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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

チョコレート・ファイター

2009-05-29 21:12:02 | the cinema (タ行)
原題 CHOCOLATE
製作年度 2008年
製作国 タイ
上映時間 93分 映倫 PG-12
監督 プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演 ジージャー/阿部寛/ポンパット・ワチラバン/ジョンアマラー・シリポン/イム・スジョン/タポン・ポップワンディー
日本の大物ヤクザ、マサシとタイ人女性ジンを両親に持つゼン。自閉症の彼女はチョコレートとアクション映画が大好きな女の子。たぐいまれな身体能力で、ビデオで一度観たアクションをすぐに自分の技にしてしまう。美しく成長したゼンはある日、最愛の母ジンが白血病に冒されていることを知る。多額の治療費を工面するため、ジンの手帳に記されたリストを頼りに、彼女が金を貸している人々を訪ねて金を回収してまわろうとするゼンだったが…。

「レッドクリフPartⅠ」の2倍以上の興行収入をあげるミラクルヒットになったというタイ映画「チョコレート・ファイター」観て来ました!
とにかく、凄かったー

チラシの「スタントなし!」「生傷アクション!」は本当だった
主演のジージャーは"バンコク・ユース・テコンドー大会"で金メダルという黒帯3段の実力派でありながら、
4年間もの間、体力、耐久力、柔軟性増強の為の厳しいトレーニングを受け、
ムエタイ、体操の基本、武器の使い方、
スタントマンとのアクションシーンにおける立ち位置やタイミング、受け身の技法や武術テクニック等をみっちり指導を受けて撮影に望んだと言う、
その長い準備期間を経て繰り広げられるバトルの臨場感は、
凄いんだけど、華麗でもある

ストーリーなんて凄く単純で、余り意味がないというか、、
だけどそのシンプルさが、この場合よかったかも!

私は阿部ちゃんはラブストーリーの似合わない俳優だと思ってるんだけど、
ここでは珍しい阿部ちゃんのラブシーンが観れます
そして、これまた珍しいアクションシーンも!


阿部ちゃんの初日舞台挨拶の記事に、アチラの名だたる格闘家にぼこぼこにされたシーンは
結局撮り直しになったそうですが、
すごい強さのパンチをくらって鼻の骨が折れそうだったんだけど、
タイではリアルファイトが当たり前なので相手も謝ってくれないし、スタッフも当然って顔してるんですよ

という談話がリアルであったと、本編が終わって直ぐのメイキング映像が物語ってます

CGナシ、ワイヤーなし、しかも!ビルから落下するシーンにはマットさえないんです
常に医療スタッフが待機していたんですね・・・・
それでも、この時既に24歳のジージャーが、とっても幼く見え、
そのか細い身体から繰り出される技の数々に感嘆し、
ジャッキーの映画に初めてであった時(龍拳?)の爽快さを思い出しました。
でも、
ここで、この作品の主人公の設定が活きているというか、彼女の容姿が活きていると言うか、
苦手なイタイシーンの連続なんだけど、後半の怒涛のアクション、死闘には
自然に涙が流れます。
泣きながらこんな少女の戦いを見たのは初めてでした。

5月は邦画を含めたアジア映画を続けてみている気がしますが、
今のところ大きくハズレナシといったところアクション好きの方、一見の価値ありの作品です

チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室

2009-04-23 22:53:45 | the cinema (タ行)
彼はいつも君を待ってる──あの場所でね。
原題 CHARLIE BARTLETT
製作年度 2008年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 97分 映倫 PG-12
監督 ジョン・ポール
音楽 クリストフ・ベック
音楽監修 デイヴ・ジョーダン/ジョジョ・ヴィラヌエヴァ
出演 アントン・イェルチン ホープ・デイヴィス/カット・デニングス/ロバート・ダウニー・Jr/タイラー・ヒルトン

有名私立高校を退学処分になった金持ち高校生チャーリー・バートレットが、転校先のハイスクールで新たな騒動を巻き起こす青春ストーリー。
偽造運転免許証を生徒たちに売りさばき、名門私立高校を退学になったチャーリー・バートレット(アントン・イェルチン)。頭脳明晰(めいせき)な金持ち子息の彼は転校先の公立高校で不良たちのいじめに遭うが、それをきっかけに生徒を対象にしたカウンセリング業を思いつき、自らが精神科の医師たちを欺いて手に入れた処方薬を売りさばこうとする。(シネマトゥデイ)

17歳のセレブ高校生が巻き起こす事件と、彼の周りで繰り広げられる若者の青春ドラマ。
いかにもB級っぽい雰囲気ですが、これがなかなか良かったです!
いつもあらら、な邦題も今回はOK~

そのタイトルから(予告は一度も目にしてない)ほぼ予想できる内容ながら、
実は大きな勘違いもあって楽しみにしていたんです。
その勘違いとは、主演のアントン・イェルチンくんを、ジェイミー・ベルくんと思い込んでいました
始まっても、これが兄弟かと思うくらい似てるんですよね~、「ディファイアンス」の時に

そのジェイミーくんに激似のアントンくん演じるセレブな高校生は、
非凡な才能を、ただ人気を集めることだけに使い、私立高校は全部追い出され、
残った公立高校に素直に通い始める。

その冴えないウエストサミットハイスクールで、彼が出会う様々な高校生の内に潜む屈折した思い―。
ただの人気取りの軽いお坊ちゃまではない。どんな関わりを持った人にも、その裏にある何かを感じ取り・・・
それぞれの悩みや、心の痛みに応えようと、
彼は男子トイレの住人になる、アシスタントもいる

日本の公立高校も随分雰囲気が変わってきていると聞いているが、この高校の比ではないと思う。
そんな高校も、管理に向けてカメラを取り付けることに。
歴史教師から校長になって、ストレスを抱えるロバート!
ええ~~~っという普通のロバート・ダウニー・Jrが可愛いですよ~

大人の悩みの種もいろいろ。
高校生の悩みの種も、十人十色

お金?友達?SEX?自由?進路?家族?
自由があっても満たされない。
才能があっても、悩みはある。
子供なんだけど、誰もがそれだけじゃいられない
そんな17歳の、軽いだけじゃないお話の続きは、男子トイレまで(笑)

コメディタッチの楽しい作品ですが、爽やかに心の泥を払ってくれるような(笑)素敵な作品でした
それと、使用される音楽も凄く好みだったな~

トワイライト~初恋~

2009-04-06 00:54:46 | the cinema (タ行)
上映時間 122分
原作 ステファニー・メイヤー 『トワイライト』(ソニーマガジンズ刊)
脚本 メリッサ・ローゼンバーグ
監督 キャサリン・ハードウィック
出演 クリステン・スチュワート/ロバート・パティンソン/ビリー・バーク/ピーター・ファシネリ/エリザベス・リーサー/ニッキー・リード/アシュリー・グリーン

