2つの単位の比の大きさと次元はc=
(k11/2k21/2)/k3とすると、次のようになった。(「εとμの複合」ではe
s・e
mという表記をしたが、Qs・Qmに替えている。)
Qs/Qm=1/c [L/T]
Qm/Qs=c [T/L]
電磁波の速度の大きさと次元が合わないのである。これはこれまで明確だったわけではない。電磁波の速度をめぐって、対極的な解釈があるといえよう。1つはc=Qs/Qm[L/T]と考えるものである。これはQs/Qmの次元(L/T)だけに着目し、大きさ(1/c)を考慮しないで、c=Qs/Qm[L/T]と想定するものである(木幡重雄ら)。
もう1つはc=Qm/Qs[L/T]と考えるものである。これはQm/Qsの大きさ(c)だけに着目し、次元(T/L)を考慮することなくc=Qm/Qs[L/T]と想定するものである(マクスウェル、「
マクスウェルの間違い」参照)。
この2つはもちろん誤っている。Maxbadと名づけておこう。電磁波の速度のbadな解釈という意味である。
マクスウェルの洞察のポイントは、Qm/Qsの次元が [L/T]で、大きさがcだったことである。式で示せばQm/Qs=c[L/T]である。
しかし、この関係は2つの単位系の次元解析した後でその比を求めても把握できないのである。大きさと次元が合わないのである。マクスウェル自身を含めて。(木幡はQsの次元を電荷に対するクーロンの法則から、またQmを「磁荷に対するクーロンの法則」と「電流と磁荷の相互関係(ビオ・サバールの法則)」から導いてその比を求めた。マクスウェルはQsを電荷に対するクーロンの法則から、またQmをアンペールの法則から導いている。)
わたしは大きさと次元の違いに気づいて「止揚」説を唱えたが、木幡に依拠しているので「止揚」説もMaxbadに他ならない。
Qm/Qs=c [L/T]を把握するにはアプローチを変えなければならない。