怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

田中真紀子の正体

2009-06-25 21:51:02 | 
もう随分前のことなのだけど、田中真紀子の外務大臣というのは本当にひどい。改めてこの本を読んでみてつくづく思う。
確かに田中真紀子が外務大臣になった時には、世間みんな期待していたと思う。多くの外務省の職員も外務官僚自体も期待していたところがあったと思う。
しかしその期待は就任初日から裏切られていく。目つきが悪い、顔が暗いと言ってスタッフが配置転換される。まさに感情に任せた人事断行だった。
しかもそれを国家公務員法から説いて説明すると恫喝されたと記者会見で言う。テレビはそうした発言を面白がり、圧倒的に田中大臣の味方をする。こうした外務官僚とのごたごたばかりで注目を浴びるのだが、肝心の仕事はと言うと、不法入国した金正男の件はパニックになってすぐに強制送還。アーミテージとの会談はキャンセル、それも緊急の用事が入ったと言いながら国会図書館で勉強中?北京へ行けば中国に媚を売り、あまつさえ自分の指定したホテルのスイートルームが贅沢だと言ってキャンセル。その言い訳は嘘で固めている。アメリカへ行った時は自分の留学先の感傷旅行を優先してチャーター機を要求。聞いたことは秘密だろうと何だろうと得意げに話して国際問題になる。この本に書いてあることを読んでいると本当に反吐が出てくるような話ばかり。
しかしどんなに失敗しても大臣は人気があり、嘘で固めたことも追求されない。マスコミ特にテレビのワイドショーは大臣に都合が悪いことはみんなカットされてしまう。現場の記者が本当のことを知っていても放送される事はない。評論家がコメントしても都合の悪いところは編集されてしまう。悪代官の外務省一味に単身乗り込んだ正義の大臣の活躍が視聴率を稼げるから。
今改めてこの本を読んでみて当時の異常な報道には憤りを感じる。しかしこの構図は今でも変わらず、正義のヒーロー対悪代官一味(具体名は郵便会社とか社会保険庁になったり大阪府庁になったりいろいろ変わっていくのだが)というのはよくあるパターンです。
それにしてもこれだけ平気で嘘で固め、感情の赴くまま勝手気ままに組織を無茶苦茶にする人物の任命責任はどうなるのだろう。その任命者がやっとの思いで更迭すると支持率が急降下。そんな人間の本質を見ることもできず、もてはやしていたマスコミと国民の民度の低さは如何ともしがたいのではないでしょうか。それにしてもどうして田中真紀子がこれほど人気がある(あった)のか。もちろん角栄贔屓の残像と頭の回転のよさ(少なくとも彼女のコメントは今のお笑い芸人を越える鋭さがある。有吉がつけるあだ名より「凡人、軍人、奇人」のキレのよさはどうだ)もあるのだろう。しかし日本の政治に満たされないものを衝いているからこその人気ではないのだろうか。政治家も官僚もその点は真剣に反省しなくてはいけないのでは。
この本は未だに田中真紀子に期待するような風潮が残っているとすればもっと読まれていいかと思います。
コメント (10)
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