対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

マルクスもうひとつの弁証法

2007-10-27 | 案内

 堀江忠雄はマルクスの「貨幣の資本への転化」には、3つの誤りがあると指摘している。これがきっかけになった。「貨幣の資本への転化」(『資本論』)を検討してみようと思ったのである。

 「弁証法試論」補論13として、『マルクスもうひとつの弁証法――「貨幣の資本への転化」について』をまとめた。
 
 目次は、次のようになっている。

  0 はじめに
  1 マルクスの問題設定と解答
  2 3つの誤りがある
  3 ヘーゲルとマルクスの弁証法
  4 流通部面は買いだけでよい
  5 資本は産業資本だけである
  6 剰余労働はいつでもあった
  7 「虚偽」について
  8 マルクスもうひとつの弁証法

 マルクスもうひとつの弁証法――「貨幣の資本への転化」について

 マルクスの「貨幣の資本への転化」は、リカードの労働価値説とヘーゲル弁証法を複合する試みとして読むことができる。この複合する試みそのものが弁証法である。マルクスがおこなった複合において、「貨幣の資本への転化」の全過程は、すこしだけ縮んでいる。ここにヘーゲル弁証法の制約をみることができる。矛盾の論理としての弁証法は否定されるべきである。

 参考文献

  堀江忠雄『マルクス経済学と現実』学文社 1979年
  堀江忠雄『弁証法経済学批判』早稲田大学出版部 1975年
  マルクス/大内兵衛・細川嘉六監訳『資本論』大月書店 1968年
  吉田憲夫『資本論の思想』情況出版株式会社 1995年
  伊藤誠『『資本論』を読む』講談社学術文庫 2006年
  柄谷行人『マルクスその可能性の中心』講談社 1978年
  久留間鮫造ら『資本論辞典』青木書店 1966年
  廣松渉編『資本論を物象化論を視軸にして読む』岩波書店 1986年
  リカードウ/羽鳥・吉澤訳『経済学および課税の原理』岩波文庫 1987年
  ローゼンベルグ/副島種典・宇高基輔訳『資本論註解』青木書店 1962年