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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

東京島

2010-09-09 23:54:03 | the cinema (タ行)
あなたなら、
どうする。

製作年度 2010年
上映時間 129分
原作 桐野夏生 『東京島』(新潮社刊)
脚本 相沢友子
監督 篠崎誠
出演 木村多江/窪塚洋介/福士誠治/柄本佑/木村了/染谷将太/テイ龍進/趙民和/鶴見辰吾

直木賞作家・桐野夏生の同名ベストセラー小説を原作に、無人島に漂着した23人の男と唯一の女性である40代の主婦が織り成すサバイバル生活を描いた人間ドラマ。
結婚20周年を記念した世界一周クルーズの旅の途中で嵐に遭い、夫の隆と共に無人島に漂着した主婦、清子。意外にも、たくましくサバイバル生活に順応していった清子は、対照的に心身共に衰弱していくばかりでまったく役に立たない隆に苛立ちを募らせる。救助の船は一向に現われず、絶望がよぎり始めた頃、新たに16人の若い男たちが流れ着いた。彼らは与那国島でのきついバイトから逃げ出して遭難した日本人のフリーター集団だった。共同生活を始めた彼らは、いつしか島を“東京島”と呼ぶようになった。そんなある日、隆が崖から不可解な転落死を遂げる。それでも、男たちに大事にされ、女王のような扱いにまんざらでもない清子だったが…。

特にコレといって観たいものがないけど、時間もあるし、原作は「魂燃え!」の桐野夏生だし、で、観たんですが、、、、なんというか.....
ナンとも云えません(笑)
唯一つハッキリしている事は、コレDVDだったら確実に早送りしちゃって、30分ぐらいで済んじゃうだろうなぁってこと。
イヤ、あくまでも私の場合ってことですが
限定された「島」の住人たちのキャラが描けてないし、その中でヒロインが女の武器を使って生き延びる・・っていう中に緊張感が殆どないから、やたら長く感じて退屈。
中盤からはもっと退屈(笑)

で、桐野夏生さんの原作のモデルが、アナタハンの女王事件であるけど、原作のヒロインは40代のオバサンになっているという情報は得てました。
この実際はまだ25歳の人妻を、40代にしたという所で、なんとなく原作者の意図は感じられましたが。。。
ってか、その状況を作り出すのに、そもそも「与那国島」のきついバイトっていうのがワカラナイ
集団脱走をするくらいの過酷なバイトが想像できないので、この時点でもう嘘くさい気がしてしまった私
だってどうしても彼らが、家を離れて過酷なバイトに飛び込んでいった若者たちにみえなかったのですもの。

だから、肉食系中年女子VS草食系男子もなんだか嘘っぽく、
加えて舞台が南の島らしいので、時間の経過がわかり難いのも、彼らの変化にいちいち違和感がつきまとったり、
終盤に現れる怪しい日本語を喋る連中が出てくるに至っては、都合良過ぎで、益々詰まらなくなってしまった

序盤、あっという間に消えてしまう清子の夫の鶴見辰吾サンですが、一瞬なのに凄いっ!
もう、あのシーンで成田離婚という言葉を思い出しましたから~(笑)
そう、ここはまさにあの昭和とともに消滅してしまったバブル期、トレンディな新婚夫婦に訪れたあの「成田離婚」の心理です。

ただこれは、脚本とか制作側の意図的なものだと思いますが、
死亡率が高いわりに、それによる登場人物のリアクションが雑で、
なので、夫が邪魔だと感じるようになって、リーダー格のカスカベのものになる辺りの見せ方もキレイ過ぎ。余りに淡々としてかなり置いてきぼり感がありました。

これは逆ハーレム状態の男女のサバイバルものとしての情報を持って観に行かれた方と、
原作ファンの感想を訊いてみたいところ。

まぁ、今年は例年に比べて劇場鑑賞は厳選しているため減ってはいるんですが、、今までのワーストってところです

あ、そうそう。
中国人集団の、ナンバー2的なムン役の俳優さんは、チョット見ダニエル・ウー(呉彦祖)に似ていましたね~!
ちょっとごっつい感じがしましたが、違う、別人だと確信が持てるまでなんとなく期待しました~(笑)
予告も観なかったし、木村さんと窪塚クン以外の出演者を全く知らなかったのででもその勘違いがあって少し楽しめました(笑)

小さな村の小さなダンサー

2010-09-04 02:05:34 | the cinema (タ行)
原題 MAO'S LAST DANCER
製作年度 2009年
製作国・地域 オーストラリア
上映時間 117分
原作 リー・ツンシン 『毛沢東のバレエダンサー』(徳間書店刊)
脚本 ジャン・サルディ 
監督 ブルース・ベレスフォード
音楽 クリストファー・ゴードン  
出演 ツァオ・チー/ジョアン・チェン/ブルース・グリーンウッド/ カイル・マクラクラン/アマンダ・シュル/ジョアン・チェン/ワン・シャン・バオ/グォ・チャンウ/マデレーン・イーストー/カミリア・ヴェルゴティス

オーストラリアでベストセラーとなった、リー・ツンシンの自伝を映画化した感動作。中国の貧しい村出身の少年が幼くして両親と別れ、バレエダンサーとしての才能を開花させる過程をドラマチックに描く.主演は、自身も中国出身で現在は英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍するツァオ・チー。

リー(チー・ツァオ)は1961年、中国・山東省で7人兄弟の6番目の息子として誕生する。彼は11歳で親元を離れ、北京の舞踏学校でバレエの英才教育を受ける。やがてたくましい青年に成長したリーは、中国を訪れていたヒューストンのバレエ団の主任ベン (ブルース・グリーンウッド)の目に留まり、アメリカでのバレエ研修に参加することになる。

物語は18歳で留学の為に初渡米した中国人ダンサー、リー・ツンシン(李存信)が、
自由の国アメリカの地に降り立ち、カルチャーショックを受ける様子を映し出し、
生まれ育った故郷・中国山東省での彼の運命を決めたある日に思いを馳せるところからスタートする。

この夏万国博で入場者の記録を塗り替えた中国の、僅か40年ほど前の国内事情が描かれている。

まさにリー少年の小学時代は、毛沢東婦人であり元女優という江青の悪名高い文化大革命の真っ只中。
江青の革命的現代バレエを指導する北京舞踏学院のスカウト隊に向けた、担任のたった一言で彼は故郷を離れることになる。
国家の為、村の希望の星と祭り上げられて―。

バレエがなんたるかも知らず、まして目にしたこともない少年たち。
ただ愛国心を植えつけられて、指導者の言うとおりのレッスンを重ねる日々に、
少年らしいホームシックや反発心もあり、好きで選んだ道というより、周囲の期待に応えるための訓練に心が折れそうなある日、
バレエを愛するチェン先生から託されたホンモノと出会って、彼の中のスイッチが入り、練習に打ち込むようになる。


