事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

沢木耕太郎

2024-06-06 16:40:08 | 本と雑誌
春に散る
ソニーでダウンして一気読み、読み終わった以上何か書くべきなんだろが・・・
沢木のボクシング作品と言えば東洋ミドル級チャンピオンのカシアス内藤とトレーナーのエディタウンゼントを描いた「一瞬の夏」というノンフィクションがあってこれはもう名作としか言いようがなかったのだが・・・

これはフィクション、時代は今から10年ほど前、主人公は作者とほぼ同じ段階世代(つまり当時60代後半)の元ボクサーでホテル経営者としてアメリカで暮らしていたが心臓発作を起したのを機に40年ぶりで日本へ戻る、わけありの邸宅を格安で借りられた上とっても面倒見のいいフシギな女の子と知り合えたのを幸い昔のボクシング仲間たちと共同生活を始めた、ある日偶然街で行き場をなくした若いボクサーを拾って家へ連れ帰ることになり・・・
この若い子が大変な才能の持ち主でとんとん拍子に世界へチャレンジすることになったのだが試合の直前になって網膜裂孔が発見される、さて彼らの運命は?
これは「明日のジョー」になるかと思ったが沢木の結末はちょっと違った、網膜剥離じゃ死なない(さう言えばジョーはホントに死んだんだろか?)ということもあるが判定でも強引にでも何としてでも彼を勝たせてやりたかった、それこそ内藤で果たせなかった夢をフィクションで果たしたかったのじゃあるまいか

一方主人公は心臓に爆弾を抱えてるしそもタイトルが「春に散る」なんだからこれはもう・・・ああ死なないでくれまだそんな年じゃないだろがと私にしちゃ珍しく切実にさう思っちゃった、つかまだ死んでないと信じてるよ、心臓止まっても電気ショックという手があるんだから

何の関係もないけど「波の音が消えるまで」で主人公にサーフィンを教えたナゾのサーファーが重要な役どころで登場してる、フェードアウトしたこのヒトがだうしたのか作者も心配してたんだろにゃ、この後2人の人生が交差することはたぶんないだろが