観るも八卦のバトルロイヤル

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山田洋次がキムタク・ワールドを超えた「武士の一分」

2007年06月10日 | 映画・ドラマ
 山田洋次監督の藤沢周平時代劇映画化三部作の最後を飾るヒューマンドラマ。「蝉しぐれ」「隠し剣 鬼の爪」「たそがれ清兵衛」と藤沢周平作品だけど、ここでの山田洋次監督の藤沢周平時代劇映画化三部作では「蝉しぐれ」が外れる。
 方言から察するに南部藩か?
 下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、妻の加世(檀れい)とともに幸せに暮らしていたが、藩主の毒見役を務め、失明してしまった。妻が上級武士の島田(坂東三津五郎)といい仲であることが判明し、絶望のなか離縁を決意。
 が、失明後家禄を守るためだったことが分かり、更にそのことに島田は関与せず、妻を寝取っただけと分かり、新之丞は島田に「武士の一分」(侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目の意味)を賭けた果し合いを挑む。
 という藤沢周平らしいストーリー。
 なぜここにきて主演を木村拓哉にしたのか? がいまいち良く分からないくらいのキムタクの扱いでもある。
 キムタク。はっきり言ってださい。ちょん髷も似合わなければ、着流しも似合わない。しかも前半の台詞もまったく駄目。方言が中途半端。「俺、キムタク。俺ってかっこいいしさ」的俺様ぶりもない。要はキムタク起用の意味が無いのだ。
 だが、かなり不評なキムタク論に意義申す。
 かっこ良くもないキムタク。いつもの「誰を演じても同じ人」ではなかった。新之丞を演じていた。確かに腰が細くて着流しはいただけなかったが、「どうせへっぴり腰だろう」と思っていた立ち合いシーンが堂に入っている。しかも盲目の立ち合いということで、下半身はおどおどしながらも剣さばきはなかなかのもの。
 「そうだ、こいつ剣道強かったもんな」と思い出した。いいんじゃない。これからも時代劇に取組めば。中盤からの方言葉も上手くなったし。私は、キムタクを評価したい。
 妻役の檀れい。宝塚の娘役だったそうで、退団後、初の映画出演とちょい話題になった。そして役柄も実際にも、「絶世の美女」らしいけど、はっきり言って「大したことないじゃん」。演技はそりゃ、うまかったけど、まあ、普通の女優さん。
 かたき役の坂東三津五郎、緒形拳、桃井かおりなども出てるけど、あたしゃ、ちゅうげんの笹野高史の微妙なため口が好きだった。
 三部作は夫婦愛と武士道をテーマに進行。しょぼい武士が真実のためにへっぴりで戦い、最後は愛を貫くって筋は3本に共通。
 どれが一番好きかと問われると、「むむむ」なのだが、似通っていながら舞台が違うってとこで、甲乙付けがたし。
 やはり「壬生義士伝」が最高だ。関係ないけどさ。

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