人間とヴァンパイアが禁断の恋に落ちるファンタジー・ロマンス。
原作は10代の女の子を中心に世界的ベストセラーとなったステファニー・メイヤーによるヤングアダルト小説シリーズ。
母親の再婚を機に、父親とふたりで暮らすため引っ越してきたベラ。新しい土地の気候にも学校にも馴染めずにいるベラは、同じ高校に5人の不思議なセレブ兄弟姉妹が通っていることを知る。中でもひときわ美少年のエドワードに惹かれるベラだが、エドワードはベラを避けているように感じる。そんなある日、ベラに一台の車が突っ込んできた時、エドワードが人間離れした力で彼女を助けて急接近するふたりだが・・・。

なんだか見覚えある二人は、「ジャンパー」の彼女と、美しく成長したハリポタの魔法使いでした♪

コレは、観ると解りますが(笑)バンパイアはジャンパー?って感じです!
「ジャンパー」の修正版?と思えるほどに、
アノ作品に足りなかったものがこの作品にはありました♪

美しき特殊な種族のヴァンパイアのエドワードは、どことなくヘイデン君に似ていますし。
角度によってはLOTRのオーリーにも似てるかも

うん、人間離れ、してた

ヒロインのクリステン・スチュワートも、守ってあげたくなるような美少女ぶり♪
彼の正体を知っても揺れないの
自分の命より、彼を失う方が辛いだなんて・・・もう、こんなセリフのオンパレードよ
だって、彼は強くて、美しくて、一途で、おまけにセレブだし、無敵(最近ウチの子がつかう)よ!
相手はヴァンパイアだけど、ホラーではなく、シンプルに純愛物語♪

カレン一家が、揃ってちょっとムチムチ系だったのが気になりましたが
皆、あの白塗りが似合ってて、謎めいた雰囲気があり7人が揃うところはそれなりにカッコ良かったです!
イマドキのヴァンパイアです(笑)棺桶もニンニクも、マントもなし(笑)
トーフも知ってるし(食べないけど)、インターネットもやるみたいだし、野球もするのよ
チョット変わってるけど(笑)
ただ、高い所に移動するスタイルは、ジャンパーの方が好みかも(爆)

原作がヤングアダルト小説なので、それなりの舞台、設定ですが、
美しい人間と、永遠に生き続けるヴァンパイアの初恋は素敵です♪
アクションもあり、人間との距離感もあり、結構スリリングで楽しめますよ~

春休みということで、小学校低学年のお子さん連れの若いママさんが結構いらしたのには軽くびっくり。
まあ、、難しいことは何も無いけど
デートムービーとしてイイんじゃないでしょうかね
私は結構楽しみましたので、続編、いつ公開かわかりませんが、きっと観ると思います~

ダイアナの選択

2009-04-04 01:28:27 | the cinema (タ行)
原題 THE LIFE BEFORE HER EYES
製作年度 2008年
上映時間 90分 映倫 PG-12
原作 ローラ・カジシュキー 『春に葬られた光』(ソニーマガジンズ刊)
脚本 エミール・スターン
監督 ヴァディム・パールマン
音楽 ジェームズ・ホーナー  
出演 ユマ・サーマン/エヴァン・レイチェル・ウッド/エヴァ・アムリ/オスカー・アイザック/ガブリエル・ブレナン

ローラ・カジシュキー原作の小説「春に葬られた光」を『砂と霧の家』のヴァディム・パールマン監督が映画化した心理劇。
高校生のダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は登校後、いつものように親友のモーリーン(エヴァ・アムリ)とトイレでおしゃべりに興じていた。そんなとき、突如銃声と叫び声が聞こえ、しばらくすると銃を手にしたクラスメートが乱入して来る。いきなり彼女たちは目の前に銃口を突きつけられ、死ぬのは二人のうちどちらかだと言われ……。(シネマトゥデイ)

一度だけ予告を観た以外、そしてお付き合いのあるブロガーさんたちの"よかった"以外
ほとんど情報を持たないで見に行きました。
おかげで一時も集中を切らさずこの作品の中に引き込まれ、満足できる内容でした

地元の高校に通う17歳のダイアナ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、コネチカット州郊外のスモール・タウン、ブライアー・ヒルの退屈な日々にうんざりしていた。
学校でももてあまし気味の不良少女だったが、彼女に心を許せる親友が出来る。
親友の名はモーリーン(エヴァ・アムーリ)。
毎週日曜日の礼拝を欠かさない品行方正な純粋な女の子。
性格も生き方も正反対の二人だったけど、
シングルマザーの家庭で育ったこと以外には共通点がなくてもなぜか気が合い、
ちいさなケンカをしても互いに歩み寄りいつも一緒だった。。。
かけがえのない存在として支え合っていた―事件の時も・・・。

授業前のトイレで、ダイアナはロクでもない男にあろうことか振られ、自虐的にその話をし、
モーリーンは片想いの男の子に誘われていたことを打ち明けていたその時、
17歳の二人は、この世で想像だにできない究極の、残酷な選択を強いられる。
ここで私は、日本のあるドラマのあるシーンが、頭に浮かぶ。そのことには後で触れようと思う。

なぜそのような事件が起きたのかには全く触れられない。
しかし、事件から15年後。
ダイアナ(ユマ・サーマン)は、その時のトラウマに悩まされつつも、幸せな家庭を持っていた。
誇れる夫に、昔の自分にそっくりな生意気盛りの娘エマ。そして、生徒に囲まれ美術を教え、
昔の自分の母のように、娘の学校に呼び出され・・・
そしてまた何度もフラッシュバックする、あの日、あの時。
なぜか反抗していた自分の高校時代、いつも一緒だったモーリーン・・・・・・


今でも記憶に鮮明なコロンバイン高校乱射事件や、その後いくつか続いた学校における銃撃事件。
全くテレビのニュース映像でみたシーンと同じような衝撃的シーンが冒頭にあるが、
その惨劇にもう一つの残酷な運命を決める出来事が二人の少女の身に起きていたこと、
その選択が何を与え、何を奪うのか―。それを知る物語。

深く、濃い内容のテーマを持った、見応えのある作品でした。



何時もと同じように始まったかに見えるある朝、突然生か死かの選択を強いられる、何事にもやる気のない17歳の女子高生―ということで、
「神様、もう少しだけ」で、真生が医師にHIVであることを告げられるシーンを思い出しました。
勿論、その後のヒロインの人生には共通点はない。あるのは、
輝ける青春の日を、目的もなく無為に過ごして、自分を粗末にして過ごしてきた過去
ドラマ、「神様~」の真生はその宣告の時から、無駄に過ごす「時」が無いのを知る。
神の手で刻まれていく時の音を聞き、そこから「生きる」をスタートし、前向きになっていくのだ
が、
この作品のダイアナの過ごし方にも、取り返せない青春時代、
まさにあの時、彼女は真に生きることに目覚め、神の巻く時計の音を聞いたのではないかと考える。

良心の痛み―、を見つめながら、
あのドラマで真生が全校生徒に言う「今なら間に合う」というセリフを思い出していました。
退屈で、全てが無駄に思える学校生活から逃げ出したくても、「今なら間に合う」。
多くの10代のダイアナや真生のような高校生に見て欲しい、作品でした

ダウト ~あるカトリック学校で~

2009-03-29 01:55:40 | the cinema (タ行)
神聖なはずのカトリック学校で、
何が起こったのか?

