怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件

2020-01-02 09:39:15 | 
あけましておめでとうございます。
穏やかな正月を過ごされたものと思います。今年もよろしくお願いします。
少し前は正月三が日にテニス初めを行うという元気もあったのですが、今はもう昔の話。
テレビをだらだら見つつ本を読んでいます。
ということで今年最初のブログはほんのレビュー。
著者のぐっちーさんは去る9月24日に逝去されました。享年59歳でした。人生80年時代に若すぎる死です。謹んでご冥福をお祈りします。
私は「アエラ」の連載や「東洋経済オンライン」の連載をずっとフォローしてきたので残念でなりません。
ぐっちーさんの今の肩書はたくさんあるのですが、本業というのはやっぱり投資銀行家。若かりし頃はモルガンスタンレーにいて、それこそ生き馬の目を抜く世界で神経をすり減らしていたのでしょう。
その少し前の8月にはこのブログでも著書を何冊か紹介している瀧本哲史さんも亡くなっています。まだ47歳だったと思いますが、瀧本さんも若かりし頃マッキンゼーに在籍して、神経をすり減らしていた生活を送っていたと思います。今の本業はエンジェル投資家でしたが、京都大学で教えてもいました。
両者ともここまで来るのには本当にストレスの多い日々を送っていただろうし、それが病気を呼び込む引き金になったかもと思われて仕方ありません。改めて投資の世界の魔力のすごさに感じいってしまいますが、命を削ってでものめり込む世界かもしれません。素人は生半可な知識と中途半端な気持ちで首を突っ込んではいけません。
さて、この本はぐっちーさんのそのアエラの連載をもとにしたものです。時間的にはかなり経っているものもありますが、その論旨は全く古びていません。

もっとも、ぐっちーさんの読者ならよく御存知のことばかり。
最初は「アベノミクス」についてですが、財政出動なんてのは昔からの自民党得意の「ばらまき作戦」の延長なだけ。金融緩和は金融危機の時には有効だけど経済成長を促すことはできない。よく言われるように金融政策は紐みたいなもので引っ張ることはできても押すことはできないのです。私の小学生の頃は日本は加工貿易の貿易立国と習っていたような気がしますが、今や輸出依存度は15%あまりで、内需主導の経済になっている。したがって円安は一部の輸出企業には恩恵かもしれないけど大多数の国民にとっては厄災しかない。そもそも自国通貨高で滅んだ国はなくて、処方箋が誤っているのでは。
アベノミクスは新鮮味もない蜃気楼でしかなくて「アベノリスク」だと。短期の株価はその時々の多種多様な動きと思惑によって変動するもので、アベノミクスの成果と誇っていた株価は1年で下がっている。まさに蜃気楼!
ところでぐっちーさんの処方箋は人口減少は受け止めて伸び盛りのアジアの国に進出して、そこで稼ぐべし、インバウンドを呼び込んで稼げばいいとのこと。今の人口減少の流れを短期で替える事は無理ですし、仮に効果がある政策をとってもそれが需要として効果が出るのは20年以上先。それならば海外の需要を取り込むしかないのです。GDPを政策目標にするのは間違いと言っています。いうならば一人当たりのGDP=生産性を目標にすべきでしょうか。それならば非正規雇用によって失業率が下がり人手不足になっている状況は褒められたものではなくて正規雇用が減っている現実を見れば政策の失敗でしかない。
ところでぐっちーさんは岩手県の紫波町の「オガールプロジェクト」にもかかわっていて、補助金をもらうことなく成功を収めています。そこでは紫波町自身が徹底した実情調査と検討を行いプロジェクトを進めています。地方創生などと言っても国の補助金を頼りに身銭を切ることもせずに進めているものばかりで、間に補助金の申請に適した計画と予算をでっちあげるコンサルなどというものが跋扈して、結果的に何年か経つと役に立たないばかりかお荷物になるような施設が残るとか、補助金の切れ目が縁の切れ目で忘れ去られるものがほとんど。地方創生という名の税金のバラマキが果たして持続可能性なものをもたらすのでしょうか。自分の身銭を切って採算が合うかどうかを真剣に考えて事業を進めていく、当たり前のことですが、国頼み、コンサル頼みで自分の頭で考えようとしない自治体のなんと多いことか。
ぐっちーさんに言わせれば人口減少で消滅する自治体が出て困るのは自治体だけで今までも地方は人口減少を受け止めながらやってきたとか。ちゃんとぽつんと一軒家でも生活していますし…
財政危機については今の日本は破たんとは程遠い状況で、これは日本国債が格下げされた時の日銀の反論(あの黒田さんがしています)は、今でも有効です。「日本は世界最大の貯蓄超過国であり、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている。また、日本は世界最大の経常黒字国であり、外貨準備高も世界最大(今は中国に次いでですが)である」
まあ、論点はその時々の時事トピックを踏まえて多岐にわたっていますので、是非一読いや再読してください。
最後にあの浜矩子と対談しているのがちょっと意外だったのですが、「アホノミクス」と「アベノリスク」で結構親和性が高かったのか。

コメント
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