怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東野圭吾「聖女の救済」「犯人のいない殺人の夜」

2024-07-26 14:54:40 | 
東野圭吾の「聖女の救済」は御存じガリレオシリーズの長編。

おなじみの草薙刑事と内海薫刑事のコンビに、草薙の大学時代の同級生のガリレオこと湯川教授。
テレビや映画でガリレオを福山雅治が演じているので読んでいてもどうも福山のキャラが頭の中に侵入してきます。内海刑事は時によって変わったと思うのですが、印象的なのは柴咲コウ。今回の事件では生意気な感じで自分の推理に突き進んでいく姿が柴咲コウのキャラにぴったりです。ところで草薙刑事は誰がやっていたのか?印象に残っていないのがちょっと悲しい。草薙はあくまでホームズのワトソン役で進行役が出来ればいい?
それでも今回のケース、真柴義孝殺人事件では草薙は被害者の妻綾音に心惹かれてしまうのだが、葛藤を抱えながらも刑事という本分をおろそかにすることなく事件の真相に迫ろうと言う姿が描かれていて立派な主役です。そんな草薙に対し、現場の些細な状況に違和感を覚えて綾音を疑いながらも完全なアリバイがあり行き詰ってしまい、苦し紛れにいつものようにガリレオこと湯川教授に相談する内海。
興味を持ったガリレオは状況を聞いていくつかの調査を指示しながら推理を進めていきます。
調べが進む中で、夫真柴義孝の過去の女性関係とか子どもを産む装置としか考えていない女性感があぶりだされていき、殺人に至る動機が見えてくる。
徐々に綾音に対する包囲網が狭まっていくのですが、ガリレオが導き出した答えは彼曰く虚数解。理論的には考えられるが現実的にはあり得ない、トリックは可能だが実行することは不可能だという。確かに常人では不可能なことでしょう。
それがどんなものなのかは読んでのお楽しみですので、多少なりとも興味を抱いたならとにかく読んでください。でもこの方法だと一つ間違うと大量殺人事件になってしまったのではというのが私の読後の違和感ですかね。
東野圭吾のもう1冊は短編集です。

1990年に初版で、文庫本には1994年になっています。
かなり前の作品と言うこともあって、技巧を凝らしすぎて現実感が薄れてしまったと言う面では少し若書きの感があります。
表題作については特に思いますが、真相までに二転三転。さすがの展開ですがちょっとねと思ってしまいます。短編と言うことで思いもしないネタと言うか伏線をいくつも仕込むのは難しいので謎解きも強引にならざるを得ない。犯罪に至るやむに已まれずの葛藤と人間心理を細かく描写することも難しいので感情移入しにくいのは仕方ないか。
どちらも暑い中エアコンの効いた部屋で寝転がって読むにはいいと思います。
コメント
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