原題 DOUBT
上映時間 105分
原作戯曲 ジョン・パトリック・シャンリー 『ダウト 疑いをめぐる寓話』
監督 ジョン・パトリック・シャンリー
出演 メリル・ストリープ/フィリップ・シーモア・ホフマン/エイミー・アダムス/ヴィオラ・デイヴィス/アリス・ドラモンド

トニー賞と、ピューリッツアー賞を同時受賞した舞台劇を原作者のジョン・パトリック・シャンレー自身が映画化。
1964年、ブロンクスのカトリック系教会学校。校長でシスターのアロイシス(メリル・ストリープ)は、厳格な人物で生徒に恐れられていた。ある日、人望のあるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が一人の黒人の男子生徒に特別な感情を持っているのではないかと疑念を抱くが……。(シネマトゥデイ)

シスター・ジェイムズ(エイミー・アダムス)はまだ未熟な教師。
彼女のクラスには学校が初めて受け入れた黒人の生徒がいるが、彼女には、
本校でただ一人の黒人生徒」の立場や心理に思いが及ばずにいる。
しかし、ある日のフリン神父の行動に疑念を抱き、誘導されるまま厳格な校長のアロイシスに打ち明けてしまう。
その言葉に喰いつくアロイシスは、疑念を晴らすというより、
執念ともいえる執拗さでフリン神父を追い詰めていく。

一方のフリン神父は、進歩的で、生徒や父兄の人望も厚い。
白人ばかりの学校で、孤立しているドナルドをある日授業中に呼びつけるのが疑惑の発端となる。

様々な小物やシーンを使って、アロイシスとフリン神父の生き方の違いを見せつけ
遂には二人の対決シーンとなっていくが・・・

ここで特筆すべきは、この舞台がケネディ暗殺の翌年であり、
アメリカにとっては失意から立ち直れていない、激動の年であり、変革が求められていた時代だという事。
いわば新旧の対立がいろんな場面で起きていた時代ともいえる。
そんな中、カトリック系教会学校も初めて唯一の黒人生徒を受け入れるのだが、
全校生徒を監視する以上の関心を持って、アロイシスがその生徒をみていたのは
彼女の中に、新しい物を受け入れがたい気質が起因しているように見える。

校長室で繰り広げられる、アロイシスとフリン神父の攻防は迫力があり、一番の見所。
しかし、アロイシスの「疑惑」は何故かいつの間にか「確信」めいて、
対するフリン神父は否定するも、彼女の「不寛容」さに終始しているのがいかにも弱い。
自信も根拠もないままに告げ口をしたシスター・ジェイムズは、事の顛末にオロオロし、アロイシスを責めるが・・・
疑惑と言う名の毒を盛ったのは浅はかなシスター・ジェイムズ。
毒に蝕まれたのは、疑惑を向けられた神父ではなく、アロイシスの方だったか。。。

この原作戯曲が絶賛された背景に、大量破壊兵器所持の疑惑を振りかざし9・11を招いたアメリカへの不信があるとか。
そういう目でみたわけじゃないが、まさに教会でのフリン神父の説教がソレらしい感じではある。
「疑惑」は晴らされず、「排除」に向かうのが恐ろしい。

見応えは十分ながら、予告で想像しうる以上のものはなく、メリルとフィリップ・シーモア・ホフマンの演技に尽きる。
舞台劇を映画化というのは流行なのかもしれないけど、これもやはり舞台で観る方がいいに決まってるって気がした

チェンジリング

2009-02-21 23:29:51 | the cinema (タ行)
どれだけ祈れば、
あの子は帰ってくるの──?

原題 CHANGELING
製作年度 2008年
上映時間 142分 映倫 PG-12
脚本 J・マイケル・ストラジンスキー
監督 クリント・イーストウッド
音楽 クリント・イーストウッド
出演 アンジェリーナ・ジョリー ジョン・マルコヴィッチ/ジェフリー・ドノヴァン/コルム・フィオール/ジェイソン・バトラー・ハーナー/エイミー・ライアン/マイケル・ケリー

1920年代のロサンゼルスで実際に起きた事件をクリント・イーストウッド監督が映画化したもの。
1928年、シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。(シネマトゥデイ)

常に時代と人間を、厳しくも凛とした眼差しで視ていて、スクリーンにそれを映し出し、
感動や反省や、忘れてはならない感情を呼び覚ましてくれる、
クリント・イーストウッドの監督作品、観てきました。
142分という長さを感じさせないミステリーとしても、実話ドラマとしてもとても良かったです!

これは「真実の物語」
クリント・イーストウッドが生まれる2年前、1928年に実際に起きた事件を元に、
行方不明の我が子を取り戻そうと闘った、一人の母の物語――。

多忙を極める電話会社の主任であり、シングルマザーのクリスティン・コリンズは、
休日を返上しなければならないハメに。
息子と暗くなるまでには帰る約束を取り交わし、出勤。
しかし、帰ってきた家に息子の姿はなく―
即日警察に捜索を願い出るが、24時間は受け付けられないと言われる。
しかし、、、無駄に日は過ぎ、時は流れ、
5ヵ月後に警察から引き渡されたのは別人だった。
「息子ではない」とその場で訴える彼女に、「この子は他にいくところがない」と押し付ける警察。

ここから彼女の、ロサンゼルス警察機構を相手に、身を挺した闘いが始まる。

そして、ここにもう一人、ロサンゼルス警察の腐敗を、ラジオを通して糾弾し、
彼らの不正を暴き正義を取り戻そうとする男が居た。
その男・グスタヴ・ブリーグレブ牧師は事件の経緯を見抜き、クリスティンに手を差し伸べてこういう、
「正しい戦い方をすれば」力になれると。
そしてその頃、
遠く離れたカリフォルニア州リヴァーサイド郡で少年課の刑事が一人の少年を逮捕していた。―

「少年が息子ウォルターとは別人である、その証拠もある」というクリスティンの記者会見直後、
彼女は危険人物と判断したジョーンズ警部によって精神病院に放り込まれる。
ここでの扱いは、「ターミネーター2」のサラコナーズを思い出す。
本当にこうであっただろうということに恐怖と共に怒りを抑えきれない。
しかし、ここには多くの理不尽な理由による入院を(監禁ともいう)強いられた女性がいて、
負けるわけにはいかないクリスティンの態度に共感してくれる人との触れ合いが描かれる。