やがて毛沢東が死去、江青も逮捕された北京にアメリカからの視察団が訪れ、ヒューストン・バレエ団のベンとの運命を変える出会いに繋がっていく。

この時のベンが(北京舞踏学院の生徒に関して)「技術は高いが、どちらかと言えばアスリート。ダンサーではない」
というような事をいっているが、流石にちゃんとした分析。
ダンスレッスンというよりは体育学校の訓練のようなイメージがあり、ちゃんと伝わっている。
たとえば、予告にある、チャン先生が反革分子だとして投獄されるきっかけとなった舞台の後、まるでどこぞの将軍サマの北の国かと思わせる、
軍服に銃という「紅色娘子軍」という中国バレエには、ハッキリクッキリ、当時リー少年たちが置かれていた状況が映し出されており、何の説明も要らないところ。

そして国を代表して渡米したリーは、運命を変えるエリザベスとの出会いを経て、
たった一度の幸運なチャンス、プリシンバルの代役という抜擢に見事応えて大喝采を浴び、自由に踊る事の出来る喜びを深くしていき、
更なる試練に向かう事となる。。。


原作に沿って再現された亡命劇の攻防。中国の領事館だから、あっても不思議ではないけれど、
判っていてもココは緊張と恐怖と怒りで胸が震えるシーン。
これは、先に鑑賞したジャッキー(中国)とジェイデン(米国)の「ベスト・キッド」で感じた両国のイメージ戦略は感じられず、
舞台はアメリカで、主人公は中国人。そしてこの映画を製作したのがオーストラリアなので、この当りの描写は公平なものだったと思われる。
リアルな亡命劇の舞台裏といった感があり衝撃です。

そして、力強い味方もあり、祖国・中国の広告塔としての将来を捨て、自由なバレエの道を選ぶ彼には厳しい現実と、
別れが待っていたけれど・・・・



ヒューストン・バレエ団プリンシパルに昇格したある公演は、VIP待ちとなり、
というリー役の現役プリシンバル、ツァオ・チーの素晴しい演技「春の祭典」の後、その時は訪れるのだけれど、
誰もが今、ここで気持ちよく号泣~となるまさにその時、
うわあぁぁ~~ぁん ・・と幼女の泣き声が。。。

しかし、その声の主はそれっきり声を立てませんでした。実はおばさんもコドモ時代に覚えがあります。ちゃんと声を殺して、偉かったですね・・・
政治的時代背景も、きっと良くは解らないながら幼い少女も泣かずにいられなかった、、
(バレエをやっている子だったのか??)
実はその時、一瞬で現実に戻ってしまい涙も引っ込みましたが、
ラストのリーの晴れ晴れとした素晴しいバレエにまた蘇りました。

現在も活躍中の人物の「伝記」ということで、ストーリーとしての面白さには期待してなかったのでしたが、
無駄のない脚本と、惜しみないバレエシーンにただただ惹きこまれていた2時間でした
ただ、欲を言えば、
亡命してからの彼の心理をもっと丁寧になぞって欲しかった!
最後が駆け足で、勿体無かった。
もっとずっと、いつまでも美しい現役プリシンバルのCGなしの優雅でダイナミックなバレエを観ていたかった・・


ちょんまげぷりん

2010-08-21 22:34:10 | the cinema (タ行)
人生はケーキほど甘くないでござる。
製作年度 2010年
上映時間 108分
原作 荒木源
監督 中村義洋
エンディングテーマ 忌野清志郎『REMEMBER YOU』
出演 錦戸亮 木島安兵衛/ともさかりえ 遊佐ひろ子/今野浩喜/佐藤仁美/鈴木福/忽那汐里/堀部圭亮/中村有志/井上順

荒木源の同名小説(旧題『ふしぎの国の安兵衛』)を錦戸亮主演で映画化したハートフル・コメディ・ドラマ。
江戸時代からやって来たちょんまげ頭の侍、木島安兵衛(錦戸亮)をひょんなことから居候させることになった、ひろ子(ともさかりえ)と友也(鈴木福)の母子。友也のために偶然作ったプリンから、お菓子作りの才能を開花させた安兵衛。彼は人気パティシエとなり、ひろ子や友也とのきずなも深まっていくが……。


先日銀座に出掛けた際、『恋愛戯曲』のチラシをゲットしようとヒューマントラストシネマに行った時、
あのせまいロビーの前に若い女性の長蛇の列、、、???
それが「ちょんまげぷりん」目当ての女性たちだったとは、ちょっと意外でした。その時点で、もう公開から日が経ってましたから。
ところが、自分でも意外。なんかゆる~い映画がいいな~・・で、先日は気がついたら窓口で「ちょんまげぷりん」と、口が勝手に・・・(爆)
夏バテ気味の身体にも心にも優しいぷりん~じゃなかった、コメディにすっかりリラックスした時間を持てました

シングルマザーのひろ子は、まだ幼い友也の保育園の送り迎えに、家事。
残業ができない為、仕事を持ち帰ったりと努力してはいるけど、会社の同僚たちの目は冷ややかなものがあり、ストレスを抱えていた。
しかし、ある日知り合って、友也のなつくまま生活を共にするようになったちょんまげ侍の木島は、
居候のお礼に「奥向きのこと」一切をやってくれると、ひろ子には願ってもない展開に。

しかして180年前の江戸時代からやってきた25歳の貧乏旗本の青年が、文明を克服し家事を極める生活は、
彼をとんだ有名人にもしてしまい、
安心して仕事に取り組んでいたひろ子にも、彼を父のように慕う友也にも変化が訪れようとしていた―…。

現代に突然武士が出現したら?!
そうそう、きっとひろ子のように先ず俳優かなんかのプロモだと思うだろうし、次には同じような思考を辿るだろうし・・・
それが武士の方の立場だったら、、、これはもうワカリマセンが、
そのあり得ない状況に陥ったサムライのリアル困惑振りが、かなり巧かったです、錦戸くん

ひもじくて憔悴していく安兵衛、、、
月代も無精ひげも伸びて、風呂に入れば友也に笑われ
しかし、世の不条理や礼節に欠ける行為は見過ごせない

自分の窮地を救ってくれたひろ子に対してはいつも節度をもって接し、
友也に対しても甘いのであるけれど、小さくても守るべき礼儀作法については毅然として諭す。
引き受けた「奥向きのこと」はパーフェクトにこなし、かといって、
現代の男子には見られない新鮮な男らしさも誠実さも、ここ一番で発揮する安兵衛が、どんどん素敵に見えてくる。

