対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「止揚」の導入

2016-11-02 | 弁証法
弁証法の過程において、二つの「論理的なもの」は足場になるだけで、新しい「論理的なもの」は出現した第三の要素によって形成される。
c ← bi + a → di
+   ↑   ↓   +
bi ← c + di → a
図の中央部の bi + a と c + di が足場である。bi + a と c + diの4つの要素は、a + di(右側)と c + bi(左側) に保存される。中央のbi + a と c + diはここで役割を終える一方、a + di と c + bi はモメントとして次の段階へと進む。
この図のなかに、アウフヘーベン(Aufheben)の3つの意味(中埜肇『弁証法』参照)――1「保存する」・ 2「廃棄する」・ 3「持ちあげる」――を確認できる。
「保存する」 ――中央部の bi + a と c + di は、両側の a + di と c + bi に保存される。いいかえれば、AとA'に固有の自己表出と指示表出は、左右の混成モメントの自己表出と指示表出として保存される。
「廃棄する」 ――中央部の bi + a と c + di は、ここで役割を終え廃棄される。
「持ちあげる」――両側の混成モメント a + di と c + bi は次のステップへと持ちあげられる。
アウフヘーベン(Aufheben)は止揚と翻訳されている。上手な訳といえるだろう。 bi + a と c + di はここで「止」まり、 a + di と c + bi は次の段階へ「揚」がるのである。あるいは揚棄とも訳されている。こちらは次のようにいっておこう。 a + di と c + bi を次の段階へ「揚」げるために、bi + a と c + di をここで「棄」てるのである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