レスター・ヤバラ刑事が養鶏場でサンフォード少年を逮捕後、
彼の告発を受け止め、人任せにせずに現場に戻ったこと。
何より、この事件を担当したのが泥にまみれていないヤバラ刑事だった事が事件解決の鍵だったように思う。


原題の「取替え子(チェンジリング)」とは、北欧の伝説の一つで、
妖精が人間の子をさらい、妖精の子を置いていくという事から転じた「嬰児交換」を指すものだそうだ。
元は、子供の死亡率が高かった昔、
取り替えられた人間の子は妖精の国で永遠の命を貰うという・・母親の心の救いを求めた民話だという。

言うべき時に言うべき言葉をいい、闘って、「ケリをつける」。信念を持って闘いながらも、
・・・5年後のヤバラ刑事と言葉を交わしたクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の表情が
まさにこのタイトルを意味のあるものにしていた

音楽でも、映像でも、過剰な演出を抑え、観る者の心の目に訴えてくる作品、
やはりイーストウッド作品にハズレナシ

ディファイアンス

2009-02-15 13:33:13 | the cinema (タ行)
人間として、生きるための「抵抗」だった
原題 DEFIANCE
製作年度 2008年
上映時間 136分
監督 エドワード・ズウィック
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演 ダニエル・クレイグ/リーヴ・シュレイバー/ジェイミー・ベル/ジョージ・マッケイ/アレクサ・ダヴァロス/アラン・コーデュナー/マーク・フォイアスタイン

第二次世界大戦中、オスカー・シンドラーに匹敵する約1,200人のユダヤ人の生命を救ったユダヤ人のビエルスキ兄弟にスポットを当てた感動ストーリー。監督は『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィック
ユダヤ人の大量虐殺が行われていた第二次世界大戦中の1941年。ベラルーシに住むユダヤ人の3兄弟、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)は子どものころからの遊び場だった森に逃げ込む。だが、彼らの思惑とは裏腹に、逃げ惑うユダヤ人たちが次々と森に集まり始め……。(シネマトゥデイ)

舞台は1941年、ドイツ軍に侵攻され、ナチス親衛隊と地元警察によってユダヤ人狩りが始まったベラルーシ。
両親を殺されたショックで怯えるまだ子供の四男・アロン(ジョージ・マッケイ)を連れて、
小さい頃から知り尽くしている森の中に逃げ込んだ次男のズシュ(リーヴ・シュレイバー)、三男のアザエル(ジェイミー・ベル)らは、
そこで長男のトゥヴィア(ダニエル・クレイグ)と合流するビエルスキの4兄弟。

忍耐強い長男と血の気の多い次男、冷静で敏捷な三男。ある時一人で行動していた四男が、森に潜んでいたユダヤ人を連れてくる・・・
そうしてその後も彼らの周りに行き場のない同胞たちは増え続け、
自然発生的にトゥヴィアが膨れ続ける人々の中心になり、
やがて"ビエルスキ・パルチザン"を名乗るようになるが、
「10人の敵を倒すより、一人のユダヤ人を救いたい」トゥヴィアと、武闘派のズシュとの間に亀裂も生じる。

ナチスによるユダヤ人狩りのために仕事を失い、家族の元を離れ、故郷に帰ってきたトゥヴィアやズシュ。
誰もが心に傷を抱える一般人にすぎなかった。

しかし、「戦わないユダヤ人」と揶揄される彼らが、生き延びるために戦う。
それは積極的な戦いでは決してなく、命がけの抵抗[ディファイアンス]。
同胞を親衛隊に売るドイツ人や、警察に向けてであり、命を脅かす場合に限っていた。
命を守るために、女にも武器を持たせ戦わせる。
それは自分たちで選び取った道だから―。

 ジャンパーにはならなかったけど(笑)今回もカッコイイ!

人数が増え、様々な職業の人にそれぞれの役割ができて、反面衝突も起きるし、
何より食料が不足し、病人も出る。
それらの要望に応え、絶えず判断を迫られるトゥヴィアは、次第にパルチザンのリーダーの風格を備えていく。
その一方で、略奪行為などを抑制にかかったり、さりとて食料はとても足りず、と、
指揮官として、大勢の命を預かる彼の内面の恐怖と苦悩がひしひしと伝わってきて
心が痛みます。
どんな局面でも、常に兄弟が中心となり、励まし、諌め、喚起し、
年齢やキャリアなども関係なく、このコロニーの人々を纏め引っ張っていく姿に感動します。

ダニエルはこの作品でも、寡黙で強く、優しい
そのダニエルを支える弟・ジェイミーくんがイイ超~カッコイイ活躍をします♪

大戦前には900万人いたといわれるユダヤ人が戦争終結時には600万人が殺されていたということを思えば、
飢えや寒さに苦しみながらよくぞ3年もの長い間生き延びたものだという気がするこの長い物語を、
ことさらオーバーな演出もなく、不足の中にも人間らしい生活を求めて耐え忍び、
「真に生きるその日がくる」まで、心に抵抗の志をもった人たちを描いていて
いい作品でした。

森と、そこで生きる人たちの魂を、優しく包み込むような音楽も凄く良かったです

大人しい四男役の男の子ジョージ・マッケイくんは確かに見覚えがあったと思ったら、
↓「ピーターパン」に出ていたネバーランドの子でした♪
 さて何処にいるでしょう~?

次回、『ジ・アドベンチャーズ・オブ・タンタン/シークレット・オブ・ユニコーン』で、
ダニエルとジェイミーはまたまた共演です!♪
今度はジェイミーが主人公、ダニエルは極悪非情な海賊レッド・ラッカム役だそう
シリーズ1作目はスピルバーグ監督、2作目はピーター・ジャクソン監督で決定してるとか。楽しみです

007/慰めの報酬

2009-01-29 22:46:10 | the cinema (タ行)
傷ついた心が、共鳴する。
原題 QUANTUM OF SOLACE
上映時間 106分
原作 イアン・フレミング
脚本 ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド/ポール・ハギス
監督 マーク・フォースター
音楽 デヴィッド・アーノルド
出演 ダニエル・クレイグ/オルガ・キュリレンコ/マチュー・アマルリック/ジュディ・デンチ/ジェフリー・ライト/ジャンカルロ・ジャンニーニ/ホアキン・コシオ

前作「カジノ・ロワイヤル」に引き続きダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役に扮した人気サスペンス・アクションのシリーズ第22作。
愛する人を失ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。(シネマトゥデイ)

前作「007/カジノ・ロワイヤル」で、ボンドを愛したために命を落としてしまったヴェスパー。
彼女の真実を知るためにミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及する、
前作のラストから1時間後から始まる完全に続編として作られている。
やはり復習していった方がよりすんなり楽しめると思います
(しかし誰しも同じ考えだとみえて、レンタルできないまま、もう行って来ました~)

冒頭から凄まじいカー・アクションでいきなりぐぐっと気持ちはボンドの同乗者。(笑)
そして、休むまもなく次々に展開していく007となったボンドの行動は、
執拗で、荒削り!
ダニエル・クレイグのボンドは本当に男っぽい!

