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青函貨物廃止で道内1462億円損失の試算 

2019年06月02日 | JR北海道 JR北
5月31日の北海道新聞に以下のような記事が掲載された。

青函貨物廃止で道内1462億円損失 みずほ総研試算 海運転換不調なら
 北海道新幹線の高速化に向けて課題となっている青函トンネルでの貨物列車との共用走行問題で、みずほ総合研究所(東京)は、鉄道貨物を全て海上輸送に転換した場合の影響を試算した。必要となる運転手や船を確保できなかった場合、農産品の輸送が難しくなり、道内経済に1462億円の損失が生じると算出。貨物の海上転換議論に影響を与えそうだ。
 今回の試算は、経営に大きな打撃を受けるJR貨物が、みずほ総研に委託し実施。共用走行区間の貨物輸送を全てフェリーやRORO船(フェリー型貨物船)に転換した場合に必要な運転手の数や、道内経済への影響を試算した。
 試算によると、新たに必要になるトラックやけん引車の運転手の数が、道内で350~700人、道外で800~1550人に上る。列車は道内で14カ所、道外に134カ所の貨物駅があるが、船の場合は港の数が限られ、集配場所との距離が長くなるためだ。
 農作物の収穫期で道内発の貨物が多い8~10月は船の空きスペースが無く、3千トンのRORO船6隻が追加で必要になるという。
 運転手確保や船の新造ができない場合、鉄道貨物のうち道内発の97%、道内着の92%が輸送困難になる。道内発の約半分が農産物で、関連産業も含め1462億円の損失につながるという。道内産の割合が高く鉄道で多く運んでいるタマネギや小豆などは、全国の供給量にも影響する。
 海上輸送に転換すると、東北、中国、四国、九州地方との発着で輸送コストが上がる。」



以上のような記事だが、これは北海道大学公共政策大学院客員教授の石井吉晴氏が座長を務める私的団体が提言したものに国土交通省が乗っかり、検討を始めたという青函貨物船舶転換論だ。当ブログでも3月に取り上げている。
氏は港湾関係に造詣があり、同業界との関係も深い。したがって当然の主張になるのだが、氏は、さらに北海道に鉄道の大幅削減についてもを論じている。
 基本的にトラック輸送転換論にはマンパワーについての想定が甘いと思わざるを得ない。トラック運転手はもちろん、船舶の乗組員も多くを外国人に頼っている現状があり、高齢化が進んでいる。
また、青函トンネルが、多くの犠牲を伴いながらも建設された経緯も忘れている。洞爺丸が沈んだ夜の大風を幼かった私でも覚えている。当時はは函館に住んでいた。階下の住人が亡くなったと母に聞かされた。
新幹線をフルスピードで走らせ、航空機から乗客を奪うために、それも一企業であるJR北海道のために、船舶の新造や埠頭の整備をして青函連絡船時代に戻すような無駄な公共投資をする余裕が、1200兆円の公債を背負った今の日本にあるとは思えない。
年金も払えないから70歳まで、いや、死ぬまで働けと言っている我が国にそんな力があるだろうか。
なにより、コストの上昇は北海道民にとっては生活に直結する死活問題だ。

道外から北海道に移動するのは、たとえビジネスでも観光気分の人たちには新幹線も楽しいだろうが、北海道民が本州に渡るのは「海を渡る」という事であり、心理的に航空機を選択することになるのは明白である。

さらに言えば、同じ巨額投資をするなら、第二青函トンネルの方が理にかなっていると思うのだが・・・・


続く・・・