳島県立文学書道館にて、2021年8月12日~9月20日の会期で「モボ・モガの生みの親新居格の仕事」展が開催されることを、新居格氏の甥であり、新見公立短期大学の元学長新居...

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新居格氏の資料調査をさせていただきました(2021年11月20・21日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

縁あって、スタインベックの『怒りの葡萄』を我が国で初めて翻訳出版した新居格氏のお孫さんが保管されている資料を昨日、今日と見せていただきました。いろいろな文章を書...

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新居格さん、お誕生日おめでとうございます(3月9日) - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

ジョン・スタインベックのTheGrapesofWrath(『怒りの葡萄』)を日本で初めて翻訳出版した新居格氏は、1888年3月9日に生まれました。ということで、本日がお誕生日となります...

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日本ジョン・スタインベック協会特別講演会(2022年9月18日)

2022-09-17 10:52:42 | 文学
日本ジョン・スタインベック協会では、前国際スタインベック協会会長でGoucher CollegeのLuchen Li教授の来日に合わせ、2022年9月18日(日)に専修大学神田キャンパスにおいて特別講演会を開催します。

Luchenさんとは1997年3月のサンノゼとモンテレーで開催されたスタインベックの国際学会で初めてお会いして以来、国際学会で顔を合わせ親しくさせてもらっています。

当日は司会および講師紹介をさせていただきます。

The John Steinbeck Society of Japan
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欧米言語文化学会関西支部第34回例会で研究発表をします(2022年9月17日)

2022-09-17 10:44:30 | 文学
2022年9月17日(土)、欧米言語文化学会関西支部第34回例会において「ニューヨークのユダヤ人―アルフレッド・ケイジンの描くニューヨーク―」というタイトルで研究発表を行います。

夏休みで授業がない分時間はありますが、いろんな仕事に追われています。

準備不足ではありますが、頑張ります。

Fortuna

欧米言語文化学会

Fortuna

 
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contain my butterfliesの表現について(『アンという名の少女 3』最終回より)

2022-09-06 21:55:53 | 文学
NHKで放送していた『アンという名の少女』シリーズ、第2シーズンに続けて第3シーズンもずっと見ました。

途中、面白い表現などがあるとメモを取りながら、なかなか投稿できずにいますが、今回は第3シーズンの最終回よりです。



時代設定は1899年の設定のようですが、アンが「コルセットは時代遅れ」と言っています。



それを聞いたマリラが、「なぜ、そんなことが分かるの?まだ一度も着けたことがないのに」と言っています。



そうすると、アンが「それは…あたしの想像力が豊かだから」と答えています。

きっと想像力の翼で分かるのでしょうね。



そして、それに続き「まあ コルセットをすれば、胸のドキドキは抑えられるかも」と言っています。

この部分、英語では "Perhaps it will help to contain my butterflies."と言っていました。

"contain my butterflies"とはどういう意味でしょうか。

ここでは、"butterflies"は「蝶」という意味ではないのです。

これは成美堂から出版した教科書Read Well, Write Better(『リーディングで鍛える英作文』)のコラムです。


英語には"butterflies in your stomach"という表現があります。

直訳すると「胃の中の蝶」ということですが、もちろん蝶を食べたわけではありません。

"butterfly"のふわふわ飛ぶところから、「緊張感」「どきどき」「落ち着かない気持ち」などの意味があるのです。

それを"contain"(この場合は「抑制する」というような意味)するというのは、「緊張感を抑える」「胸のドキドキを抑える」などの意味となるのです。

なかなかおもしろいですね。

教科書Read Well, Write Betterについては、以下をご覧ください。

成美堂よりRead Well, Write Better(『リーディングで鍛える英作文』)出版予定 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

宣伝記事です。この度、大学教科書を出版している成美堂からReadWell,WriteBetter(『リーディングで鍛える英作文』という教科書をJoanMcConnell先生と武田修一先生との共著...

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『アンという名の少女 2』については、以下をどうぞ。

海外ドラマ紹介『アンという名の少女 2』(Anne with an "E") - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

昨年放送された『アンという名の少女』に続き、NHKで2021年9月12日から『アンという名の少女2』(Annewithan"E")の放送が始まりました。原作は言わずと知れたモン...

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オクラホマ州タルサのBob Dylan Center

2022-08-10 22:21:41 | 文学
2022年5月27日のThe Japan Newsに転載されていたThe Washington Post紙の記事 Now in his 80s, Bub Dylan finally gets a museum"を読みました。

オクラホマ州タルサ(Tulsa, Oklahoma)のWoody Guthrie CenterのそばにできたBob Dylan Centerを紹介する記事でした。

At 80, Bob Dylan finally gets a museum

Opening in Tulsa next week, the Bob Dylan Center will make public more than 100,000 artifacts from one of the greatest living artists.