洗練されていてスマートだったこれまでの007に比べると、
復讐心を秘めた荒々しさがかえって若々しく感じてしまったダニエル・ボンド
今回のボンドガールのオルガ・キュリレンコも、奇麗というよりキュート♪
どことなくまだ少女っぽさも漂うカミーユに接する時にみせるダニエルの優しさがよかったし、
今回、ちょっとドキッとするシーンもあったけど、
疑似親子のような上司M(ジュディ・デンチ)に向ける、揺るがない信頼も気分がいい

とにかく、前作以上にアクションに身体張ってます!
ボンドカーはものの数分でアナポコだらけだし、
武器を使わずに海上では迫力のボートでチェイス!
ロープでチェイス空中でチェイス!!
ボーンも真っ青の追跡シーンは臨場感があってリアル!
半分以上がアクションシーンだといえるくらいのてんこ盛りです♪
その9割を、スタントなしでこなしたキレのいいアクションシーンは文句なくカッコイイ!
そして、迫力のあるシーンもだけど、ロケーションもかなり好き

だけど、、なんだかラスト間際に、急激に失速した感じを受けちゃったのは、
にっくき非情な男グリーン役のマチュー・アマルリックは、いっちゃってるヒトみたいなムードはぷんぷんなんだけど
意外と、そうでもなかった・・
やっぱり、追うより追われるほうが危機感があってスリリングなんだと実感

復讐の為に敵を追って行く展開が多かったからからか、
シリーズでお約束の超アイテムなど、驚きのグッズも登場せずだったからか、
ダニエルの頑張りの割りにあっさりと終わった印象。
今回で、諜報部内での007としての存在感も結果として出て、アピールできたということで、
次回からはダニエルのクールさにプラス、大人のドラマな展開が期待できそうかしら~
ダニエルのプレイボーイっぷり、楽しみです

ちーちゃんは悠久の向こう

2009-01-22 22:36:03 | the cinema (タ行)
死んでも、終わらない恋──
上映時間 94分
原作 日日日 『ちーちゃんは悠久の向こう』(新風舎刊)
監督 兼重淳
主題歌 奥 華子「空に光るクローバー」
出演 仲里依紗/林遣都/ 高橋由真/波瑠/中山祐一朗/永山菜々/飛田光里/堀部圭亮/西田尚美

ライトノベル界の新鋭・日日日(あきら)の同名原作を映画化した青春恋愛ファンタジー。
幼なじみのちーちゃんこと千草(仲里依紗)と、モンちゃんこと悠斗(林遣都)は子どものころから仲良しで、いつもずっと一緒だった。やがてそんな2人も高校に進学し、同じクラスになる。母親が家出し、酒浸りの父親と2人暮らしの悠斗にとって、昔と同じように千草と過ごす時間だけが唯一安心できる瞬間だったが……。(シネマトゥデイ)

コチラは、丁度1年前の公開時「バッテリー」の林遣都くんが出演しているって事でちょっと気になりつつも
あまり評判も聞かないまま忘れていた作品。
この頃は連続テレビで恭子ちゃんと共演していた仲里依紗ちゃんのことも知らなかったし。
でも、ティーンエイジャー向けという気はしましたがとっても爽やかで可愛い作品でした

原作も知らず、予告は目にする機会がなく、チラシも見ていなかったのがこれは幸いでした
ミステリー好きで謎解きにはかなり自信を持っている私が、、、やられました!
なめていました、、、やっぱ、子どもの映画なんだわあ~・・って、スミマセン~

でも、ゆるゆるデレデレのふたりがあまりにも可愛く、
高1というより中一という幼さで、、、、って、これも二人の時に限ってなんですけど。
何を書いてもネタバレになってしまいそうで、これはホント、
ポスターやチラシでさえネタバレしてんじゃないかと思うので、
劇場で観られた方よりもむしろ、何も知らずに観た私はラッキーでした!
これは原作者に、とっても興味を持ってしまいましたが、ライトノベルっていうところで、躊躇。

     

撮影時、ともに15歳だったメインのふたり♪
終わってみれば、千草役の仲里依紗ちゃんの甘えた演技にも納得
天真爛漫なちーちゃんといる時と、他のシーンで雰囲気のまるでちがう悠斗を演じた林遣都くんはやっぱり上手い
悠斗の父親役の堀部圭亮さん、暗すぎ~。で、怖いですよぉ(笑)セリフ殆どないし
ただひとり・・モンちゃんに言い寄るセンパイのセリフと演技は、、あれでいいのか?

でも、高校生版「木曜の怪談」的中盤までをただ楽しんで我慢していければ、
終盤に、きます!
奇麗に騙されてください(笑)そぅするとシアワセ

このラスト、私けっこう好きかも
こんなカワイイ作品で、実はポロリとなってしまったのですが、
それがどこだったのかはナイショです(笑)
  
ちーちゃんがはまって追いかける香奈葵高校の“学園七不思議”
ノートに書かれていた七不思議は(1)1年B組の花子さん(2)血染めのピアノ(3)呪いの階段(4)苔地蔵(5)体育館の安田さん(6)彼は誰の鏡。
そして最後の7つ目は、6つの不思議を全て体験した人だけにその願いを叶えてくれる“聞き耳桜”だった....。
++++++++++++++++++++
昨年コレにとってもよく似たアジア映画を観ましたが、
コチラの原作が、2006年には台湾で翻訳出版されていることから、

ジェイはこの作品(原作)にヒントを得たのだと思いました。
だから30歳にもなるジェイが、無理にも高校生だったのですね。。。
舞台を自分の出身校の音楽学校としたところが成功していましたが、
要となる部分や小物、メインの家庭環境とかシチュエーションなど
明らかにこの作品の心臓部分をパ○ってますね。
感動した作品だっただけにがっかりしました。長年温めていた企画というコメントも今となっては虚しいです。
そのことも含めたタイトルだったのかしら(苦笑)


トウキョウソナタ

2008-10-02 23:54:36 | the cinema (タ行)
ボクんち、不協和音。
上映時間 119分
脚本 マックス・マニックス/黒沢清/田中幸子
監督 黒沢清
音楽 橋本和昌
出演 香川照之 小泉今日子/小柳友/井之脇海/井川遥/津田寛治/児嶋一哉/役所広司

