対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「対立関係の認識」と「対話」

2007-04-22 | ノート

  茅野良男は『弁証法入門』(講談社現代新書 1969年)のまえがきで、弁証法について探究していくうちに、「弁証法は対立関係の認識であり、認識を通しての対立関係の克服であり、対立関係を通しての認識の発展であるという考え」がうかんできたと述べている。

 この考えはわたしの複合論と相性がいい。

弁証法で説かれる矛盾は、論理学が排除し禁止する命題間の矛盾というよりも、一般に対立関係、反対関係、非両立関係をさすと考えた方がよいでしょう。
 弁証法で説かれる矛盾を右のように広くとらえると、弁証法は実在的な反対や対立、非両立の関係の認識であり、かつその認識に基づいて対立関係を克服しようとする考えといえるでしょう。反対関係や対立関係を甘受して受けいれるのではなく、まずそれらを認識し、克服し、解決しようとするところに弁証法が成立すると思われます。

 次のような対応が考えられる。

   対立関係の認識             選択
   認識を通しての対立関係の克服   混成
   対立関係を通しての認識の発展   統一

 茅野良男は弁証法を「対立関係の認識と克服の論理」と考えている。わたしは「対話をモデルとした思考方法で、認識における対立物を統一する技術」と考えている。「対立関係の認識」は「対話」と対応する。


つなぐ技術

2007-04-01 | ノート

 弁証法は、哲学ではなく科学であると主張したのは、三浦つとむである(『弁証法はどういう科学か』)。わたしは弁証法は科学ではなく、技術であると主張する。弁証法はつなぐ技術である。「弁証法はどういう科学か」ではなく、「弁証法はどういう技術か」が、弁証法の核心にせまるものと考える。