「ホンマでっか⁉TV」の出演して以来、笑いを生み出す芸人の力に瞠目した中野信子さん。そこで目の当たりにした明石家さんま、ブラックマヨネーズ、EXITなどの笑いの才能は自らのないものだけに興味津々、遂にはEXITの兼近とこんな対談本まで出してしまいました。これ以前にもブラックマヨネーズを高く評価して対談を行っています。果たして脳科学者の中野信子さんの思う「笑い」とは。
ところでEXITの兼近大樹。チャラい雰囲気なのですが、どうして彼?中野さんは「ホンマでっか?TV」の出演で初めて知ったみたいですけどその才能を認めて兼近が高校認定試験を受験するに際しての家庭教師役まで買って出ている。兼近は家庭環境もあって中学校の時は問題児、定時制高校は3日で退学。そんな環境を変えようと東京に出てNSCに入る。ひたすら面白い人になりたいと努力して、りんたろーとコンビを組んでEXITは笑いの第7世代の一員となり「チャラ男」のキャラとしてテレビにも出るようになってきた。学力のなさは致し方なかったのだが、言語特に音声言語の運用能力は高く、社会時事についてもフォローして結構努力家とか。こう書くと営業妨害ですけどね。
ところで兼近は笑いのセオリーについて披歴しているのですが、一つは「緊張と緩和」、これは枝雀師匠がよく言っていました。緊張した空気を緩和して笑いを取る、さんまが何時も上手く回しています。もう一つは「裏切り」の理論、ちなみにEXITの笑いはチャラい恰好をした見た目と異なり地球温暖化とか少子高齢化のネタを始めたりの裏切りの笑い。次は「共感」の笑い。共感は場所によって作られる要素があるので、いかにそこを見極めるのかが大切。それぞれ芸人の具体例を挙げているので分かり易くて面白い。興味がある人は読んでみてください。
ところで人類は何故笑いが必要としたのか、ここは中野さんの解釈ですけど人間は太古の昔から外敵から身を守るためにも、何か新しいことに挑戦するためにも常に集団を作り、その集団をまとめるためにヒエラルキーを構築してトップの意見に従う社会性を獲得してきた。でもそのためには従うだけの多くの人に不満がどうしても溜まる。その構造を時々逆転してゆがみを解消しないと集団そのものの寿命が短くなる。笑いがあることによって構造が逆転されガス抜きができ集団の寿命、そこに所属しているめいめいの寿命を延ばすことに繋がっていく。厳しい状況でこそ笑いが必要と言えるのか。人はカネを払ってでも笑うことによって寿命を延ばしている…
勿論中野さんは脳科学者としての専門的な知見から脳が笑いを認めて行く機序を解説しているのですけど、小難しいことはスルーして中野・兼近のいろいろな芸人の笑いのテクニックの解説を読むだけでも面白い。
それにしても中野さん、ホンマでっか?TVで開眼したのか、お笑い好きで、この本ではテレビでおなじみのコメンターの発言とは少し違った面が見ることが出来ます。
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