東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。(シネマトゥデイ)
佐々木家はトウキョウに暮らす一見ごく普通の4人家族。平凡なサラリーマンの父・竜平は、家長としての自負を持ち、家族のために懸命に働いてきた。ところが、ある日リストラであっさり会社をクビになってしまう。その事実を家族に伝えられず、毎朝スーツで家を出ては、公園などで時間をつぶす竜平。母・恵は、せっかくドーナツを作っても誰にも見向きもされないなど、やり場のない不満と虚無感を募らせる。一方子どもたちも、大学生の長男・貴は、突然アメリカ軍への入隊を志願し、小学生の次男・健二は家族に内緒でピアノ教室へ通い続けていた。すっかり家庭崩壊への道を突き進む佐々木家だったが…。

最初に予告で目にした時に、にやりとしたシーン。
本編を通してみると、可笑しいのに、笑えない。
「ゆれる」の時以上かもしれない香川照之さんの演技に圧倒されました。
殆どのシーンでその時々の心理を全身で演じたキョンキョンも凄く伝わるものがあり
とっても心に残る作品でした。
観ている時よりも、観て時間が経ってからのほうが(日曜に観ました)心に迫ってくるものがあったというか、
余韻の残る、いい作品でした

何時もと変らない日常が、ある日それぞれに変り始める。
父は小学生の子供と同じくらいの帰宅時間になり、
母は、、その家での存在自体に虚しさで気力を失いかけていたし、
子供たちも自分の目の前の社会や生き甲斐を相手に闘っていた。
しかし―家族で闘ってはいなかった―。

冒頭に、なぜか心惹かれる印象的なシーンがある。
激しく降り出した雨に気付いたこの家の主婦恵(小泉今日子)がベランダに向かうシーン。
吹き込んだ雨が水溜りを作っていてそれを黙々と拭いている姿。その水溜りが
この家の家族の心に溜まっている怒りや悲しみを象徴しているようにみえる。

そしてもう一つ。
怒りや、恐怖や、諦め、疑い・・など、様々な思いを抱える彼らが、
黙々と食事を取るシーン。
大きいお茶碗をみつめながら、黙々と、でももりもり食べるんです。
失ったものを補給するように。皆が。



ゆっくり沈んでいく船
そういった嘗ての同級生・黒須のキャラも、自演のEPとか、可笑しいのに笑えない。
この黒須と過ごす時だけ、どこか救われていた竜平に変化が訪れるのだけど・・・

あり得ないような展開も、アルかも知れない。
あって欲しい展開も、、あるかも知れない。
デフォルメされたトウキョウ――でも、本当はもっともっと色んな貌をもっている。


歩き疲れた兵士のようだった夫婦が、
一筋の優しい光に導かれるように・・・・・・
何かがあるから生きているわけじゃない。でも、
何かが欲しくて生きている。
そんなことを考えながら、
ドビュッシーの『月の光』に癒されて帰ってきました

地球でたったふたり

2008-09-30 22:01:56 | the cinema (タ行)
命をかけて守りたいものがあった…
製作年度 2007年
上映時間 118分
監督/脚本 内田英治
出演 寉岡萌希/寉岡瑞希/菅田俊/忍成修吾/菜葉菜/河合龍之介/榊英雄/弓削智久/菅原文太

生みの親にないがしろにされ、愛情を注がれない少女2人が、それでも小さな幸せを求めて生きていく姿を描くヒューマンストーリー。監督は『しあわせなら手をたたこう』の内田英治。
母が夜の仕事をしているため、孤独な毎日を送る物静かな少女ユイ(寉岡萌希)。しかし6歳のときに母が再婚。新しい父とともにやって来た連れ子、アイ(寉岡瑞希)と暮らすことになる。父の暴力や母の無関心に耐え、きずなを深めていく2人はやがて中学生に。そんな中、ユイとアイは両親の離婚によって引き裂かれることになるが……。(シネマトゥデイ)

忍成くんが出演しているので、観たいと思っていましたが、上映館は東京でたった1館。
しかもそこで彼も舞台挨拶に立つと言うので、慌てて行って来ました、K's cinema
聞いた事もない映画館でしたが、およそ30年振りぐらいに足を踏み入れた新宿の一角にありました。
指定席ではないと言う事だったので、どうかなあ~と思っていたら、これが、良い方に作用して、
スクリーン近くの出入り口付近の前の席をゲット入場してくる忍成くんを間近かで観る事が出来ました♪
この日の司会進行役の女性は自己紹介がなかったため、よく解らなかったのですが
明るくて可愛らしく、
主役の2人も含めて、登壇者がまだ若く場なれてない感じをなごませるような司会で
とてもいい感じでした~♪

この作品は公開までに、実に2年半もかかったそうです。
主演のふたりは作品中では中学生の役ですが、当時高校生だった姉のアイ役の瑞希さんは
今では大学生だそうで、ずい分と大人っぽくなってました。

ジーンズにフードのついたニットのカーディガンというラフなスタイルの忍成くんは、
観客の呼びかけに、「ありがとうございます」といちいち応えながら、落ち着いてコメントしてました。
彼は読者モデル時代に一緒だった弓削智久くんと、初共演だったとかで、それが一番楽しみだったと、
弓削くんとの絡みのシーンを喜んでいました。
主人公を冷徹に追い詰めるヤクザの組長役も、「自分で観ると怖くないなあ~、みなさんはどうでしたか」という言葉に
司会の女性が「良かったですよ~。なにか忍成さんが登場すると空気が変るような気がしました」と、
ファンに成り代って答えてました(笑)

 イヤ、、静かにキレる忍成くんはホント凄かった
確かに、忍成くんの登場シーンは、空気違います。
ドラマ「山田太郎物語」の時みたいなチャラ男も上手いけど、
今回は後半ゾクッとする迫力のヤクザ!上手いです♪

プレスの方も数人来ていたし、カメラもちゃんと来ていたのに、探してもこの日の写真を見つけられなくて残念。
出演者がこの作品をクチコミでお知り合いに宣伝して下さいと言っていたのが印象的でした。
この日の登壇者
寉岡萌希・寉岡瑞希・忍成修吾・榊英雄・菜葉菜・小林沙世子・加藤真弓さんでした。

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冒頭、薄暗い部屋に幼いユイがひとり。食べ物を探すシーンで、もう「誰も知らない」を思い出し、
暗澹たる思いにさせられます。
そんな悲惨な状況の時、勧誘に訪れた見知らぬ大人に「神様はどんな時もあなたをみています」といわれ・・
こころに刻む6歳のユイ。
そして16でユイを産んだ母が新しい父と姉を連れて帰ってきた―

新しい生活の中で、ユイにはアイがかけがえの無いものになっていくのは
そんな経験がない人にも理解できる。
母よりも自分に関心を寄せ、守ってくれるアイ。
学校も友達も親も要らない。アイとふたりでいれば・・・。そんな家庭でしたから。

血を分けない姉妹が、両親の離婚によって離れ離れになるのを察して、家を出た2人は中学生。
空腹を抱え、危険な目に合いながらも2人で居る事、そのために生きる闘いを始める物語。