Washington Post

 


ノーベル文学賞を受賞したBob Dylanについては、私も関わったGood Reading, Better GrammarのChapter 11でChanging Times, Changing Wordsというタイトルのもと、Bob Dylanのことにも触れています。

リーディングで深める英文法|大学英語教科書出版 成美堂

各章250語程度の良質な英文を読み、豊富な問題量をこなしながら文法の知識を深めるテキスト。学習すべき文法項目を簡単にまとめたFocus Grammarを各章に設け、フレーズおよ...

株式会社成美堂オフィシャルサイト

 


成美堂よりGood Reading, Better Grammar出版 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

今日は宣伝をさせていただきます。この度、成美堂より大学英語教科書GoodReading,BetterGrammarをJoanMcConnell先生との共著で出版しました。(成美堂にて教科書プレゼンテー...

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また、その後出版した教科書Changing Times, Changing Worldsは、前出のフレーズのwordsをworldsに代えたものです。

やさしく読める社会事情|大学英語教科書出版 成美堂

各章250語程度の社会事情に関わるリーディングを中心とした総合教材。男女平等や熟年離婚など現代社会の様々なトピックが良質で読みやすい英文で書かれている。本文の内容理...

株式会社成美堂オフィシャルサイト

 


Changing Times, Changing Worlds出版祝いと今後の企画会議 - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

2019年11月21日、来日中のジョアン・マッコーネル先生との打ち合わせのため、東京の成美堂に行きました。(新刊のChangingTimes,ChangingWorldsも左上に展示されています。)...

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このようにタルサがアメリカ文化の重要な地になっている中、またスタインベックの『怒りのぶどう』(The Grapes of Wrath, 1939)においてもオクラホマ州が起点になっているのではありますが、僕は残念ながらまだオクラホマ州に行ったことがありません。

Woody Guthrieにも "Ghost of Tom Joad"という曲があります。

Tom Joadが入っていたMcAlesterの監獄も含めて、いつかオクラホマ州に行ってみたいものです。

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2022年上半期直木賞予測

2022-07-17 14:37:02 | 文学
2022年上半期直木賞候補作が以下のように発表されました。

『絞め殺しの樹』 河崎秋子
『夜に星を放つ』 窪美澄
『爆弾』 呉勝浩
『女人入眼』 永井紗耶子
『スタッフロール』 深緑野分

『絞め殺しの樹』 (河崎秋子)は、候補作になる前にある方の紹介で読んでいました。
情景描写や人物描写も素晴らしく、文章も美しく、臨場感あふれ、読んでいて怖くなる作品でした。

せっかくなので発表前にすべての候補作に目を通し、受賞作を勝手に予測してみようと思いました。(ネタばれにはならない程度に書きます。)

『夜に星を放つ』 (窪美澄)は、「真夜中のアボカド」「銀紙色のアンタレス」「真珠星スピカ」「湿りの海」「星の随(まにま)に」の5作品を収めた短編集です。
タイトルに「アンタレス」「スピカ」「星」が出てくるから想像できるように、夜空の星が作品内で象徴的に使われています。
どの作品も情景描写、心理描写、人物描写が秀逸だと思いました。
コロナの時代が描かれ、後年、おそらく「コロナ文学」というような小ジャンルが現れると思いますが、コロナ禍の中の人々の心理や生活などの描写も見られ「コロナ文学」としてもすぐれた作品と思います。

『爆弾』 (呉勝浩)
言葉遊び等はおもしろいが、やや冗長な気がしました。

『女人入眼』 (永井紗耶子)
時代物に慣れていないせいか、非常に疲れた読後感でした(個人的感想)。

『スタッフロール』 (深緑野分)
アメリカの芸能界(映画・映像業界)を舞台としていて、実在の映画作品や映画監督についても描かれ興味深く読めました。

私はもちろん審査員ではないので、あくまでも一読者としての勝手な予測ですが、『夜に星を放つ』 (窪美澄)が直木賞を獲得すると予測します。

ちなみに候補作全てが女性の作であるとして話題になった2022年度上半期の芥川賞候補5作では、
『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子)と『N/A(エヌエー)』(年森 瑛)しか読めていませんが、『おいしいごはんが食べられますように』はおもしろく読むことができました。

直木賞・芥川賞ともに7月20日に受賞作が発表される予定です。

受賞作の発表を期待しています。



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