怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「認知症世界の歩き方」筧 祐介

2022-03-12 21:15:21 | 
私の母は齢90歳にして実家で独り暮らし。
要介護2でディサービスに週2回通っているのですが、認知機能はボロボロで、海馬にアミロイドβが充満しているのか短期記憶はないと言ってもいい。
おかげでやることなすこと理解不能のことが多く、ブ千切れてしまうことの多い日々です。
一体どういう考えなのか少しでも分からないかと、この本を予約して読んでみました。
同じ様な苦労をしている人は多いのか図書館の予約は100以上あって借りられるようになるまで、だいぶ待たされました。

介護しているものからは理解不能の行動の数々、例えば
お風呂を嫌がって入ろうとしない
同じものを何回も買ってくる
同じ服ばかり着ている
時間感覚が分からず昼夜逆転してしまうことがある
などなどの症状。
この本は認知症の人がどういう心身状況でこうなってしまったのかを、認知症の人の立場に立つと世界がどう見えるかを縷々解説しています。
私たちにとって当たり前のことでも一つ一つの行動を分解してみると結構複雑な働きの組みあ合わさったものだと言うことが分かります。一つ歯車が狂うといろいろな社会生活を送る上の齟齬が生じるわけです。
それにしても年齢とともにボケ症状がでるのはいたし方ないのですが、母を見ているとどういう考えからこういう行動が出るのか理解しがたいことが多く、しかもそれを指摘すると居直って逆切れされることも度々あって、修羅場を演じています。怒鳴りつけると怒鳴ったこちらはあとを引きずっていつまでも覚えているのですが、相手はすぐに忘れてしまい、何事もなかったようにまた同じことを繰り返してこちらの神経を逆なでる。覚えていないことが分かるだけに徒労感はひとしおです。
読んでみると、認知症による心身機能障害の例44例が挙げられていますが、うちの母のように90歳の人は言われるまでもなく短期記憶は壊滅で時間、空間感覚も怪しくて、既にここに書いてある例を突き抜けているようなことばかり。どちらかと言うと若年性認知症と言うかおかしいなと思い始めた人が感じる障害のような気がします。
part2では、そんな認知症と本人も家族もどうやって付き合っていくのか具体的のガイドが書いてあるのですが、母は不安に思うことはあるにしても認知症であると言うことは自分でなかなか認めようともせず、ひとり暮らしを自分がちゃんとできていると言う感覚です。実際には掃除洗濯はできず、買い物にも昔から顔なじみの近所の肉屋と乾物屋以外には行けず、料理もご飯を炊くこともできず、かろうじてパンをトースターで焼き牛乳をレンジで温めることぐらいしかできていないのに、一人暮らしなので部屋は汚れず、体もきれいで必要な買い物はちゃんとしていて、料理も自分で出来ていると思っている。こちらが世話を焼かなければほとんど何もできないのに、どうして現状認識できないのか理解できません。
そういう面ではもう少し期待していたのですが、この本は認知症かなと思ったらすぐに読む本でしょう。
そう思うと最早このレベルを突き抜けたような母の状況に心滅入るばかりです。
コメント
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