怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

失われた20年の終わり

2011-12-01 20:27:58 | 
失われた20年とはなんだったのか。

著者によればバブル崩壊後の長い停滞は覇権国アメリカの逆りんに触れた日本に対する「日本異質論」「日本封じ込め論」を受けた長期の円高によりもたらされたもの。
1990年代は円の為替レートと購買力平価との乖離がマックス2倍をつけるまでになっていた。まさにその乖離が20年続いていた。
このような状態で日本企業が生き残るためには円高に見合う大変なコストダウンのプレッシャーを受けたわけです。
その結果は輸出産業での賃金引下げであり、それに波及しての内需産業での賃金切り下げです。こうしてデフレが定着していきます。
ユニットレーバーコスト(生産性見合いの労働コスト)は90年代半ば以降大幅に下落しました。
しかしこうして日本企業の高コスト体質は解消され
円高で鍛えられることによって世界最高品質の製品を高い生産効率の下で作ることのできるきわめて筋肉質な経営体質を持つにいたったのです。
今「日本異質論」は「中国異質論」へと変わりアメリカは「中国封じ込め論」へとシフトしています。
購買力平価との乖離もデフレの進行の中で徐々に解消されています。
1990年代から「失われた20年」は「日本経済を鍛えた20年」だったといえる用になったのです。購買力平価は1990年代初めの1ドル200円から2010年の1ドル111円となっています。
血のにじむような努力とデフレ不況に耐えながらここまで調整してきたのです。
アメリカにとっての脅威が中国になり日本に対する風向きが変わってくるともに円高が解消されてくれば日本経済は好循環になり長期上昇が始まる。
まったく希望の持てる展望ですが、今のところ円高は止まりそうもありません。
アメリカの大統領選挙をむかえオバマと共和党の泥試合はチキンレースとなっており、ギリシャに端を発するヨーロッパの混乱はますます広がっています。
アメリカもヨーロッパも政治が混迷しています。そして日本も東日本大震災、福島原発事故からなかなか立ち直れていません。
なかなか失われた20年が終わっていないみたいです。
しかし、しかし、確かに日本に対する底流は変わってきている気はします。法人税率とか関税とかいろいろ言われておりますが為替レートが圧倒的に企業業績に影響します。
今購買力平価まで為替レートが円安になれば景気は一挙に持ち直していくのでしょう。
悲観論ばかりでなく、こういう状況もあるのだということを確認するには最適ですし、こういう本を読んでまた投資マインドを鼓舞して・・・大きく含み損を抱えるのでしょうか。
いささか覇権国アメリカの意向で世界がすべて動いていくみたいな気もするのですが
いろいろな動きを捨象して世界経済をシンプルに見ればこういうことなんでしょう。



コメント
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