マジメいっぽうの錦戸・安兵衛の武家言葉が可笑しく、でも妙に嬉しいのはなぜだろう~
かいがいしくというより、お役目と捉えて家事に取り組む錦戸くんのエプロン姿に萌えたかも~(笑)

冴えないバツイチママと、冴えない貧乏旗本の青年に訪れた出会いが、
きっと何かを教えてくれてる。

中村監督作品の中では、どちらかというと「フィッシュ・ストーリー」が好きな人向けかもしれないって気がします♪
アヒルと鴨」や「ゴールデン・スランバー」のような、驚愕の展開にはならないですが、
奇抜な設定でもキチンと時代考証をふまえた武家の心得、作法などをマジメに捉えたところからくる笑いとメッセージが、
やっぱり中村監督作らしくていいなぁ~と感じました~


てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~

2010-04-29 02:51:36 | the cinema (タ行)
愛は大きく。
夢はまっすぐ。

製作年度 2010年
上映時間 120分
原作 金城浩二
脚本 鈴木聡/林民夫
監督 李闘士男
主題歌 山下達郎『希望という名の光』
出演 岡村隆史/松雪泰子/吉沢悠/伊藤明賢/赤堀雅秋/児玉絹世/國村隼/長澤まさみ/渡部篤郎/原田美枝子

きれいなサンゴの海を子どもたちに見せてあげたいとの一心で、まったくの素人でありながら幾多の困難の末に世界初の養殖サンゴの移植・産卵という偉業を成し遂げた金城浩二さんの奇跡の実話をベースに描く夫婦の愛と絆の物語。
一度は沖縄を出たものの、美しい海が恋しくて戻ってきた金城健司(岡村隆史)は、周囲の反対を押し切り、幼なじみの由莉(松雪泰子)と結婚する。やがて、店の経営も軌道に乗り、子供にも恵まれるが、滅びゆく海に心を痛めていた健司は突然、事業を捨てサンゴに全てを賭けることを決意。環境と開発の板ばさみ、地元住民の反対、多額の借金、学界からのバッシング…数々の困難が健司を待ち受けるが、家族の支えを受け、彼はその明るい笑顔で乗り越え、その情熱で海と人々の心を変えようとする――。cinemacafe.net

ドラマ「ブラッディマンデイ」以来の,映画は「夕凪の街 桜の国」以来となる吉沢悠君の出演作なので楽しみにしていました。
知らないで行ったらきっと気づかないほどに、気のいい穏やかな役所の青年、好演していました♪

沖縄が舞台の映画やドラマは結構観てきたと思いますが、
中でもこの作品のキャストは沖縄言葉のイントネーションや、アクセント、独特のテンポに一番苦労されたのではないでしょうか?
公開間もなくということもあるでしょうが、中ぐらいのシアターはかなり混んでいて年齢も幅広かったのですが、
私を含めた観客も、そのと~~ってもゆっくりとしたセリフにまず戸惑い、やがてそれが"沖縄時間"という流れに嵌っていくのですが(笑)

              

「お金がなくても、海をピッカピカにする父ちゃんと、、、お金持ちの父ちゃん・・・」どっちがいい?
愛があって、夢がある―…
愛の上に夢がある…―。

実際の金城さんは、岡村さんよりかなりたくましい感じの方ですが、現実にはもっと大変だったことが想像できます。
信念に突き動かされ夢を追い求めて苦労する彼を取り巻く人々に、その純粋さが伝わり支ええていく過程も、
土地開発の利権が絡む時、必ず誰でも直面する問題もかなりリアルだし、
何より私利私欲の夢ではないことに全てをかける男の姿を、世間はどうみてどう接してきたか、
実話でありまだ最近の、しかし、長く続いていかなければならない闘いだと言うことがちゃんと伝わる作品でした。

「偉人伝」でもなく、環境保護の押し付けもない、一人の男の闘いと家族の物語として描かれているのがいい。
でも、サンゴ礁に護られるたくさんのニモたちや、
その時を待っていたはずの地元の保(吉沢悠)さえ観たことがなかった珊瑚の産卵の美しさは、
やはり大スクリーンで見るべき神秘、奇跡のような美しさです。

李闘士男監督とは「デトロイト・メタル/シティ」つながりの松雪さんも良かったし、
音楽はcobaさんだったんですね~。最後でようやく気がつきました。
最近ではフィギュアスケートの高橋大輔選手のあのかっこいいショートプログラムEyeでおなじみだけど、私的には1999年のkinkiのドラマ「君といた未来のために」の音楽で知った方。
優しい中にも切なさを奏でるメロディーがマッチしてます

gooブログを開設してしばらくして"gooホームPUROJECT"(サンゴを守る活動)を知りましたが、
これがこの作品の主人公の金城さんの呼びかけに賛同するプロジェクトだったとは、映画を観るまで思い出しませんでした。
地球の酸素供給の約7割を担っている海の中で起きているサンゴ礁の破壊。
「昔はもっと海は汚かったんだよ~と、言えるように」という言葉に、失ってきたものを思い出さずにはいられない、
子供の頃遊んだ清流や、蛍の里が過ぎりました。

家族で楽しんでご覧になれる作品だと思います

第9地区

2010-04-17 20:11:51 | the cinema (タ行)
人類、立入禁止。
原題 DISTRICT 9
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ/ニュージーランド
上映時間 111分 映倫 PG12
脚本 ニール・ブロンカンプ/テリー・タッチェル
監督 ニール・ブロンカンプ
出演 シャールト・コプリー/デヴィッド・ジェームズ/ジェイソン・コープ/ヴァネッサ・ハイウッド

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンが製作を担当し、アメリカでスマッシュヒットを記録したSFムービー。
ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。

コチラは先日「月に囚われた男」の前に、強行鑑賞。
SF2本を続けて観た訳ですが、順序としてはやはりコチラを先に観て正解だったかと思います。
面白いという評判以外、予告も観ないで鑑賞。
エイリアンが登場するからには、ある程度のグロは覚悟で行きましたが、
普通に戦争モノが観られる方なら、大丈夫なくらいのものでした。(血も肉片も飛び交いますが)
で、面白かったです♪

少しネタバレ気味の感想です。

南アフリカのヨハネスブルグ。
難民となったエイリアンは、知能は高いはずなのに、長年の居住地区での暮らしの中で、
無秩序な生活に甘んじている。
あの大きな宇宙船の中で180万ものエイリアンが暮らし、束ねる人も居なかったのか?とか、
スーパーで物を盗むにしてもタグをみて、ブランド品に拘るとか、突っ込みたくなるけれど、
冒頭からのドキュメントのような流れで、掴みはOK!
全世界が注目しているニュース映像も、実際、遠く離れていればやはり対岸の火事をみているようだろうから、
結構テレビで臨時ニュースをみているようでリアルな感じかも。

