kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『クロユリ団地』を観て

2013-05-19 16:00:26 | 映画・邦画

13-44.クロユリ団地
■配給:松竹
■製作年、国:2013年、日本
■上映時間:106分
■料金:1,800円
■観賞日:5月19日、新宿ピカデリー(新宿)
□監督:中田秀夫
◇前田敦子
◇成宮寛貴
◇勝村政信
◇西田尚美
◇手塚理美
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
クロユリ団地に引っ越してきた明日香。老朽化の進むこの団地で、13年前から謎の死が相次いでいることを彼女は知らなかった。明日香は引っ越したその夜から、隣りの部屋からの不気味な音に悩まされ続ける。ある日、目覚ましの音が鳴り続いているのを不審に思った彼女が隣室を訪ねると、老人が独りきりで死んでいるのを見つける。
明日香は老人の死を防げなかった自責の念と、その日から次々と彼女を襲う恐ろしい出来事に神経をすり減らす。老人が何か伝えようとしているのではないかと考えた明日香は、隣室の遺品整理に来た特殊清掃員の笹原の力を借りて手がかりを探そうとするが……。

AKB48を卒業して女優の道を進む前田敦子がJホラーの第一人者である中田秀夫監督作品に出演した。ホラー映画の演技って、場面によって展開が急に変ったりで、驚きの表情とか結構それなりの演技力が伴わないとファンからそっぽを向かれる。私はAKBのファンでも無いので、ただ単に中田作品を観たら元AKBが出演していたというスタンスで観た。
まずはタイトルの「クロユリ団地」だが、映像で見る限りはどう見ても年季の入った公営住宅としか見えない。団地の作りとか部屋の規模とかはそのままの印象だが、名前は如何にも何かありそうな感じだが、「クロユリ団地」なんてネーミングは公営団地には無さそうなところが逆の意味で何かありそうな変な感じ。
冒頭で前田敦子が幸せそうな家族団らんの一場面が出て来るが、この時間軸と現在の時間軸があちこちで交錯するのがミソで、この辺は中田監督の巧みな演出だ。登場人物は前田とやはり心に傷を抱えている成宮演じる笹原とミノル少年の「三人」だ。

ミノルは当初は孤独な少年、との印象だったがやはり中田作品らしく、この少年の正体が実はストーリーの鍵だった。少年は実は事故で亡くなっていて、まだ現世に魂は残したままかつての居住地であったクロユリ団地に姿を現している。明日香も家族を事故で失っており、成宮演じる笹原も恋人を「失って」いて、心に傷を負ったもの達同士だった。
結局、ミノルの事故の真相も分かり笹原は引き込まれてしまい落命、明日香も除霊に失敗して、これではミノル少年の霊とこの先も付き合うことになりそうで、監督の意図なのだろうが続編を作ろうと思えば「増産」出来そうなエンディングだった。

世間的には前田敦子出演作で、まだ女優としての実績を積むことになる彼女にはキツイ評価は無いだろう。彼女の演技力をここで論じるのはまだまだ早いかな?もっともっとストーリーに違和感なく溶け込んで、作られた表情以外の何かが出せるようになったら改めて論じてみたい。


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