大人は上手くいかない自分の人生を、誰かの所為にしたり何かの所為にしたがる。
しかし、こどもは?親の所為にするだろうか、、、。

中学になるまで、一度も海水浴に連れて行って貰えない子供は他にも居るかも知れない。
それが不幸だと言うのではない。
子供の笑顔を見てないことに気付かない事が不幸なのではないだろうか、、、。

この監督は「ガチャポン」でも都会の闇に飲み込まれそうな若者と
傷つけながらもなくさない友情を描いているけど、作風は似てるかもしれない。

ある程度ヒット(集客)が見込めそうなマンガや原作本の映画化と違って、
若い監督が作りたい作品を撮って世に出す事がいかにも大変な事だと解る1本。
これから親になる世代の方たちに観て貰いたい作品です~
そして、一人ぼっちだと感じてる中・高生にもこの作品のメッセージを受け取って欲しい。
この日の観客は20代の女性を中心に、比較的若い方でとてもマナーもよく
気分よく観賞できました。
K's cinema お気に入りになるかも♪
---- φ(。_。;) 追記......................................
舞台挨拶の記事、見つけました!
 http://eiganavi.gyao.jp/news/2008/09/post-1d9d.html

デトロイト・メタル・シティ

2008-09-05 00:23:15 | the cinema (タ行)
僕がしたかったのは…
こんなバンドじゃない!!

製作年度 2008年
上映時間 104分
原作 若杉公徳 (白泉社『ヤングアニマル』連載)
脚本 大森美香
監督 李闘士男
音楽 服部隆之
出演 松山ケンイチ/加藤ローサ/秋山竜次/細田よしひこ/大倉孝二/岡田義徳/鈴木一真/高橋一生/宮崎美子/松雪泰子/ジーン・シモンズ

オシャレな渋谷系ミュージシャンを夢見て大分の田舎から上京してきた純情青年、根岸崇一。ところがふと気づくと、事務所の豪腕女社長によって悪魔系デスメタルバンド“デトロイト・メタル・シティ(DMC)”のギターボーカル“ヨハネ・クラウザーII世”としてデビューさせられていた。根岸は、オシャレとポップソングが好きな憧れの女性・相川さんにバレないようひた隠すが、DMCのデビュー・シングル『SATSUGAI』は予想外の大ヒットとなり、根岸の思いとは裏腹にクラウザーさんはどんどんカリスマへの道を突き進んでしまい…。

音楽がデスメタルとポップだという時点で二の足を踏んでましたが、
全然大丈夫でしたーというより、面白かった~
内容?そんなのナイよーぅ(爆!

なんと言っても松山ケンイチくんの2面キャラでしょう!
スイッチの切り替えはメークと衣裳で自然にあの暴力的なセリフが出てきたらしいけど、
かえって根岸くんのナヨっとしたキャラの方が大変だったかも(笑)

そして突き抜けてるってか、イカレ気味な女社長、松雪泰子さん
何故か嵌ってて受けた似合い過ぎだから(笑)
「んぁ?ぐりとぐら」うっそ~~っ(爆!

細田くんも別人みたいで判らなかったし
岡田義徳くんなんて役名もない!あ、大倉くんもねひどくない?(笑)



根岸君のときも素顔とは言いがたいけど、クラウザーさん時の方が爆笑シーンも
ちょっとイイシーンもあったかな
皆声出して遠慮なく笑ってましたよー

これは原作まんが、まだ完結してないんですよね?それで映画化ってある意味凄い!
脚本の大森美香さんは、漫画原作モノ、多いですよね?!
「マイ★ボス マイ★ヒーロー」も韓国の漫画だったし、
昔の「ロング・ラブレター~漂流教室」とか「カバチタレ!」大好きでした~。

笑いどころも多いので、デートでも楽しいんじゃないかな~

旅するジーンズと16歳の夏

2008-08-30 16:15:22 | the cinema (タ行)
ちがう場所、ちがう経験、ちがう悩み、ひとつの気持ち(ジーンズ)
THE SISTERHOOD OF THE TRAVELING PANTS
上映時間 118分
製作国 アメリカ
監督 ケン・クワピス
出演 アンバー・タンブリン/アレクシス・ブレデル/アメリカ・フェレーラ/ブレイク・ライヴリー/ジェナ・ボイド
母親たちが知り合ったマタニティ教室。それが4人の絆の始まり。生まれる前から同じ場所で同じ時間を過ごし、生まれてからもずっと一緒に、同じ気持ちを分かち合ってきた4人。自由奔放なブリジット、内気なリーナ、皮肉屋のティビー、情熱的なカルメン。性格はまったくバラバラでも、お互いに誰よりも分かり合っている大切な存在。つらい時も4人でいたから乗り越えてくることができた。
カルメンの父親が家を出ていった時も、10歳以上も年の離れた弟の誕生にティビーが憤慨した時も、そして、ブリジットの母親が自ら命を絶った時も……。他人には心を閉ざしてしまうリーナも、彼女たちと一緒なら自分らしくいられる。そんな4人が初めて別々に過ごすことになった16歳の夏。


それぞれ身長も体重もウエストサイズも違う4人の誰にもぴったりのジーンズを
旅立つ前に手に入れた少女たち。
その夏を乗り切るために、そのジーンズは彼女たちを選んだのかも知れない。
ジーンズは海を渡り、国境を越え、次の少女のもとへ行く。




ティビー]頭が切れ、シニカルで、どこか挑戦的なティビーは生きる意味を見つけたい
町に残ってスーパーでアルバイトをしながら、平凡な人達が退屈な仕事をし、意味のない人生を送っている姿を映し出した“ミジメンタリー”の制作をすることが課題。
ブリジット]超自信家でスポーツ万能。4人の中で一番精神的な強さを持ったブリジット。しかし、
実は心は喪失と向い合うのを恐れ、メキシコのサッカーキャンプに参加。ママの死を乗り越えたい

リーナ]真面目で控え目内向的な性格のリーナは今の自分の殻を破りたい
夏休みに祖父母の住むギリシャを訪れて自分を見つめなおそうと決意していた。
[カルメン]情熱と鋭い分析力を併せ持つカルメンの夏の計画は離婚によって離ればなれになった父親のもとへ行って水入らずの楽しい時間を過ごすこと。もっとパパに愛されたい

人として初めて命の儚さ、不条理さに触れる瞬間―、
ひとが孤独を感じる瞬間。
人が弱さを認め強くなる瞬間。
愛が勇気を生み出す瞬間、を
上手く切り取って見せてくれる作品だったかな♪

それぞれのテーマに向かっていく少女たちに
ジーンズは新しい出会いを繋ぎますが、
一方で、人との距離の詰め方、『距離』というものの与える不安も
そこを埋めていく力も教えていたのではないかなぁ

4人ともなると、一人のエピに費やす時間も限られてくるし、
大抵は主に1人か2人を中心とした展開になっていくのが、
この作品では実に上手くバランスよく繋がって、4人の個性がよく描けていたと思う

強いて言えば、ブリジットの心境の変化がやや解り難かった印象があるけど、
そこは敢えてのことだったかも、、、「19歳~」を観たからそう思う

ま、しょうがない事とはいえ、順序を守って「19歳の~」を観ていれば
もっと彼女たちの心の奥が理解できたかもと思わせる、本当の意味で続編だったのだな~と思いました!

