対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

中断

2015-12-29 | εとμの複合
εμの複合」は中断している。よくわからないのである。1/√(εμ)が速さの次元を持つこと、また電荷の静電単位と電磁単位の比Qesu/Qemu が速さの次元を持つこともわかる。しかし、ここから進めない。
1/(εμ)=Qesu2/Qemu2 =c2
が成り立つはずだが、これは電荷・磁荷・電流の公式から導けるのか、それともマックスウェルの洞察そのもので断絶しているのか。疑問のまま年を越すことになる。

不可逆

2015-12-28 | 日記
思いがけない言葉、不可逆(irreversible)。化学反応でなじみがあった。可逆(reversible)の否定、逆に出来ない、もとに戻れない。日韓外相会談で慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認。不可逆はここでは「蒸し返さない」こと。
岸田外務大臣「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」
「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」
「軍の関与」を正式に認めている。ここが意外に思えた。これまでは関与を否定していたのではなかったか。「軍の関与」を認めるなら韓国も受け入れやすいだろう。「軍の関与」をもっと早く認めればもっと早く解決していただろう。日韓の不可逆な関係。

楽の世「原」

2015-12-27 | 日記
江南の酒である。少し前に頂いたものである。生酒でアルコール分20度、香りがよく濃厚である。冬季限定の品である。昨日、久しぶりに(80日ぶり)飲んだ。朝起きると頭が痛い、喉が渇いている。5合ほどやっていた。

ケ・セラ・セラ

2015-12-26 | ノート
ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」Que será, será はスペイン語だが、元はイタリア語の「Che sarà,saràケ・サラ・サラ」だという。イタリア語の方は映画「裸足の伯爵夫人」に伯爵家の家訓として出てくるという(『悪の引用句辞典』鹿島茂著参照)。「起こるべきことは必ず起こる」。だから、「起こるべきこと」をしてはならない。伯爵はそれに「逆らって」悲劇を招く。Che sarà,saràは英語ではWhatever will be,will be。
映画を見て感激したJ.LivingstonとR.EvansがChe sarà,saràを作ったが、アメリカではイタリア語はなじみが薄いので、スペイン語に変えてQue será, seráにしたのだという。

When I was just a little girl
I asked my mother what will I be
Will I be pretty, will I be rich
Here's what she said to me

Que será, será
Whatever will be, will be
The future's not ours to see
Que será, será
What will be, will be

日本ではWhatever will be,will beは「なるようになる」と訳されている。「誤訳とはいえないが、いかにも日本的な諸行無常的な解釈である。」(鹿島)
「ケ・セラ・セラ」には「起こるべきことは必ず起こる」から「なるようになる」までの幅がある。ひるがって、英語圏の人は詞に「家訓」(やってはいけないことをやってはいけない)のようなものを感じているのだろうか。


シジュウカラ

2015-12-25 | 庭に来る鳥
花桃の枝の小鳥、雀(すずめ)でないことはわかるが、名前は知らない。白いほほが特徴、四十雀と書いて、シジュウカラ。腹部の黒い縦線が細いのがメスだという。手前はわからないが向こう側はメスである。「ツィピーツィピーツィピー」のさえずり。


冬の星座

2015-12-24 | ノート
「冬の星座」の元歌は、「Mollie darling(いとしのモリー)」(作詞作曲 ヘイス1871年)だという。この曲に堀内敬三が詞を付けた(1947年)。元の詞とはまったく違った世界である。どちらもYou Tubeで聞くことができる。

冬の星座
木枯しとだえて さゆる空より
地上に降りしく 奇くすしき光よ
ものみないこえる しじまの中に
きらめき揺れつつ 座はめぐる

Mollie darling
Won't you tell me, Mollie darling,
That you love none else but me?
For I love you, Mollie darling,
You are all the world to me.
O! tell me ,darling, that you love me,
Put your little hand in mine,
Take my heart, sweet Mollie darling,
Say that you will give me thine.

星座の「星」とSay that の「Say」の音が一致する。

冬の大三角

2015-12-23 | 日記
オリオン座のペテルギウスは赤いと思う。シリウス(おおいぬ座)とプロキオン(こいぬ座)は青白く明るい。この順番で頂点をたどり、三角形を見る。凛とした空気なかで、光を見ると、神秘的な気分になれる。

  地上に降りしく 奇しき光よ

あいてください

2015-12-22 | 日記
歯科で口を「あいてください」と言われる。「あけてください」が自然な表現のように思えた。ネットで調べてみると「あいてください」といっている歯科はかなりあるようだ。そして聞いた人は違和感をもち、その理由を探っている。
閉まっている扉に気づいて「あけて!」という場合、なかにいる人に依頼する感じがする。「あいて!」という場合、人に依頼するのではなく扉の自発的な動きを祈念する感じである。患者と直接に向き合うのを避ける(避けている)表現なのだろうか。
患者ではなく口に頼んでいると推測する人がいた。(何百人もの口だけを見ているうちに、口の主である患者さんに「"あなたの口を"開けて下さい」ではなく、口に直接「"お口さん"、開いてください~」という心理になったのではないでしょうか。)
他動詞と自動詞、動作と状態の境があいまいになっている例。口をあいてください。

双子の微笑2

2015-12-21 | 九鬼周造
前の「双子の微笑」は、ほぼ10年前(2006.01.29)に書いている。「双子の微笑」(sourires jumeaux)はヴァレリーの詩「曙Aurore」にある表現で、九鬼周造が『偶然性の問題』で紹介していたものである。心にひびいた表現で、自分の関心に引き寄せて使っている。「双子の微笑」は注目されている表現なのだろうか。検索してみたが、最初に出てきたのは以前に私が書いた記事だった。私の他に関心をもっているものはいないのである(ネットの上では)。

小浜善信はポール・ヴァレリーに注を付けていた。九鬼は「日本詩の押韻B」(1931年)の扉に詩の仏語原文を引用しているという。
(引用はじめ)
鈴木信太郎訳を付して引いておく。
Salut! encore endormies
À vos sourires jumeaux,
Similitudes amies
Qui brillez parmi les mots!
おはやう。双生児(ふたご)のやうに似た微笑(ほほえみ)を
浮べて なほまだ寝込んだままの、
女の友達、相似形よ、
単語の間で きらきらと燦(かがや)いてゐる。(『ヴァレリー詩集』)
ヴァレリーが言う「双子の微笑」、「親密な相似形」とは、単語の間で響き合う脚韻を意味している。引用された詩でも〈endormies〉と〈amies〉、〈jumeaux〉と〈mots〉とがそれぞれ韻を踏んでいる。(『偶然性の問題』注解)
(引用おわり)

双子の微笑