北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

札幌に住むおやじが北海道を中心に鉄道旅の話題や無線の話題も織り交ぜてぼやきます。アマ無線のコールサインJA8HBO

新幹線開業の影で消えたものはあまりに多い

2016年03月26日 | JR北海道 JR北
新幹線。正直、乗ってみたいとは思うが、今までも本州から北海道に鉄道は通じていたし、別に特別な感慨などはない。
とても祝うなんて気にはならない。国と地方の公債残高は1200兆円超だ・・・・。
 年間50億円の赤字を積み重ねながら走る北海道新幹線。開通前の海峡線は約10億円の赤字であったから、5倍の営業損失が毎年、新たに発生し積み重なっていく、その多くは税金から補填されることになる。
 到底、黒字になるとは思えない札幌延伸も、工費の高騰で1兆円を優に超えて国民の負担となっていくだろう。
「いろいろな影」
1.8つの駅の消滅。
2.約80本に及ぶ普通列車の消滅。
3.駅から消えた駅員。
4.駅から消えたキオスク。
5.日高本線復旧の可能性の消滅。
6.留萌線の部分的廃線。
7.S切符フォーなどの割引き切符廃止
8.冬場は消える一日散歩きっぷ
9.18切符と北東パスの海峡線特急乗車の特例の廃止。
 まだまだ、挙げたらきりがない合理化の元に消えて行った各種のサービス。
10.札幌から乗り換え無しで行けた何本かの列車も消えた。札幌で本州方面の方向幕を付けた列車を見ることは今後15年間はないのだろうか。
(廃止一週間前のはまなす回送)





(廃止三日前のカシオペア回送)

需要が限られた新幹線の開通を憂う(改題)

2016年03月12日 | JR北海道 JR北
「やはり限られた需要しかなかったのか」
この3月26日には北海道の鉄道に大きな衝撃が走る。
ひとつは、北海道新幹線が北海道の「観光の入口」の函館まで開通。
かつて青函連絡船が北海道と「内地」の主たる交通手段(私が大学生の頃)だった時代は、まさに「玄関口」だったが主たる交通手段が航空機に変わり、玄関口の座は千歳空港に奪われた。
今回の新幹線開業でも、それが変わることはないだろうが、道南地域の経済界、特に観光業界にとっては期待が大きいことだろう。
 しかし、それに水を差すように新幹線の座席予約は、開通一番列車は即完売したものの、開業日の3月26日から9日間の提供座席数約20万席に対し、予約数が現在までに25%に当たる約5万席分にとどまっているとの報道があった。
25%という数字だけを見ると、やはり少なく感じる。JRはビジネス需要の少ない新青森―新函館北斗の想定乗車率を当初計画で26%程度と見込んでいる。たしかに、予約座席数は前年同期の在来線(津軽海峡線)の実績と比べると6.3倍にはなる。
とはいっても開通へのご祝儀需要を含んでの数字。かなり厳しいと言わざるを得ない。
島田社長自身、以前の記者会見で「6両編成程度」が望ましいとしていた。しかし、東日本との共同運航?の都合上10両にせざるを得なかったのだろう。
札幌延伸開業までは6両を中心にして、新青森での乗換えか連結でもできなかったのかと考える。
無駄に赤字を増やして、その穴埋めを在来線の無理矢理な合理化で影響を受ける北海道棄民のことなど、殿様商売の東日本のエリート気取り達は考えもしなかったのだろうか。
運行や車両が云々いろいろの問題はあるだろうが、一般人には関係のないことなのだ。それをクリアするのが、この企業の責任だし、この会社は公的負担で成り立っているのだからなおさらだ。
 とにかく、札幌延伸後も新幹線への需要はかなり限られたものになるだろうし、北陸新幹線とは比較対照にもならない。
JR北海道が、さらに重荷を背負ってしまったことは間違いない。
「安定した貨物輸送への懸念」
また、冬季試験走行中、貨物列車を走らせるための線路を切り替える三線分岐器(ポイント)が、凍結などで動かなくなる不具合が14件起きたと発表した。
次の冬までに早急な対策が必要となるであろうし、新幹線の標準軌で走行できる貨物列車の開発が急がれる。北海道の物流にとって、青函トンネルは重要であることは言うまでもなく、極端な話が新幹線で人が運べないことより物を運べないほうが重大なことなのだ。
「インバウンド頼りの不安さ」
 当面、いや永遠に、北海道新幹線の利用客は観光客がメインとなる。特に「シンカンセン」に興味を抱く外国人観光客はジャパンレールパスという日本中7日間乗り放題の3万円にも満たない格安のフリー切符を利用して乗ってくるだろう。この切符は今後、国内の主要3空港でも発売されるそうだから利用客は増加することは間違いない。
この切符は「損して得取れ」の考え方で、JRにとっては地方閑散路線を利用してくれる効果がある。
たとえば北海道なら富良野線や釧網線などだ。
利用する外国人が、地元に少なくない経済効果をもたらしてくれることが期待できる。
外国人観光客はバスはあまり利用しない。鉄道があれば当然に鉄道なのだ。理由は「バスは地元の人に便利なもの」だからだ。私たちも見知らぬ土地でバスに乗るのは相当に勇気が必要だし、とにかく所要時間の見当がつかないのが困る。
「都市間バスの巧妙さに負けた」 
さて、観光客がメインの乗客ということを考えてのことだろうが、函館始発や最終着の「はやぶさ」に接続するような札幌との夜行列車は設定されなかった。
現代の観光客が夜行列車を利用してまで移動するとは思えないし、老朽化して不足している車両を回すほどの利用が期待できなかったのが主な理由だろう。
鉄道ファンとしては「はまなす」の廃止と共に残念なことだ。
その代わりと言ってはなんだが、札幌と函館間に高速都市間バスを運行するバス会社各社は新幹線の始発と終着に合わせて深夜バスを新函館北斗駅に停車させるとの事だ。
今後、このバス便の利用客の様子を横目で見ながらJRとしても何らかの手を打ってくる可能性はある。札幌まで延伸されるのは14年後だから、その間に車両の更新が進めば十分にありえると考える。