身近なものだと、ゴミの集積場所だって前の町内ではモメテいたし、
同じマンションに出入りの激しい東南アジア人が一部屋に集団で住んでいて騒がしくてイヤだといっていた友人もいたし、
そういう話をきいても、せいぜいアドバイスをするぐらい。
人間同士でもこれなのだ。
渦中に居なければ大半の人は、なんでも本気では考えないこと。
ましてこの第9地区の難民はエビと揶揄されるようなビジュアル。しかも、凄い勢いでその数を増やしていくし。

プロジェクトの最高責任者に抜擢されたエイリアン対策課のヴィカスも幸せな生活の中にあって、危機感がなく、
世界中が注目するそのシチュエーションに小躍りせんばかりのテンションで臨む。
撮影カメラを意識してあざといと云うしかない彼の難民への通達、サインの搾取。それは百戦錬磨のセールスマンのよう。
しかしある一軒に押し入った際、調子に乗って押収した物体をいじってしまい、彼の運命は…


どんな人でも、多かれ少なかれ、知らないところで敵を作って生きているかも知れない。
ヴィカスもまたちょっと調子に乗るタイプの、それが厭な人にとってはいけ好かない男だったかも知れない。
でも、殺されるよりも恐ろしい目に遭うなんて―…、あっていいわけが無い。
しかもその命の商人は、最も争いたくない人物ときた。

それからの彼は、身も心も、、変貌する。
超高額品として狙われ追われながら、もがき苦しんだ果てに、
今まさにヒトとしての戦いを始める―。

舞台は南アフリカ。監督も、多くのキャストも南アフリカ出身ということで、
社会的な風刺を込めて作られているのは勿論だけれど、
エイリアンVS人間というありがちとも思えるテーマも、宇宙難民VS地球人(MNU)としたことで新鮮だし、
極限状態に陥った男のドラマとしても心を打つものがあり、一見の価値があるSFアクションドラマでした

月に囚われた男

2010-04-15 22:34:25 | the cinema (タ行)
契約期間:3年
赴任地:月
労働人数:1人
このミッションは何か、おかしい。

原題 MOON
製作年度 2009年
製作国・地域 イギリス
上映時間 97分
脚本 ネイサン・パーカー
監督 ダンカン・ジョーンズ
音楽 クリント・マンセル
出演 サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラー/リオベネディクト・ウォン/ ケヴィン・スペイシー

地球に必要不可欠なエネルギー源を採掘するため月の基地に滞在中の男が奇妙な出来事の数々に遭遇するSFスリラー。
サム(サム・ロックウェル)は地球で必要なエネルギー源を採掘するため、3年間の契約で月にたった一人で滞在する仕事に就く。地球との直接通信は許されず、話し相手は1台の人工知能コンピュータ(ケヴィン・スペイシー)だけの環境だったが、任務終了まで2週間を残すある日、サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する。

公開劇場も少ないし、見逃せばDVDも探せないかも知れない。と、いうことで行ってきました。
コレはかなり面白かったです
気が早いかもですが、コレまでの洋画の上位にきました~

私が初めて観たSFは多分白黒画像の「宇宙家族ロビンソン」だったと思いますが、
コチラの作品は、そのざらついた画面も含めて、どこか懐かしさを漂わせるものがあり、王道を行くSF作品になっていたと思います。

近未来。「月」にたった一人―というと、あの可愛いお片づけロボット「WALL・E/ウォーリー」を思い出しますが、
コチラは、愛する家族の元を離れて単身赴任の宇宙飛行士....。
そりゃあ、3年は長いし、独り言も多くなって当たり前。
トイレのニコちゃんマークとか、観葉植物のそれぞれの名前にキュンときますし、
その静寂の中のふたりぼっち。問答無用でサムとガーティの会話にキュンキュンしてしまいます。

勘のいい方なら結構早い段階で、この秘密に気付かれるかも知れません。
キーワードは幾つかありますが、この作品もまたあまり情報を入れないでストーリーに身を任せてみた方がいいと思います。

記憶―、
生きてきた証。
それが意味するもの…。

相棒のコンピューター・ガーティの心遣いが泣けます。
独特の音声なんだけれど、ハートを感じる囁きにも聞こえたり、、ケヴィン・スペイシーの声が素晴らしい。
ガーティのニコニコマークにも表情があって可愛い
サムの、「…帰りたい。」に涙。

             

宇宙ステーション内部に一瞬写る、ルナ産業の実体かと思わせるハングルの文字がやけにリアルでした。

ダレン・シャン

2010-04-14 19:56:08 | the cinema (タ行)
原題 CIRQUE DU FREAK: THE VAMPIRE'S ASSISTANT
製作年度 2009年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 109分
原作 ダレン・シャン
監督 ポール・ワイツ
出演 クリス・マッソグリア/ジョシュ・ハッチャーソン/ジョン・C・ライリー/ジェシカ・カールソン/渡辺謙/レイ・スティーヴンソン/パトリック・フュジット/ウィレム・デフォー/サルマ・ハエック

幅広い年齢層に愛され、世界中に熱狂的なファンを持つダーク・ファンタジーを映画化。
ごく平凡な16歳の少年ダレン・シャンは、親友のスティーブと一緒に<シルク・ド・フリーク>なる奇怪な見世物小屋を訪れる。蜘蛛マニアのダレンは、ラーテン・クレプスリーという男が操る巨大な毒蜘蛛に魅せられ、思わず楽屋から盗み出してしまう。しかし翌日、スティーブがその蜘蛛に噛まれてしまい、昏睡状態に。解毒剤を求めてラーテンを再訪したダレン。彼はそこで交換条件として、ハーフ・バンパイアとなり本物のバンパイアであるラーテンの助手をするよう求められる。スティーブを助けるため、その条件を受入れるダレンだったが…。

これは先月一度書いた記事を、画像を入れる段階で消してしまい、
もう脱力で~、同じ記事を書く気力がないまま放置していました。。いい加減我ながらイヤになります

「昔読んだ原作は面白かったよ」と子供が言っていたけど、、児童書だしなぁ…
と、余り期待をしなかったので、これはふつうに楽しめました
主演のクリス・マッソグリアくんはお初でしたが、アクのない容貌にちょっとジョナサン・リス=マイヤーズっぽい涼しげな目がいい男の子でした。
テラビシアにかける橋」のジョシュ・ハッチャーソンくんも前回のイメージを覆すアブナイ少年、好演してました!

