岩崎武雄は、存在の弁証法と認識の弁証法を区別した。そして、新しい弁証法の可能性を、認識の弁証法にみていた。わたしは複合論を認識の弁証法に位置づけた。
存在の弁証法と認識の弁証法の区別は、沢田允茂の立場から見れば、概念の弁証法と命題の弁証法との区別といえるだろう。
存在の弁証法と概念の弁証法は対応している。ヘーゲルの「論理的なもの」は、「概念」だったのである。「論理的なもの」を「命題」として捉えることが、新しい弁証法の基礎である。
ヘーゲル弁証法と複合論は、次のように対照できる。
ヘーゲル弁証法 | 複合論 | |
岩崎武雄 | 存在の弁証法 | 認識の弁証法 |
沢田允茂 | 概念の弁証法 | 命題の弁証法 |
論理的なもの | 概念 | 命題 |
論理学 | 疑似論理学(ヘーゲルの矛盾) | 形式論理学(アリストテレスの矛盾) |