「地方ローカル線の切捨てが進む」
 次に、新幹線の開通と共に、北海道内の在来線は地方閑散線区を中心に減便と廃駅さらに駅の無人化という大きな変化を迎える。

それには新幹線の開通に合わせて行うのが妥当かどうかと言う疑問が残る。新幹線への人・物・金の集中ということもあるだろうが、一連の安全運行に関わる問題の解決のために、国の指示によってJR東日本から支援のために中堅の社員が派遣され、その人たちの意思が強く働いているものと思われる。各自治体は急な合理化に強く反発したが、ほぼJRの計画通りに合理化は進んでいく。
これはJR東日本のやり方そのままだ。株主が国だけの特殊な形態のJR北海道というのは、営業損失を出してでも鉄道を運行させるためにあるのだ。しかし、東証一部上場のJR東と同じような手法で強引に合理化を進めることには大きな疑問を感じる。

経営安定基金を忘れてしまったかのような日高本線の営業損失補てん要求という姿勢が、その最たるものだ。
JR北海道は、線区別に合理化の説明を関係自治体に行っていくため、「地域交通改革部」なるものを設置するとの事だが、このまま公共交通としてのあり方を忘れたように振舞われるのを防ぐためにも、北海道の自治体はJR北海道に対して厳しい態度で臨むべきかと思う。


日高線は北海道の在来線全体の問題だ

2016年03月05日 | JR北海道 JR北
3月5日乗車したキハ201の運転席横のガラス越しに見たカシオペア。定期運行は残りわずかとなりました

2月28日に開かれた日高線の復旧に関する協議会では事前の報道の通り、JR側が復旧後の営業損失の負担を自治体に求め、さらに上下分離の説明と例示をしたたようだ。当然に自治体側は猛反発して、各首長は不満と憤りを隠していなかった。沿線の人口は5万人程度で2040年の推計では3~4万人程度まで減少すると予測されている。
そのような町の財政規模を見る限りにおいて、上下分離での運営費や損失の負担は到底不可能だろう。