今回のストーリーは原作のおよそ4分の一までだそう。
まるで狙われたように二人の少年の運命が、対立する種族のバンパイヤによって変わってしまう展開も、
ハーフバンパイアになる儀式も、面白くちょっと納得。
「パーシー・ジャクソン~」ではデミゴッド(神話の神と人間のハーフ)の少年が主人公のファンタジーだったけど、
コチラはバンパイアと人間のハーフのダレン少年。
う~ん、人間にはないチカラを持ちたいものなんでしょうか、少年時代って。で、やっぱり悪と戦いたいんでしょうね。

で、やはりパーシーと同じように、その身体に備わったチカラをコントロールする為にサーカスの一団に紛れて修行もします。
人間の血を吸うことに抵抗するダレンは、どうしてその危機を乗り越えるのか?!
凶暴なバンパニーズを倒すことは出来るのか?!

意外だったのはサーカスの団員たちが、それぞれに持つ能力が、
やはり見世物の域を出ず、案外戦力にならないこと。
それでも彼はバンパニーズから身を護り、愛する人を護りきれるのか?!


ダレンの戦いは始まったばかり―。

近所の映画館は3軒とも日本語吹替版のみだったので、仕方なく吹替で鑑賞。
ダレン役の山本裕典くんはさほど違和感なかったし、謙さんはもちろん、クレプスリーとか他のキャストはちゃんと声優を起用していたのに、
なぜーーー!! LiLiCo?!?!
LiLiCoのひげ女(マダム・トラスカ)は正直ドン引き ...あれは無い。あれはサルマ・ハエックに失礼。
だって、、もう喋るなよ~って思ってしまいましたもん
もし続編が公開されるのであれば、プロの声優かせめて女優を使って欲しいです。

誰かが私にキスをした

2010-04-03 17:44:29 | the cinema (タ行)
原題 MEMOIRS OF A TEENAGE AMNESIAC
製作年度 2010年
製作国・地域 日本
上映時間 124分
原作 ガブリエル・ゼヴィン『誰かが私にキスをした』(集英社文庫刊)『失くした記憶の物語』(理論社刊)
脚本 ガブリエル・ゼヴィン 
監督 ハンス・カノーザ
出演 堀北真希/松山ケンイチ/手越祐也/アントン・イェルチン/桐島かれん/渡部篤郎

階段から落ちて病院に運ばれたナオミ(堀北真希)は、過去4年間の記憶を失い、退院して復学するものの、すべてが初めての景色だった。混乱するナオミの前に、病院まで付き添ったユウジ(松山ケンイチ)、親友のミライ(手越祐也)、アメリカ人のエース(アントン・イェルチン)が現われ、微妙な四角関係が始まり……。

日本でも評価の高かった「カンバセジョーンズ」(未見)の脚本・監督コンビだということだったし、
何よりキャスティングされている松山ケンイチくんとイェルチンくんに惹かれて行ってきました。
が、良かったのはこの二人と渡部さんだけ。
私としては「めがね」以来の大ハズレな邦画(でいいんだよね?)となりました。

まず堀北真希ちゃんは、かなり英語は頑張っていたけど、演出もあるかもだけど表情から伝わってくるものがない。
セリフもそうだけど、情感が薄いコなんだなぁ、、とここでも思ってしまったし、
ミライ役、他にいなかったの?!ジャニでなければいくらでもいそうな気がするのにヒドすぎる。
メインのふたりがこうだからなのか、そもそも脚本自体もナオミの人物設定があやふやなのか、
彼女の変化(記憶を無くした後の)を周りが歓迎している描写があまり意味をなさないので、
あの結末だと、ナオミの意思がどこにあったのか解らない。それで恋と呼べるのか不思議な映画だった

以前恭子ちゃんが出演したドラマ「ハコイリムスメ!」で、灯(恭子ちゃん)にプロポーズする日に事故にあった徹郎(吉沢悠)が逆行性健忘症となり、
過去数年(2年?)の記憶が消えてしまい、
更にはその時期には性格が変わってしまうことも多いという事で、穏やかな青年だったテツロウが攻撃的になって灯を悲しませた。
事故後勉強についていけないなど、やはりその状況の心理描写にはこのドラマの方がかなり真実味がある。

トラウマを抱えるユウジ 
心の病を抱え、感情の起伏のあるユウジ・松ケンは凄くよかった
この中では結構出演シーンも多く、かなり松ケンの素敵を堪能できるも、
彼のトラウマのそもそもが語られていなくて、兄の死にユウジがどう絡んでいるのか最後まで不明。
エースに至ってはとてもテキトウな設定。。。何だったのか(爆)
演技的には申し分のないこの二人だけど、だからこそ、こんな作品に出て欲しくなかったかも。。。

シーンの繋ぎも唐突だったり、無理やり感があるし、
ラブストーリーというにはハガキ一枚で元鞘に収まる安直さが、いかにも軽い。浅い。
という事で、残念な作品でした。 

時をかける少女

2010-03-20 21:26:15 | the cinema (タ行)
あなたに、会いにいく。
記憶は消えても、
この想いは消えない。

上映時間 122分
原作 筒井康隆
脚本 菅野友恵
監督 谷口正晃
出演 仲里依紗/中尾明慶/石丸幹二/青木崇高/石橋杏奈/千代将太/柄本時生/キタキマユ/勝村政信/安田成美

筒井康隆の名作SFを実写映画化した青春ファンタジー。
今度は母・芳山和子に願いを託されたヒロインが70年代にタイム・リープする。
大学進学を控えた芳山あかり(仲里依紗)は、入院中の母・和子(安田成美)に代わって1970年代にタイム・リープ。その目的はただひとつ、昏睡状態に陥った母の初恋の人・深町一夫(石丸幹二)に出会うため。自分と同世代の若き頃の母と、幼い頃に別れたきりの父との意外な青春時代。そして、深町探しに力を貸してくれる映画監督志望の大学生、涼太(中尾明慶)との出会い。電話もメールもない時代に生きる様々な人々との出会いを通して、あかりは成長していく――。

大林宣彦・原田知世の「時かけ」の主人公が、今作では親になり、その娘に託す「土曜の理科室」
1970年代にはまだ小学生だったという年下の友人と観てきました(笑)

原作をご存じなくても楽しめる内容ですが、
1983年版の作品をご存知の方の方が、より楽しめるかもしれません。その、切ないまでの過去の想いにおいて。。
キーワードも、「フカマチカズオ」・・・「ラベンダー」・・・「サクラ」

主演の仲里依紗ちゃんは、恭子ちゃんとのドラマ「学校じゃ教えられない!」で知ったわけですが、
その後「ちーちゃんは悠久の向こう」で初めて彼女の主演作を観たのですが、やはり片鱗を感じました。

そして、彼女の母親役の安田成美さんがヨカッタ
この所は幾つかのCMで復帰されていましたが、彼女の演技を観るのは慎吾クンとの連ドラ「ドク」以来。
チャーミングで、品があって、、芳山和子が順調に年をとってきたのだと感じさせてくれました♪

そして―土曜日の理科室??