先に19歳の少女たちに会ってこられた方も(笑)
その前の、16歳の頃の彼女たちに訪れた試練の夏を覗いてみるのもいいですよ

旅するジーンズと19歳の旅立ち

2008-08-20 09:44:03 | the cinema (タ行)
原題 THE SISTERHOOD OF THE TRAVELING PANTS 2
製作国 アメリカ
上映時間 119分
原作 アン・ブラッシェアーズ
監督 サナー・ハムリ
音楽 レイチェル・ポートマン
出演 アンバー・タンブリン/アメリカ・フェレーラ/ブレイク・ライヴリー/アレクシス・ブレデル/レイチェル・ニコルズ/レイチェル・ティコティン/ショーレ・アグダシュルー 

アン・ブラッシェアーズのヤングアダルト小説『トラベリング・パンツ』シリーズの映画化第2弾。4人とも大学生となりそれぞれの道を歩み始めた彼女たちの大人への成長と変わることのない強い絆を瑞々しく綴る。監督はミュージックビデオの世界で活躍し、これが長編2作目のサナー・ハムリ。


生まれたときから一緒だった4人の少女(アンバー・タンブリン、アメリカ・フェレーラ、ブレイク・ライヴリー、アレクシス・ブレデル)は別々の大学に進み、心のすれ違いも多くなっていた。16歳の夏をわかち合った1本のジーンズを、19歳の夏もまた交替で持つことにした4人。それぞれが未来の夢へと向かい、ジーンズとともにひと夏を過ごすことにするが……。(シネマトゥ

『旅するジーンズと16歳の夏』を観てから観に行こうと思っていたのに、そんな暇も無く公開になってしまい、
ちょっとフライング~コチラを先に観てしまいました。
それでも大まかな粗筋は漠然と頭にあったので、それなりに楽しんで観ることは出来ました。
が、これからご覧になる方は、前作を先にご覧になることをオススメします
冒頭少しの説明と幾つかのシーンが流れるのですが、
きっとその映像にも「何故?」が付きまとうような気がするからです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

母親同士がマタニティ教室で出会った縁で、生まれる前から親友だった4人の少女たちが、
初めてバラバラに過ごすことになった16歳の夏から3回目の夏―

別々の大学に進み、会うことも少なくなり、
それぞれが自分の夢に向かう道を歩いているかのようにみえていたが、
夏休みを迎え、それぞれのテーマをもって過ごす事になる

19歳というまたしても訪れた転換期と、ジーンズに託す彼女たちの寂しさや怒りや、優しさを綴る
そして、少し成長した彼女たちの迷いや、勇気や愛も・・・

誰しもが友達との付き合いの中で、一度は経験したことがあるだろう心のぶつかり合いや
新しい環境の中に溶け込むことの難しさ、
居場所のない孤独感、警戒心・・・
そして、どんな事も、あるがままの事実を認め、受け入れること、許すこと――
これらは人との繋がりの中で、大人になってもある意味難しく、ずっと続いていくテーマかも知れませんね

4人のエピソード、全てが良かったし、其々にジンとくるところがあり、
音楽も大好きなレイチェル・ポートマン
ロケ地もステキ旅に出たくなりました~

 カルメンのお相手の彼がなかなかイイよぅ
本当にイギリス出身の俳優なのか?今回のワタクシ的イチオシ
・・・カルメンの何処を気に入ったんだろ

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この作品を鑑賞後、前作旅するジーンズと16歳の夏も観る事が出来ました♪
感想は、後日。あ、ひと言だけ、、良かったですよ!!

ダークナイト

2008-08-13 19:07:31 | the cinema (タ行)
試される、正義―
原題 THE DARK KNIGHT
製作年度 2008年
上映時間 152分
監督 クリストファー・ノーラン
出演 クリスチャン・ベイル/マイケル・ケイン/ヒース・レジャー/ゲイリー・オールドマン/アーロン・エッカート/マギー・ギレンホール/モーガン・フリーマン

映画『バットマン ビギンズ』の続編で、バットマンの最凶最悪の宿敵であるジョーカーの登場で混乱に陥ったゴッサムシティを守るべく、再びバットマンが死闘を繰り広げるアクション大作。監督は前作から続投のクリストファー・ノーラン。

悪のはびこるゴッサムシティを舞台に、ジム警部補(ゲイリー・オールドマン)やハーベイ・デント地方検事(アーロン・エッカート)の協力のもと、バットマン(クリスチャン・ベイル)は街で起こる犯罪撲滅の成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る謎の犯罪者の台頭により、街は再び混乱と狂気に包まれていく。最強の敵を前に、バットマンはあらゆるハイテク技術を駆使しながら、信じるものすべてと戦わざるを得なくなっていく。(シネマトゥデイ)

コチラも公開初日に観賞。ティム・バートンのバットマンも全て劇場観賞してきましたが、
今回は特別な思い入れがあり、公開を楽しみに待っていました。
ヒースの渾身の"悪"を見届ける―そんな想いでした。

ヒースがジョーカー・・・・・・?!
似合わなさ過ぎる!
ヒースがバットマンでもよくない?
最初のころ、彼の“ジョーカー”の映像を見るまではそんな気持ちでしたが、
狂気の悪“ジョーカー”っぷり、なにかに憑かれたような狂気の男がそこにいました。


ゴッサムシティの市民を巻き込み挑発を続ける最凶の男ジョーカー...。

そんな凶悪なジョーカーの挑戦に、バットマンとしての自らの存在意義そのものを問い直されることになる闇のヒーロー、ブルース。
葛藤の末ブルースは、正義感に燃える地方検事のハーベイ・デントを光の騎士として全てを託そうとするが、、、
―誰にも真似のできない決断―を迫られるブルース・・・

ヒーローとは?!
正義とは?!
真実の愛とは?!


次々とジョーカーの斬り出すカードを受けるブルースの心の葛藤が伝わってくる展開が良かった
そして、
そんな彼を温かく見守り、支える男たちの存在に、こちらも安らげる。。。

アメコミとはいえ、人間ドラマを深く描いて、見応えがありました



―彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者 街を監視する 闇の騎士―

ジョーカーがブルースに、ハーベイ・デントに突きつけた高潔な人間が堕落する沸点、、
それは最近の犯罪の奥に少なからず潜んでいて、ソレが目新しくないという事が
ちょっと怖ろしいと感じた作品でもありました。