何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

羅漢寺-(1) (加西)

2023年09月19日 | 寺社巡り-兵庫

【兵庫・加西市】創建年は不詳だが、奈良時代の天平十七年(745)に行基によって開創されたと伝わる真言宗寺院の酒見寺の伽藍の一部(塔頭?)だったとされる。 寺伝では、戦国時代の天正年間(1573~1592)に兵火によって焼失した後、慶長年間(1596~1615)に再建されたとされる。
境内に約500体の石仏が鎮座していることから「五百羅漢」と呼ばれていたが、明治時代の廃仏毀釈後、北条御旅町にあった薬師堂が現在地に移築され一寺院とされた。 昭和十七年(1942)に寺号を羅漢寺とし、天台宗に復帰した。 宗旨は天台宗で、本尊は薬師如来像。 播州薬師霊場第十一番札所。

■約50年振りに羅漢寺を訪問した。 某電機メーカーに入社して間もないころに姫路に出張する機会があり、その時に地元の方の案内で羅漢寺を訪れたのだが、行き方や場所などは一切記憶にない。 唯一、数枚の石仏写真が残っていて、ほりが深い西洋人風のお顔をした素朴な石仏の姿はずっと印象に残っている。
酒見寺と住吉神社を拝観した後、こっもりとした木々の羅漢寺の門前に着く。 「五百羅漢」と刻まれた石の門柱が立ち、門扉に「天台宗 北榮山 羅漢寺」の寺号掛札が掲げられている。 直ぐ中に蓮華座とみられる台座に鎮座する仁王石像に迎えられるが、坐像のようにみえる像容で、もしそうであれば珍しい坐像の仁王様ということになるが....。 まずは、妻入の本堂の向拝で本尊の薬師如来様に参拝する。 少し開いた扉から中を覗くと、挙身光を背負い左手に薬壺を持つ薬師如来像が鎮座している。 本堂左手の境内には、燦燦と陽を浴びているたくさんの石仏が整然と立ち並んでいる。

羅漢寺の門前....寺号標石はなく門扉に「天台宗 北榮山 羅漢寺」と記された掛札が掲げられている

△入り口に露座している金剛力士像....蓮華座風の第一に鎮座する金剛力士は坐像のように見える

△左の金剛力士像は吽形ではなく阿形に見える/右の金剛力士像は左手に金剛杵を持つ....阿形ではなく口を閉じた吽形に見える

△入母屋造桟瓦葺で妻入の本堂....本尊の薬師如来像を祀る

△主屋の軒廻りは一軒繁垂木だが、正面の屋根を伸ばした向拝屋根の軒は二軒疎垂木....水引虹梁の上に龍の彫刻、木鼻は獏

△中央間の小壁の梁の上に牡丹の彫刻を配す/本堂に祀られている本尊薬師如来坐像....眷属として日光・月光菩薩及び十二神将を従えている

△大棟に鳥衾付き鬼瓦、拝は蕪懸魚、妻飾は狐格子

△正面の縁下に置かれた古い鬼瓦....縁は正面のみで、親柱に逆蓮頭を乗せた高欄付き

△中央間は大きな格子の引き戸、脇間はて蔀戸風の格子窓(腰部も)

■まずは本堂の左脇を進み、境内の北側に延びる築地塀に沿って鎮座するほとんど陽刻の石仏を拝観。 そこから戻り、整然と立ち並ぶ羅漢像をみていると、半世紀前に訪問したときのことが思い出され、懐かしさを感じた。 一体一体が異なるお顔の石仏と向き合っていると、何かを語りかけているように感じるから不思議だ。
石仏境内の中央に切妻屋根の覆い屋に常香炉が置かれ、正面の北側の築地塀の前に中央に釈迦如来を配した五尊仏が鎮座している。 五尊仏はいずれも陽刻像で、舟型と板碑型の光背の石仏だ。

△本堂の西側に鎮座する五百羅漢像などの石仏群

△多くは南面で鎮座する五百羅漢像群(東面、西面を向いた石像もある)

△境内北側の築地塀際に4体の舟光背型地蔵尊、御堂内に地藏尊坐像が鎮座

△境内北側の築地塀際に整然と鎮座する様々な尊像の石仏

△唐破風を乗せた石塔は「三界萬霊」と彫られた慶長供養塔....上部に弥陀三尊の種子(弥陀、観音、勢至)....右は明和八年(1771)造立の台座に鎮座する僧坐像

△本堂に向かって東面で鎮座する五百羅漢像群....角柱状の石材から彫り出した丸彫りの石仏

△南面で鎮座する五百羅漢像群....元々羅漢寺の南にある酒見寺にあって、江戸時代初期の寺再興の際に造立されたとされる

△多くは西洋人風のお顔の五百羅漢像....江戸初期の造立時の原形をいまに留めている

△五百羅漢像の彫技は稚拙だが、500体もの石仏を造立する際の信仰心と供養の純真さに感心

△穏やか表情の五百羅漢像

△五百羅漢像群の中央に、築地塀際に鎮座する五尊像に向かって置かれた常香炉

△常香炉前に立つ高札風立札に「北条石仏 五百羅漢」と記されている/「慈法尼手簡塚」と刻まれた文塚石碑....延享二年(1745)の造立

△五百羅漢像墳の間に鎮座する中央に釈迦如来を配した五尊仏

△五尊仏の右脇に閻魔王と男性供養者坐像(2つ目)、左脇に倶生神と慶長十七年(1612)造立の女性供養者坐像(2つ目)

△五百羅漢像群の中央の築地塀際に鎮座する五尊像....左から阿弥陀如来像、普賢菩薩像、釈迦如来像、文殊菩薩像そして大日如来像

△上品下生(来迎院)を結ぶ阿弥陀如来立像(左)と6牙の白象に騎乗する普賢菩薩造(左)....阿弥陀如来像前に置かれた「倶生神」の木札は間違い?/中央の蓮華座に鎮座する釈迦如来坐像

△右手に剣を持って獅子に騎乗する文殊菩薩像(左)と智拳印を結ぶ大日如来立像(右)/大日如来像の右手に鎮座する閻魔大王像

△閻魔大王像....顔の右側に「炎○王」と彫られている



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