この1970年代の青年・涼太を演じるのが中尾明慶くんなんですが、これが実に嵌っています(笑)
もう、どこからみてもあの頃いた青年なんですねぇ・・
ただ、
舞台が1970年代に入ったところで、テンポが急に遅くなった気がしました。
あの時代はたしかに今よりゆるく時は流れていたでしょうが、この作品を観ているのは2010年を生きている人たちなので(笑)
正直、テンポの遅さにダレてしまう部分もありましたが、
解っていてもクライマックスではやられます・・・

ここでもタイムパラドックスと言う問題が立ちはだかり、切なさを産むのですね....
現代に戻ってきたあかりがどう描かれるのかが最大の興味でしたが、期待したもうひと盛り上がりはなかったけれど、
母と娘、2代にわたる殉愛のドラマが素敵でした

台北に舞う雪

2010-02-27 01:04:37 | the cinema (タ行)
──きっと誰かが
あなたに恋してる。

原題 SNOWFALL IN TAIPEI/台北飄雪
製作国・地域 中国/日本/香港/台湾
製作年度 2009年
上映時間 103分
脚本 ス・ウ/田代親世
監督 フォ・ジェンチイ
出演 チェン・ボーリン/トン・ヤオ/トニー・ヤン/モー・ズーイー/ジャネル・ツァイ/テレサ・チー

中国の名匠フォ・ジェンチイ監督が手掛ける切ないラブストーリー
新作発表直前に突然声が出なくなった新人歌手のメイ(トン・ヤオ)は、誰にも告げずに台北から姿を消す。たどり着いた小さな田舎町で、メイは孤児として育った青年モウ(チェン・ボーリン)と出会い、彼と共に過ごすうちに元気を取り戻していく。一方、モウはメイが台北に残してきた気持ちに気づきながら、彼女への思いを静かに募らせるが……。

母は幼い時に一人でこの町を出て行き、育ててくれていた祖母が亡くなって孤児となった自分を面倒みてくれた町の人々。
そんな町に暮らす人たちへの恩返しの気持ちを込め、町中の雑用をこなすモウは
よく気がつく優しすぎる青年。

今日も酔った旅行者の宿泊先の世話を頼まれる。
毎日忙しく町中を自転車で走り回るモウは有名人の顔さえ知らない。
ただ歌手なのに喉を壊して声が出ないメイを護ろうと、ごく自然に接していく中で、
二人は互いの立場や生い立ちを話すようになり…

優しさを通わせる.....

メイのいた台北の煌びやかでどこか寂しい都会と、
モウの住む渓谷沿いの町青桐(チントン)の、緑に囲まれて生活する人たちの肌のぬくもりが感じられるような町が、
交互に映されて、
温かなモウに癒されていくメイと、恋心を忍ばせるモウの日々が描かれるだけ.....

雨の多い台北の、
窓を伝う雨が効果的に使われて、幾度かメイの心を雄弁に語りかけてきます。

冬でも暖かい台北に、雪は降らない―ハズ・・・

ベタでなんの捻りもないラブストーリーですが、
飾らない田舎の好青年、チェン・ボーリンクンが凄くいい
藍色夏恋」「暗いところで待ち合わせ」の頃より、かなり切ない度は高いかも♪
カンフー・ダンク!」とは180度違うチェン・ボーリン♪ファンは是非

++++++++++++++

願いごとを書いた天燈(ランタン)を飛ばす素敵なシーンがありますが、
これは実際に12月31日に、本当にたくさんの旅行者が平渓に来て天燈を飛ばしている中で撮影されたものだそうです。
この平渓(ピンシー)郷の大晦日の行事にあげる天燈は諸葛孔明が作ったとされる気球の一種で、孔明灯ともいわれるものだそうです。
もちろん「レッドクリフ」の金城・孔明のアノシーンを思い出しました~

DIVE!!

2010-02-23 01:42:53 | the cinema (タ行)
製作年 2008年
上映時間 1時間55分
原作 森絵都
脚本 戸田山雅司 / 林民夫
監督 熊澤尚人
出演 林遣都/池松壮亮/溝端淳平/瀬戸朝香/蓮佛美沙子/光石研/江守徹/山崎将平

知季(林遣都)は小学生のころ、要一(池松壮亮)の美しい飛び込みに魅せられてダイビングクラブに通い始める。中学生になった彼らを元オリンピック選手で要一の父親でもあるコーチ(光石研)が指導していたが、クラブの経営は赤字続きだった。そのような状況を打開するため、ある日アメリカ帰りの新コーチ(瀬戸朝香)がやって来る。

先日の砂時計で久々に大注目の若手をみつけた気がした池松壮亮くん出演というので(笑)
早速レンタルしてきました♪

高さ10m時速60Kmわずか1.8秒の勝負
元々スポコンものは好物ですが、コチラもキラキラ爽やかな青春ドラマでヨカッタです~

"ダイヤモンドの瞳"を持つ坂井知季、普通の中学生。
元オリンピック選手を父に持つ"孤高のエリート・ダイバー"冨士谷要一。
伝説のダイバーを祖父に持つ"津軽の野生児ダイバー"沖津飛沫。



過度に期待されない"普通"というのも、知季にとっては個人の外せない枠組みであり、
なまじ父親がコーチであり要一自身も期待に沿った成績を上げていることから、本人のヤル気を無視され続ける孤独。
この二人は結構キャラが描けていて判りやすかったけど、
溝端淳平演じる飛沫の心理だけがイマイチ良く判らなかったのが残念なところ。

3人三様の悩みがありつつも、クラブを存続させる為にライバル心に目覚め、友情を感じつつ
ダイバーとして成長していくストーリーは、そのまま映画の撮影のために3ヶ月の合宿でトレーニングを積んだ、
この作品のキャストの少年たちの心理にも近いものがあったようにも感じました。

好きなことや遊びもガマンして、
自分を鍛え、まだみぬ高みを目指して競い合うダイブボーイズ!

それは、おそらくは自分から飛び込んだ俳優という世界で演じる準備段階とはいえ、
親元を離れてダイビング漬けになる日々の中で成長する、この時17歳の少年たちも同じように
ライバル心をかきたてられ、刺激し合っていたのではないかと、そこは自然に見えました。

それでも、3人の過酷な練習よりもあっさり目な練習風景も、そんなもんじゃないだろうーという気がするし、
終盤の選考会の、前触れなしの3人の不調が、唐突過ぎで、
いかにもカットされたような、申し合わせたような不調が揃って表れるというのがナンとも残念でした。


バッテリー」では孤高の天才ピッチャーだった林遣都くんが、今回明るい普通の少年を演じているのも新鮮。
池松壮亮くんは、「ラストサムライ」で感じた存在感、そのままで、やっぱりいい成長を感じましたし、
溝端淳平くんは多分初めてですが、鍛え上げた身体と、美しいフォームに感心しました!

