怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

進化しすぎた脳

2011-09-23 08:00:11 | 
脳科学は近年どんどん新しい知見が出てきている。「ほんまでっかTV」でも脳科学者の某がほんまでっかということをいろいろ言っているが、それなりに根拠あるみたいなんですが、ほんまでっか?
これは若手の脳科学者が高校生に講義したものを本にしたもの。
高校生といっても慶応義塾ニューヨーク学院高等部ということで、その知識は私なんか及びもつきません。
残念ながらいまや完全に文系脳になってしまい、化学物質名とか数式なんか出てくるともういけません。
でもそんなところはスルーしてわかるところだけ読んでいても抜群に面白く知的好奇心を刺激されます。

最後にまとめがあるのですが、そこだけ読んでも結構刺激を受けます。
そこからまた戻るといいかもしれませんが、図書館で借りた本なので読むだけで精一杯。それでも印象に残ったまとめのまとめをここに書いてみます。
人間の脳は必要以上に進化していて、脳をうまく使いこなせていない。現在の人間の脳の潜在的能力は、千手観音のように千本の手があっても使いこなすことができるぐらい?
しかし、脳の能力は人間の体に大きく制約されている。人間が成長していくときに脳そのものよりも、脳が乗るからだの構造とその周囲の環境が重要であって、その意味では、身体が脳を主体的にコントロールしているといっていい。
脳は環境に適応する以上に進化してしまって全能力は使いこなせていない。それはある意味大きな余裕を持っていることかも。
心とは何かという点では、人間は身体に「咽頭」を持つことによって(他の動物にはない)、言葉をしゃべれるように脳が再編成され、言葉を自由に操れるようになった。
人間は「言葉」を持つことによって抽象的に物事を考えることができる。そして「心」を生み出すのはこの「言葉」、ということは「心」は「咽頭」が作った!
では抽象的思考はなぜ必要か。おそらく生きるための知恵として、目の前にある多くの事象の中から隠れたルールを抽出するために重要なんだろう。
そして隠れたルールを抽出し、それを学習して応用するためには、記憶のあいまいさと学習の遅さがいかに重要か!正確無比な記憶は応用することができず、役に立たないんだと。
脳が事象を一般化する「汎化」するためには、ゆっくりと、そしてあいまいに情報を蓄えていく、それがわれわれの記憶だと。
記憶とはあいまいなものといわれると「そうか」と思うけど、そうすると記憶力がいいとか頭いいとは何なんだと思うのですが・・
そのあいまいさはどこから来るかというと「シナプス」にあるのですが、ここらあたりから段々ついていけなくなるのですが、脳の細部の仕組みに入っていきます。
なにやら漠然と思っていたことが次々とひっくり返されていくみたいで、面白いのですが、恐ろしくもあります。
行動の意識と無意識の境界がかわって、意識というものがすごく小さくなっていく気がします。
脳を理解しようなんてそもそも傲慢なチャレンジかもしれないと著者も言っていますが、だからこそもっと知りたい気分です。
文章もわかりやすく、読みやすいのですが読み応えあります。
コメント
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