北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

札幌に住むおやじが北海道を中心に鉄道旅の話題や無線の話題も織り交ぜてぼやきます。アマ無線のコールサインJA8HBO

日高本線考

2015年11月16日 | JR北海道 JR北

先週の新聞に日高本線について以下のような記事が載りました。
「「 JR北海道は12日、今秋の台風で新たに被災した現場を報道陣に初公開した。一方、沿線7町は復旧後の利用促進策をまとめ、16、17日にJR北と国土交通省に早期復旧を求める要望書を提出する。
 JR北は、消波ブロックを設置する応急措置を実施。工務長は「半世紀ほど前の写真より、海岸線が100メートルほど線路側に迫ってきている」と指摘。「『砂の城』を造ってはすぐに波にさらわれるようなもの」といい、抜本的な海岸保全工事が必要との見方を示した。ほかにも数カ所、弱い地盤の上を走る区間がある。」」
「「7町長と日高振興局長らでつくる「JR日高線と地域振興に関する検討会議」は12日、JR日高線の利用促進に関する検討報告書を発表した。住民アンケートでアイデアを募り、539人分が寄せられた。
全線を通じて海沿いを走り、草を生むサラブレッドの姿も見られる道内随一の風光明媚(ふうこうめいび)な路線だ。「車外風景に合わせた車内アナウンスをする」「食堂車や写真撮影ツアーなど企画列車の運行」など観光を組み合わせた活用策が最も多かったという。
 さらに停車駅の見直しによる高速化や、新千歳空港や札幌への直通列車の新設のほか、「JRと協力して地域住民が利用しやすい効率的なダイヤを設定したい」などJRへの注文、「日高にちなんだ駅弁や土産の開発」「沿線の公務員が出張で積極的に利用する」などの意見の一方で「日高線存続のため何億円も投入するのは反対」「人口減少社会では廃止もやむを得ない。代行バスで十分」。「黒字化が無理でも路線に必要性があるのなら、公的支援を検討すべきだ」といった声もあった。
要望書では、「日高線を持続可能な鉄道として、地域一丸となって支えていく」と説明。利用客増のため、管内の観光客数を2014年度の160万人から19年度に210万人まで回復させる目標を掲げた。」」
 
以上のような記事でしたが、住民の考えは必ずしも存続へ一枚岩ではないようです。車社会が浸透した同地区は自家用車への依存が高く、若い世代を中心に「不要論」があるのではないかと思います。

さて、私の考え方としては、日高本線線の被災現場でJRに復旧費を負担させるのは疑問で、護岸の侵食を防ぐのは国か地方自治体が行うべき公共事業ではないかということです。
たまたま海岸線に線路を敷いて使用しているJRに対しては、線路用地使用料程度の負担で良いのではないかと考えます。日高本線は存続が必要なら公共事業として護岸整備をするべきだということです。

ひだか町静内春立地区では日高本線に被害が出た当日に、防波堤が崩壊して住宅が波を被るという被害が出ました。
当然のこととして公共事業として復旧工事が進んでいます。
ところが、同様に護岸が崩壊した日高本線は鉄道会社が自前で復旧しなければならないということなのです。
海岸線の維持保全は国土の保全という意味もあるにもかかわらず、なぜ一私企業が保全工事を行わなければならないのでしょう。
同様に疑問を持ったのは函館本線の八雲町付近の噴火湾沿いの護岸の基礎部分が流出したときでした。
私は、海岸線は道または北海道開発建設局が管理しているもので、復旧も同様に同部署が行うものと考えて報道を読みました。ところが、JR北海道の管理不足を追及する声ばかりなのです。
今回の日高本線の被災箇所の一つはは海岸線が50年前と比較して、100メートルも内陸に向かって侵食されているといいます。
海岸線の侵食は河川の改修や海岸の護岸工事で全国的に問題になってきている場所も増えていると聞いています。
これはまさに国の国土保全の問題だと思うのですが、たまたま鉄道が走っていただけで、その鉄道会社に負担させるのは甚だ疑問といわざるを得ません。

 結論として、護岸工事は公費で行い、線路の復旧はJRで、山側の壁面の崩落防止工事は地元自治体が負担するということで進めるのが常識的にみても納得できるものと思います。
この場合、地元自治体が負担できないなら海岸の護岸工事同様に道と国が全て負担するということでどうでしょう。
 
 今日の新聞報道によると国交省北海道運輸局が本格復旧にかかる約30億円のうち、国が復旧事業費を当初の4分の1から増額して3分の1補助する方針とのことです。
このスキームでは道が同額の10億円の負担で、残り10億円をJRということになるのですが、この際、地元自治体が5億円拠出して、どうしても出さないとしているJRに残り5億円を拠出させるように株主である国交省が政治力と行政命令で強引に説き伏せるというのが落としどころでしょうか(笑)。

 ただし、沿線住民が費用負担に反対し不要論が強いようであれば、さっぱりと廃線して、高校生の通学手段を確保するためにもバス会社に補助金を出してコミュニティバスを運行してもらうしかないでしょう。
その代わり、競馬の賞金レースや観光地としての「優駿浪漫街道日高本線」は忘れられ、人々の記憶から消え去っていくことでしょう。
当然に多くの若者は次々と地元を離れていくでしょう。
中学を卒業したら苫小牧に引っ越して高校に通う子供たちがほとんどになり、そのまま故郷には戻ることもないのかもしれません。

風光明媚な海岸線を持ち、牧場で駿馬が草を食む姿を車内から眺めることが出来るなど、観光地としては非常に魅力的な場所だと思うのですが。
地元の観光振興のためにも自治体が、一定の負担をしていくのが当然の成り行きではないでしょうか。
鉄道はバスと違います。バスは観光の道具でしょうが、鉄道は観光の要素でもあり対象物にもなりえます。
道民皆の意志で先人の残してくれた宝物である北海道の鉄道の一つの日高本線を存続させましょう。
北海道の鉄道の意味を忘れつつある我々は、今、北海道を開拓した先人に謝らなければならないことをしているのです。
本州の鉄道とは違います。(T_T)
首都圏の方の中には乗客がいないなら廃線にしろと簡単に言う向きもいらっしゃいますが、それなら千葉の南房総方面の路線も廃線ですね(笑)肩と肩を触れ合うのが鉄道だと思っているかと気の毒になります。
これは千葉市在住で毎朝、品川まで通勤快速のグリーンで通う弟の話からです。私は、そこまでは言いません(●^o^●)

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