という訳でこの作品に関しては池松くんが目当てだったので、意外にストイックな役も嵌り、十分満足
彼の4月公開の主演作『半分の月がのぼる空』がとても楽しみになってきました

Dr.パルナサスの鏡

2010-02-03 23:58:34 | the cinema (タ行)
鏡の中は、わがままな願望でいっぱい
この迷宮から、
大切なひとを救えるのか──?

原題 THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS
製作年度 2009年
製作国・地域 イギリス/カナダ
上映時間 124分
監督 テリー・ギリアム
脚本 テリー・ギリアム/チャールズ・マッケオン
出演 ヒース・レジャー/ジョニー・デップ/コリン・ファレル/ジュード・ロウ/クリストファー・プラマー/リリー・コール/トム・ウェイツ/ヴァーン・トロイヤー/アンドリュー・ガーフィールド

悪魔との契約で不死身を望んだ男を取り巻く人々の皮肉な運命を豪華キャストで描く。
 
鏡で人々を別世界に誘う見せものが売りの、パルナサス博士(クリストファー・プラマー)の移動式劇場はロンドンで大盛況だった。観客は博士の不思議な力で自分が思い描く、めくるめく世界を体験できるのだが、そこにはある秘密があった。トニー(ヒース・レジャー)はそのアシスタントとして観客を鏡の世界へと導く役目を担っていたが……。

舞台は2007年のロンドン。
パルナサス博士率いる怪しげな旅芸人一座がやって来る。
一座の出し物、摩訶不思議な装置“イマジナリウム”は実のところ今ひとつ人気が無い。
そんな時、博士の娘(リリー・コール)と彼女に想いを寄せるアントン( アンドリュー・ガーフィールド)は死にかけた謎の男を助けることになる…

驚いたことに舞台は現代のロンドンだったんですね~
謎の男・トニーの白尽くめのファッションからも時代は読み取れない怪しさがあり、
博士のこれまたどこぞの教祖を思い出させる白装束と、魔よけの為なのか白塗りのメイクに、
怪しさいっぱいの幕開けですが、
解りやすいストーリー運びに、鏡の中の世界に楽しく引き入れられました

トニーを4人で演じる不思議も、
鏡のこちら側を亡くなる前に全て撮り終えていたというヒースが一人で演じ、
鏡の中に飛び込んでいくたびに年齢も、骨格も違うジョニー、ジュード、コリンが演じて違和感が無い不思議も、
あの特徴的なマスクというアイテムが大いにプラスとなっていました

ブラザーズ・グリム」の方が私はワクワクしましたが、コチラも先の読めない面白さがあり楽しめました!
神の声を伝えていた博士が落ちてしまう、悪魔の甘いささやき。
1000歳の長い苦しみ。
そして―、幾つもの煩悩を抱えた人間の欲望が露わになる迷宮で、正しい選択をしていけるのか?
その案内役は、これが見納めのヒースです。。。

「チャリチョコ」にも通じるものがあった気がする、大人の童話的世界でした
悪魔は友人のような顔をして、案外私たちの傍らで、
愚かな私たちの下す選択を面白がってみているのかも・・と思ったことでした。


平日の夕方の上映に駆け込んだのですが、
公開されて日にちが経っていたこともあり皆さんはご存知だったのでしょうか、
劇中で使用されていたヒースの着信音が鳴り止んでも、場内で立ち上がる人はいませんでした。
ギリアム監督に信頼され、この作品を完成させるために彼の意思を引き継いでくれた映画界のスターに愛されたヒース。
突然の若過ぎる死は不幸でしたが、やはり映画人としての彼は幸せだったと思うし、
死後、2年も経って新作を観る事ができて、私も幸せでした。


この3人の出演料は、ヒースの娘(マチルダちゃん)に寄付されたという記事を思い出し、
忙しい自分の撮影のスケジュールを調整して集まった3人のスターが、より素敵に見えて温かな気持ちになれたのでした......

TAJOMARU

2009-09-20 01:53:18 | the cinema (タ行)
上映時間 131分
脚本 市川森一/水島力也
監督 中野裕之
出演 小栗旬/柴本幸/田中圭/やべきょうすけ/池内博之/本田博太郎/松方弘樹/近藤正臣/萩原健一

芥川龍之介の『藪の中』に登場する盗賊“多襄丸”を主人公に、オリジナル・ストーリーで描く異色時代劇。
阿古姫(柴本幸)という許婚もいて将来を約束された畠山家の次男・直光(小栗旬)は、陰謀により家を追われてしまう。山中に逃げ込んだ二人は盗賊の多襄丸(松方弘樹)に襲われ、その際に阿古が言い放った言葉に直光は驚く。すきをついて逃げ出した阿古を追う多襄丸を殺めてしまった直光は、死にゆく多襄丸から彼の名前を継ぐよう託される。

大納言が急逝した事により勃発する畠山家のお家騒動は、八大将軍足利義政(萩原健一)が放った一言によって幕を開け、
家臣をも巻き込むお宝争奪戦へと発展する。

―信じていいのは誰なのか?最後まで本心が見えない、
信頼と裏切りのどんでん返し―

ではなかった!
「藪の中」でもなかった・・ま、視点を変えると多襄丸にとってはそうだったのか?
ただ一人多襄丸だけが「藪の中」だったともいえる描き方なので、観客はじれったいかも。

ただ、舞台は室町末期なのだけど、ライトな青春時代ものといった感じです。

今の少年少女がどのくらい芥川龍之介を読んでいるかは分からないけれど、
でも、時代劇スタイルだけど、紛れもない青春ラブストーリー。
これは現代の少年少女に贈る時代ロマンといえる作品だと思えます。
そう思って観ると、時代考証的にどうなの?とか、
数々の現代調のセリフや音楽も気にならない。
一つだけ、大人の解釈を要する部分もありますが(笑)今のティーンネイジャーには大丈夫でしょう

周りの空気読んだり、損得を秤にかけうまく立ち回ったりできない、しない男多襄丸。
裏切られても、罠に堕ちようとも嘘のない自分に立ち返る、純粋でアツイ男の物語。

クライマックスの多襄丸と桜丸(田中圭)は、
ちょっと汚れた王子さまと、チョット毒のある牛若丸っぽい(笑)
二人とも、あの立ち回りには凄く不向きな意匠で、迫力のある殺陣を披露していました。
けど、何気に一番殺陣のシーンが多かったのは田中圭くんでしょう。頑張っていましたね。

小栗君と池内くんのツーショットはGTOを思い出させます。
もう10年以上前ですし、池内くんは大人になったなーと思いましたが、旬くんはこの作品ではなぜか凄く幼く見えました。

