対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

モンシロチョウ

2016-03-31 | 日記
久しぶりに草むしり。玉ねぎの畝を覆っていたホトケノザと畝の周辺のススメノカタビラを取った。ハコベもあった。ここだけスッキリした。あとは草ぼうぼうのままである。モンシロチョウが、数ひき飛んでいる。追ってみた。
蕗の葉

小松菜の花

「光の電磁波説」の誕生4

2016-03-30 | εとμの複合
6   (k11/2k21/2)/ k3の二重性とQm/Qs の制約

1856年の実験はQm/Qsが速度の次元[L/T]をもつことを示している。しかしこれが外部から捉えられないのである。2つの単位の次元を別々に解析した後で、その比を求めても把握できないのである。
[Qs]=[k1-1/2F1/2L](1電荷に対するクーロンの法則より)
[Qm]=[k21/2k3-1F1/2T](2磁荷に対するクーロンの法則・3ビオ・サバールの法則・4定義式より)したがって、[Qm/Qs]= (k11/2k21/2)/ k3 [T/L]となる。速度の次元[L/T]ではないのである。

マクスウェルはnを1つの電磁単位の中にある静電単位の数として、このnを時空の中で考察し、nは速度であることを洞察している。それはクーロンの法則による斥力(左辺)とアンペールの法則による引力(右辺)が均衡する条件から導かれていた。
(CC’n2t2)/r2=CC’ 
等号が成り立つのはnt=r、すなわちn=r/tのときである。(Maxwell著「A Treatise on Electricity and Magnetism」Art768参照)これが導きの光だった。

電荷のクーロンの法則・磁荷のクーロンの法則・ビオ・サバールの法則による力が均衡する条件の中ではどのようになるのかを試みてきたのである。条件は次のようになった。
(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs)(dr/ dt)

(k11/2k21/2)/ k3は、4・5より、次のような定数として二重化している。
1 速度の次元をもつ(dr/ dt) [L/T] 
2 電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs) を表わす
これまで比例定数の制約は1(速度の次元)だけが着目されたが、2(電磁単位と静電単位の比)の制約もあったのである。
これを電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)から捉えなおしてみよう。比例定数k1k2 k3の制約と対応して、電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)は、大きさが(k11/2k21/2)/ k3で、速度の次元[L/T]をもつように制約されるのである。内部では[T/L]ではないのである。[T/L]は虚の次元なのである。
(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs) [L/T]である。これが求めていた関係である。

7 1/√(εμ)=(Qm/Qs)=c

(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs) [L/T]
ここで、k3=1, k1=1/ε, k2=1/μとおくと、
(k11/2k21/2)/ k3 =1/√(εμ) したがって 1/√(εμ)= Qm/Qs
他方、1856年の実験から Qm/Qs=c
したがって  1/√(εμ) =c
マクスウェルはみずから導いた電磁波の速度1/√(εμ) が、電磁単位と静電単位の比Qm/Qsを媒介して、光速度cとつながっていることを洞察したのである。「光の電磁波説」の誕生である。
(了)

「光の電磁波説」の誕生3

2016-03-29 | εとμの複合
4 速度の次元(Qm=Qsの場合)

(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs)(dr/ dt)
ここでQm=Qsとする。すなわち電磁単位と静電単位を同じ電気量とみる。もちろん同じというのは電気量の大きさではなく、電気量という次元である。そして約分する。
(k11/2k21/2)/ k3 = (dr/ dt)
左辺は速度の次元をもつ定数であることがわかる。
これはこれまで比例定数の制約関係として
(k1k2)/ k32=(dr/ dt) 2=v2
とみられたものと同じである。これまではI=dq/dtからI2=(dq/dt)2とした後で、静電単位と電磁単位を考慮することなく、qq'q 2を同じ電気量の次元とみて約分していたのである。約分が前か後かの違いはあるが、 (k11/2k21/2)/ k3が速度の次元をもつという帰結は同じである。

5 電磁単位と静電単位の大きさの比(dr=dtの場合)

(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs)(dr/ dt)
ここで dr=dt とする。すなわち距離と時間を同じ次元とみる。そして約分する。いいかえれば、上の関係式を時空(L・T)から切り離す。
(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs)
左辺は電磁単位Qmと静電単位Qsの大きさの比を表わす。QmがQsの (k11/2k21/2)/ k3倍であることを表わしている。これはマクスウェルが「電磁気論」の中で「1つの電磁単位の中にn個の静電単位が含まれている」(n=(Qm/Qs))と想定したことに対応している。


