怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

田辺聖子「大阪弁ちゃらんぽらん」

2022-06-26 14:28:09 | 
現在朝のBSで「芋たこなんきん」を再放送している。
藤山直美が主演で、朝ドラ史上最も高齢のヒロインと言われたとか。
夫役の国村隼が意外に渋くてかっこいい。最近では悪役しか印象になかったのですが、若かりし頃はと言ってもこの頃でも中年ですが、そうでもないと改めて思い知りました。
物語は田辺聖子の半生を自身がドラマ化したもので、タイトルにも原案田辺聖子となっています。

田辺聖子ファンとしてはよく知ったエピソードばかりなのですが、それはそれで楽しい。
ドラマとしては何というでもない日常を面白おかしく演じてあるだけと言えなくもなく、盛り上がりにイマイチかけるかも。
私には「女の長風呂」シリーズなどで「かもかのおっちゃん」の語る世界の背景がよく分かって、それだけで十分なんですけど。
そんなこんなで家にある田辺聖子の本を取り出して読んでみました。

「大阪弁ちゃらんぽらん」という表題からしてお堅い筑摩書房にはちょっと似合わないのですが、その分気楽にすいすい読めます。もちろんちゃんと「大阪弁の研究」とか「大阪方言事典」等も参考にしながら、終戦から戦後までの大阪弁の雰囲気を伝え大阪庶民の文化を活力あるものにしようという志が出ている。
でも、あほ・すかたん・チョネチョネ・けったいな・いちびるなどの大阪弁があらわす庶民の活力というのはどことなく卑猥で本音で勝負しているのですけど、そこが面白い。1978年というからもう45年前の出版ですが今でも十分普通に読めます。それだけ大阪弁の文化というものが根強く残っていて、テレビなどでも使われているからでしょうか。そう言えば我が家は土曜の昼はいつも「吉本新喜劇」を見ていますね。
因みにこの本では「かもかのおっちゃん」は出てこなく、「熊八中年」になっています。田辺聖子は「女の長風呂」でも確かかもかのおっちゃんは夫とは違ういろいろな人の合成したものとか言っていましたから、あまり名前に拘りがないかも。
確かまだ本棚に「女の長風呂」シリーズが何冊かあるはずなので、探してみましょう。
実は田辺聖子の小説では私は「おかあさん、疲れたよ」が最高傑作ではないかと思っているのですが、これも探せば本棚の奥にあるかも。戦中戦後の時代に翻弄された、それでもたくましく生き抜いた女性の生き方としてはドラマ「芋たこなんきん」の演じられる時代・世界と重なるものがあるのですけど、朝ドラではできないだろう恋や心の揺れが満載で、もう20年以上前のことですが途中でやめることが出来ずに読み切った覚えです。今度探して再読したらレビューしてみます。

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