毎年、その年に(アメリカで)公開された映画の中から、最も素晴らしい映画の各部門ごとに贈られるアカデミー賞に対し、最低の映画に贈られるのが、アカデミー賞のパロディである、”ラジー賞”こと、ゴールデン・ラズベリー賞。
実は、世界的にも最高の栄誉ある賞として知られるノーベル賞にも、”裏ノーベル賞”といわれる、イグノーベル賞・・という賞がある。
1991年に創設された、このイグノーベル賞(IgNobel Prize)は、ノーベル賞(Nobel Prize)に、反語的な接頭語”Ig”をつけ、「下劣な、恥ずべき、不名誉な」をイミする”ignoble”ともかけているとか・・。
ただ、こちらは最低の研究に対して贈られるワケではなく、「笑えて考えさせられる」、「マネできないしマネすべきでない」研究・・という2つが、その受賞基準。
実際にノーベル賞を受賞した人も受賞してたりする、あるイミ、”権威ある”賞である・・。
ハトにピカソの画を見分けさせる実験、水の中とシロップの中、どちらが速く泳げるか?の実験、身の毛もよだつ音の心理学、ヘソのゴマの研究・・etc。
クマに襲われても平気なスーツの開発で、安全技術賞を受賞したカナダのトロイ・ハートバイスさんは、科学者でも研究者でもない、一般人!
驚きのその受賞理由は、ハンマーで殴らせたり、車に轢かれたり(!)・・といった、自ら体を張ったスーツの徹底した研究ぶりに対するもの・・。
しかし、7年の歳月と1000万円以上の予算をスーツの開発につぎ込んだ結果、破産してしまい、裁判所にスーツを差し押さえられたという・・。
―とはいえ、無駄なもの(オイ!)ばかりではない。
インドのスリークマル准教授は、数学者ではなく、動物生理学者だが、「インド象の体表面積を測る方程式」(!)を編み出して、数学賞を受賞!
インド象は、体表面積によって与える薬の量などが決められるため、定期的に体表面積を測らなければならないが、それを嫌がって暴れる象に踏まれる事故が多発、死者も相次いでいた・・。
そこで、なんとかしなければ・・と、立ち上がったのがスリークマル氏。
何度も踏まれそうになりながら、象のさまざまな箇所の長さと、体表面積との相関関係を調べた結果、身長と前足の太さに比例しているコトが判明!
そして、導き出した方程式が・・
S=-8.245+6.807H+7.073FFC! Sは体表面積、Hは身長、FFCは足回り(前足の太さ)
インドでスリークマル氏は、数学で多くの命を救った恩人として崇められているという・・。
先見性のある発明や研究も、常人にとっては理解しがたく、最初は狂人の奇行にしか映らないかもしれない・・。
しかし、やがてはそれも、未来の常識になる可能性だってあるのだ。
人類の進歩と未来のために、笑われても、くじけずにやり続ける勇気を持つべし!!