「光の電磁波説」の誕生2

2016-03-28 | εとμの複合
3 2つの因数

3つの法則をF32/(F1×F2)=4となるように調整する。例えばF1=1[dyn],F2=1[dyn],F3=2[dyn]とする。これは係数を簡単にするためである。このように1・2・3・4(3つの法則と定義式)が連立しているときの条件をみていく。

k32・(22m2I2)/r2 × (1/k1)・r2/ (qq’) × (1/k2)・r2 /(mm’)=4
比例定数を前にもってきて、両辺を4で割る。
k32/( k1k2) × m2I2/r2 × r2/ (qq’) × r2/(mm’)=1
磁荷の電気量と1組のr2約分して、
k32/(k1k2) × I2・r2/ (qq’) =1
I=dq/dtである。qq'I2=(dq/dt)2を、静電単位と電磁単位で表現すると、
qq’→Qs2
I2→(dQm/dt) 2
これを条件式の中に入れる。
k32/(k1k2) × Qm2/Qs2 × dr2/ dt 2=1
k32/(k1k2) × (Qm/Qs)2 × (dr/ dt) 2=1
したがって、
(k1k2)/ k32 = (Qm/Qs)2 × (dr/ dt) 2
平方根をとると、
(k11/2k21/2)/ k3 = (Qm/Qs)(dr/ dt)
比例定数の制約条件 (k11/2k21/2)/ k3は2つの因数、電磁単位と静電単位の比Qm/Qsと距離と時間の比dr/dtで表現される。


「光の電磁波説」の誕生1

2016-03-25 | εとμの複合
はじめに

マクスウェルは電磁波の速度が1/√(εμ)であることを導いた。この値を推論するとき、ウェーバーとコールラウシュの実験を参考にした。実験は電磁単位と静電単位の比がc(光の速度)であることを示していた(Qm/Qs=c)。マクスウェルはどのようにして1/√(εμ)をcと同定したのだろうか。

1 3つの公式と1つの定義式 

マクスウェルの洞察の過程を次の3つの公式と1つの定義式を基礎にして構成する。

1 F1=k1・(qq’)/r2 (電荷に対するクーロンの法則)  
2 F2=k2・(mm’)/r2 (磁荷に対するクーロンの法則)
3 F3=k3・(2mI))/r (ビオ・サバールの法則)
4 I=dq/dt(電流と電荷の関係・定義式)
F・q・m・I・r・tは、それぞれ力・電気量・磁気量・電流・距離・時間を示す。 

2 2つの制約

比例定数k1k2k3にはk1k2/k32=(dr/dt)2=v2
という制約があることはよく知られている。比例定数k1k2k3は1・2・3・4(3つの法則と定義式)の連立の中で考えられているのである。そしてこのk1k2/k32=v2の関係は電磁気の単位系(静電単位系・電磁単位系・ガウス単位系・MKSA単位系)を構成する基礎になっている。
一方、電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)は、比例定数k1k2k3と同じように制約されているにもかかわらず、こちらの制約は着目されてこなかった。いいかえると、電磁単位と静電単位の比(Qm/Qs)は、1・2・3・4の連立の中で考えられてこなかったのである。ここに光をあてよう。電磁単位と静電単位の比は制約されている。マクスウェルの推論の核心は、この制約を洞察したところにあったのである。



半影月食

2016-03-24 | 日記
昨夜8時ごろ庭に出ると木星と月が見えた。木星の方が月より白く明るく輝いている。これが第一印象だった。月を見るとまん丸に近い。調べてみると満月で、しかも半影月食の最中だった。地球の本影のなかに入る皆既月食や部分月食とは違い、半影だけに入る半影月食は、明確に欠ける部分はなく、月の一部がわずかに暗くなるのだという。8時47分が最大とある。目を凝らして観察するがわからない。双眼鏡で見てもわからない。気づきにくいというが、注意深く見ても気づかない。寝る前にもう一度月を見た。半影からはもう出ているはずである。さきほどより明るいと思えば明るい、変わらないと思えば変わらない。なんとも微妙な半影月食だった。

MaxbadからMaxwellへ

2016-03-22 | εとμの複合
2つの単位の比の大きさと次元はc=(k11/2k21/2)/k3とすると、次のようになった。(「εとμの複合」ではes・emという表記をしたが、Qs・Qmに替えている。)

Qs/Qm=1/c  [L/T]
Qm/Qs=c   [T/L]  