 かつて日高線に走った優駿浪漫号。幾度となく乗ったが最後に乗った4年前頃は地元の歓迎の催事もほとんどなく、静内の桜だけが頼りだったし、まるでJRが勝手に走らせているといった趣だった。
復旧の協議で自治体が出した抽象的とも言えるインバウンドを中心とした利用拡大策なるものをJRが受け入れず、信用しない様子なのは頷ける。
今回の日高線の復旧が進まないという問題は、鉄道に対する自治体の無関心という環境の中、連続した自然災害によって、今まで積み重なってきたJR側の不信感が顕在化したと考える。
要するにしつこいようだが、鉄道に対する北海道も含めた自治体の過去の無関心さが招いた結果なのだ。
地元自治体や経済界が懸命に存続と活用に動いてきた石北本線や宗谷本線などとの違いは明白だ。

さて、ここで考えたいのは経営安定基金の存在だ。
本来、日高線はもちろん、国鉄民営分割の際に北海道全線で発生が予測された損失を穴埋めするために、基金は存在している。
したがってJR北海道が、地元自治体に損失補てんを要求するのは、安定基金の存在自体を否定することにはなり、本来はおかしいことのはずだ。
とは言ってもバブル期だった当初に想定した運用益は、今や期待できない低金利状態。これは国が政策的に誘導していることでもあるのだし、もはや安定化基金による損失補てんのスキーム自体を見直す段階にあると感じる。
 今や事態は政府が動く時ではないかと考える。多選知事と、ほとんどが無風選挙で行政出身者による首長が長く続いてきた沿線自治体には、思い切った判断を期待することはできない。失礼を承知で言わせていただく。

 ちなみに私個人としては廃線が妥当かと考えている。大量輸送手段としての鉄道は日高地区においては役割は終わったのではないだろうか。バス運行への補助を充実させる選択肢が最適ではないだろうか。
積雪も少ない日高沿線はバス交通にはうってつけの地域ではないか。並行する整備された道路の沿線に、多くの住民が暮らす完全な車社会の地域だ。今まで鉄道が存続できたのが不思議なくらいだ。
結局、日高本線は、苫小牧の経済圏である程度の利用客が望める鵡川、もしくは日高門別か富川駅を改修して終点として一部存続し、以南は廃線とするのが良いだろう。
なお、その際の運営は当面はJR北海道が行うべきかと考える。
また、もし、全線を残すならば、従来どおりのJR北海道による運行はもう望めないと思われる。
この際は上下分離か第3セクターという選択肢になるだろうが、いずれにしても相当に障壁が高いものといわざるを得ない。

「北海道新幹線の札幌延伸後の姿は」
 さて、日高本線の問題は北海道全体の問題でもあるのは間違いない。
いずれは、北海道の在来線全体を上下分離することを前提としてJR北海道から保線部門を順次分離し、職員を再雇用して、北海道全線の上下分離を新幹線札幌延伸の時期を目途に進めたらどうだろうか。これは札幌圏も例外ではない。
JR北海道は経営安定化基金の運用益相当額を線路使用料として納付する。ありえないだろうがJR北海道に利益が見込めるなら、その利益相当額を軌道を保有する新会社に還流するべきだろう。
さらに、北海道民の負担によってなされる上下分離により身軽になったJR北海道が上場するなどということはあってはならない。ましてや東日本の傘下に入るなどというのは本末転倒である。
新幹線は東日本に運営をすべて任せるというか、JR北海道は手を引くべきだ。しかし、赤字必須の北海道新幹線を東日本が(株主が)引き受けるわけはないだろうが(笑)。

以上、私の現時点での極論を書かせてもらった。
「新幹線は北海道の在来線に黒船としてやってきた」
今は北海道の交通体系を維持するためには従来にはない指導力が求められる。
新幹線に浮かれているような指導者は無用だ。