ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」Que será, será はスペイン語だが、元はイタリア語の「Che sarà,saràケ・サラ・サラ」だという。イタリア語の方は映画「裸足の伯爵夫人」に伯爵家の家訓として出てくるという(『悪の引用句辞典』鹿島茂著参照)。「起こるべきことは必ず起こる」。だから、「起こるべきこと」をしてはならない。伯爵はそれに「逆らって」悲劇を招く。Che sarà,saràは英語ではWhatever will be,will be。
映画を見て感激したJ.LivingstonとR.EvansがChe sarà,saràを作ったが、アメリカではイタリア語はなじみが薄いので、スペイン語に変えてQue será, seráにしたのだという。
When I was just a little girl
I asked my mother what will I be
Will I be pretty, will I be rich
Here's what she said to me
Que será, será
Whatever will be, will be
The future's not ours to see
Que será, será
What will be, will be
日本ではWhatever will be,will beは「なるようになる」と訳されている。「誤訳とはいえないが、いかにも日本的な諸行無常的な解釈である。」(鹿島)
「ケ・セラ・セラ」には「起こるべきことは必ず起こる」から「なるようになる」までの幅がある。ひるがって、英語圏の人は詞に「家訓」(やってはいけないことをやってはいけない)のようなものを感じているのだろうか。