この、裏切られても騙されても、決して自分自身を裏切らない男の生きる姿を、
今の若者をスライドさせただけの描き方は、
時代が変わっても伝えたい男子像なのかも。
時代劇だからということに全く気負わない旬君の演技に、
これはそう、若者になって行く前の世代に向けた作品なんだと、確信して観てました。

でもねぇ・・・あのラストは古い。
ってか、行く末が心配(笑)
ま、地獄谷の様子から驚異的回復だった阿古姫だし(笑)心配しなくていいのか

天然コケッコー

2009-08-26 00:22:14 | the cinema (タ行)
もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、
ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう

製作年度 2007年
上映時間 121分
原作 くらもちふさこ 『天然コケッコー』(集英社『コーラス』連載)
脚本 渡辺あや
監督 山下敦弘
出演 夏帆/岡田将生/夏川結衣/佐藤浩市/黒田大輔/大内まり
あらすじ: 小中学校合わせても、たった6人の生徒しかいない田舎の分校に、東京から転校生の大沢(岡田将生)がやってきた。そよ(夏帆)は、都会の雰囲気漂う大沢に心ときめくが、彼の冷たく乱暴な言動に戸惑いを覚える。しかし、海水浴でのあるできごとをきっかけに、そよの大沢に対する印象が変化し始める……。

コチラも丁度忙しい時期にかぶって公開になったので、つい見逃し、そのままになっていましたので、
お盆休みにお家鑑賞~。
時期もぴったり、なんだかゆったりした気分になれる作品でした

舞台の島根の田舎町は、どこか置き忘れてきた故郷を感じさせる懐かしく、美しい自然にあふれて、
思わず帰りたくなりました、わが故郷みたいに(笑)

ヒロインは自分のことを「わし」という、方言丸出しの中学2年生。
イケメンさんの転校生も気になるが、2つ年下の弟思いで、下級生の面倒も保母さんのように見てきた。
仲良しだった全校生徒6人に転校生が加わり、
思春期のそよを始め、子供たちに新しい風が吹いてくるが・・・

ド田舎にいても思春期はやってくる。
純粋な少女もオシャレはしたい。
夏祭りに、手作りチョコに、修学旅行、ルーズソックス。そして卒業―。

取り立てて珍しい事件も起きないし、
田舎の"時"はゆっくり過ぎていく。
そして、何かに目覚め、傷つき、気づき・・・
少年も、少女も、成長していく。当たり前のように―。

誰かが風邪を引けば、翌日にはみんなが知っているような田舎の暮らしが、
いやみなく描かれていて、
佐藤浩市が、ほんとの村人にみえるくらい溶け込んでいる(笑)
最初冗談かと思った「行って帰ります♪」はすごいね正しいよ

子供は自然と、子供との付き合いの中で揉まれ、成長する。
ちゃんと大人をも見てるし、大人になるという事を知っていく。
それを証明していくかのような作品でした
自分の中で、それぞれ理不尽なことも、いやだった事も、ちゃんと折り合いを付けるようになる。
お父さんを見たそよちゃんのように。
スッキリした最後の大沢君のように
 
爽やかで後味のよい青春ドラマでした~

ターミネーター4

2009-06-07 22:21:12 | the cinema (タ行)
どこで誰が、未来を変えたのか?
原題 TERMINATOR SALVATION
製作年度 2009年
上映時間 114分
監督 マックG
出演 クリスチャン・ベイル/サム・ワーシントン/アントン・イェルチン/ムーン・ブラッドグッド/コモン/ブライス・ダラス・ハワード/ジェーン・アレクサンダー/ジェイダグレイス/ヘレナ・ボナム=カーター/ローランド・キッキンジャー

人類滅亡を目論む機械軍(スカイネット)が引き起こした核戦争“審判の日”以後の荒廃した世界を舞台に、追いつめられたジョン・コナーら人類抵抗軍の存亡をかけた壮絶な戦いを圧倒的スケールで描く。
“審判の日”から10年後の2018年。人類軍の指導者となり、機械軍と戦うことを幼いころから運命づけられてきたジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)。今や30代となった彼は、人類滅亡をもくろむスカイネットの猛攻が開始されようとする中、ついに人類軍のリーダーとして立ち上がることになる。(シネマトゥデイ)

全国一斉先行上映の夜10時から、行ってきました。
面白かったですが、これからご覧になる方、お急ぎでなければシリーズ「1」「2」はご覧になってからの方が良いかも知れません。
あんなに何度も観た作品だからと、復習しないでいきましたが、
ちょっと途中のセリフで、頭の中グルグルでした

2003年の「ターミネーター3」は私は不思議に余り覚えていないのですが
「1」の鮮烈な出会い。「2」の怖さと感動、それとはまた違う興奮があり、これはかなり面白かったです

なのでこのシリーズの設定を簡単に
近い未来に「審判の日」と呼ばれる核戦争がおこり、人類は壊滅状態になり、これによってスカイネットと呼ばれるコンピューターが社会を支配する。
しかしこれに生き残った人間が抵抗し、その組織の指導者がジョン・コナー。
かくしてスカイネットはこのリーダーであるコナーを「審判の日」より前に抹殺すべく、ターミネーターを送り込む。
一方のサラやジョンはスカイネットを破壊し「審判の日」を回避しようとするが―

本作では回避できなかった「審判の日」から10年後の荒れた世界に、抵抗軍として戦う30代のジョン・コナーが、
今はまだ10代の、将来自分の父となるカイル・リース(アントン・イェルチン)を捜し出し未来の為に守ろうとする姿が描かれる。



スカイネットに次ぎなる人生を死刑と引き換えに契約してしまった囚人マーカス・ライト(サム・ワーシントン)が謎めいていて、
彼と知り合うヴァージニアという抵抗軍の女兵士、
カイルと共に密かに抵抗を続けていたスターという少女など
魅力的なサブキャラがいっぱいで、今までの孤独な戦いとはまた違う面白さです!



キャラクター創造は引き続きジェームズ・キャメロンとゲイル・アン・ハード。
今回はモトターミネーターとか水中用のヘビ型ターミネーター、ハイドロボットが登場。
終盤に出てくるT-800型ターミネーターのシュワちゃん役は、シュワちゃん激似のローランド・キッキンジャーという俳優さんなんですね。
アチラのTV「シュワルツェネッガーは行く!」という番組にも出演している元ボディビルダーだということですが、CG加工の所為かホントに良く似ていました
(と、思ったら、顔だけは「1」の時のシュワちゃんをもとにしたCGでした!納得です~)

何度か飛び上がりましたが、怖さとしては「2」には及ばないものの、また新しいシリーズとしての期待は十分!
でも、ちゃんと3部作で作ってくれるんでしょうかね?