電磁波の速度の大きさと次元が合わないのである。これはこれまで明確だったわけではない。電磁波の速度をめぐって、対極的な解釈があるといえよう。1つはc=Qs/Qm[L/T]と考えるものである。これはQs/Qmの次元(L/T)だけに着目し、大きさ(1/c)を考慮しないで、c=Qs/Qm[L/T]と想定するものである(木幡重雄ら)。
もう1つはc=Qm/Qs[L/T]と考えるものである。これはQm/Qsの大きさ(c)だけに着目し、次元(T/L)を考慮することなくc=Qm/Qs[L/T]と想定するものである(マクスウェル、「マクスウェルの間違い」参照)。
この2つはもちろん誤っている。Maxbadと名づけておこう。電磁波の速度のbadな解釈という意味である。
マクスウェルの洞察のポイントは、Qm/Qsの次元が [L/T]で、大きさがcだったことである。式で示せばQm/Qs=c[L/T]である。
しかし、この関係は2つの単位系の次元解析した後でその比を求めても把握できないのである。大きさと次元が合わないのである。マクスウェル自身を含めて。(木幡はQsの次元を電荷に対するクーロンの法則から、またQmを「磁荷に対するクーロンの法則」と「電流と磁荷の相互関係(ビオ・サバールの法則)」から導いてその比を求めた。マクスウェルはQsを電荷に対するクーロンの法則から、またQmをアンペールの法則から導いている。)
わたしは大きさと次元の違いに気づいて「止揚」説を唱えたが、木幡に依拠しているので「止揚」説もMaxbadに他ならない。

Qm/Qs=c [L/T]を把握するにはアプローチを変えなければならない。


cはQm/Qsだった。

2016-03-21 | εとμの複合
『電磁気の単位はこうして作られた』(木幡重雄/工学社/2003年)にc=Qs/Qmとあった(Qs静電単位、Qm電磁単位)。原典にそった展開なので重く受け止めていたが、自分なりに1/√(εμ)と単位の比の関連を見ていくと疑問が出てきた。Qs/Qmは速度の次元をもつが大きさは1/cだった。cの値を示すのはQm/Qsの方である。しかしこちらは速度の次元ではなかった。
ウェーバーとコールラウシュが測定したcはどちらだったのだろうか。
ありがたいことに、この論文(1856年の実験)はインターネットで公開されていた。ドイツ語もあるが、英訳が便利である(http://www.ifi.unicamp.br/~assis/Weber-Kohlrausch(2003).pdfの付録)。必要な個所だけ取りあげる。そこには次のように実験結果が示されている。
The mechanical measure of the current intensity is thus proportional
to magnetic as 1:155370×106
ここでmechanical measureは訳すと力学的単位だが、ウェーバーは静電単位ではなくこのタームを使っていたという。つまり、静電単位と電磁単位の比は1:155370×106であると結論している。数値は現在のものと違うが155370×106はc(現代の単位に換算すると3.11×108m/sec)のことである。また次の節には次のような記述がある。
In the preceding section, the proportional relation of the magnetic measure to the mechanical measure was found to be
155370×106:1
こちらは単位の順序を入れ替えて、電磁単位と静電単位の比を155370×106:1としている。つまり論文で示されているのは、Qs:Qm=1:c、Qm:Qs= c:1である。いいかえればcの値はQs/QmではなくQm/Qsである。つまりc=Qm/Qsである。しかもQm/Qsは速度の次元を持っている。c=Qs/Qmは間違っていた。

マクスウェルが参考にしたのもc=Qm/Qsである。マクスウェルは電磁波の速度1/√(εμ)とc=Qm/Qsの関連を洞察したのである。

shew

2016-03-18 | 日記
To shew that~とあるが、shewになじみがなかった。普段使っている英和辞典(ライトハウス英和辞典)にはなかった。意味はshow であることは文脈からわかる。show の間違いなのだろうか。ネットで検索すると、weblioの「動詞」の項に「例、説明または実験によって、何かの妥当性を確立する」(establish the validity of something, as by an example, explanation or experiment)とあった。納得できるがshow の範囲ではないかと思う。ここまでが昨日。
今日持っている英英辞典(LONGMAN)で調べると、an old spelling of SHOWとあった。これで納得。weblioの例文をみると、A few experiments will shew this. (これはいくつか実験をすればわかります。)とある。 Michael Faraday『ロウソクの科学』からの引用である。例文は62件あるが、すべて『ロウソクの科学』からであった。
最初のTo shew that~はMaxwell「Determination of the Number of Electrostatic Units of Electricity in one Electromagnetic Unit」にあるものである。shew はshowの間違いではなく、古いスペルだった。ファラデーもマクスウェルもshewと綴っていたのである。