観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
※無断転載は一切禁止。

「一命」。

2012年06月04日 | 映画・ドラマ
 太平の世の江戸時代、大名家へ押し掛け、庭先を借用しての切腹を迫り、金銭を強請り、あわよくば仕官をといった「狂言切腹」が流行っていた。
 井伊家上屋敷に現れた、千々岩求女と名乗る若侍も、そのひとりであった。
 滝口康彦の「異聞浪人記」が原作で、以前にも「切腹」の表題で仲代達矢主演で映画化されている。
 実はこの「切腹」を観て、余りの非情さに暫く茫然自失になったくらいだった。
 しかし、また観てしまった「一命」。やはり筆舌し難い千々岩求女の切腹シーン。何と瑛太が実にリアルに演じている上、彼のスレンダーな体が子どもを想像させ、更に痛々しかった。実際、観ていられず、また、音声も消した。
 主演の津雲半四郎は市川海老蔵。海老蔵と言えば世間を騒がすワイドショー的イメージしかなかったが、「巧い」んだね。縁起も殺陣も。瞬時、「切腹」の仲代達矢と顔が重なった。
 ラストは、大映映画のお決まりよろしく、斬り込み最中で終わらず、理不尽な終焉も魅せている。その殺陣シーンの最中にシンポリックにふかふかの御座に座る白猫を写し出し、千々岩求女が可愛がっていた野良猫は、家に死に場所を求めた件と対照的な描き方になっているようだ。 
 映画としては大変良いが、情の深い人や、優しい人は観ない方が宜しかろう。とにかく、インパクトが強過ぎて、また立ち直るまでに時が掛りそうである。
 なにせ、「切腹」の沢潟彦九郎役であった丹波哲郎の顔と台詞が未だに脳裏に鮮明なくらいなのだ。

         切腹     一命

津雲半四郎   仲代達矢   市川海老蔵
千々岩求女   石浜朗    瑛太
美保      岩下志麻   満島ひかり
沢潟彦九郎   丹波哲郎   青木崇高
斎藤勘解由   三國連太郎  役所広司



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