今夜発表だね、文芸誌を古紙回収に出そうと縛ってたら「文藝春号」に鹿島田真希「冥土めぐり」を発見、ちょいと得した気分で読んでみた
ヒロインの夫は何だかよくわからんアタマの病気で手足が不自由になったが動けないわけではない、二人はある日熱海と思しき温泉へでかけた、昔は超高級だったが今は格安になったホテルに泊まり美術館を見る、楽しいのかどうかよくわからない旅だがヒロインはこの生活にさしたる不満はない、障害者の夫はなぜか楽観的で誰からも親切にされてるし、実家にいた時は昔金持ちだったことを忘れられない見栄っ張りの母親と借金漬けの弟のおかげで散々な目に逢ってたのだから・・・
リアリティゼロ、障害者との暮らしも生活破綻者の家族たちも完全な想像の産物なんじゃなかろうか、いや小説は想像の産物に決まってるけど、読者が全然納得いかない、ホントらしいところが皆無な小説っておもしろいんだろか、もちろんおもしろいこともある、小説は何でもありだ、ナンセンスもファンタジーもホラーもミステリも・・・だけどこれはそういうものじゃなさそう、一応リアルを目指した小説らしいのだ、野球というスポーツも野球部という部活も全く知らずに「野球部」を書いた作者、障害や借金や貧乏を経験もしなきゃ取材もせずに「冥土」を書いたのじゃあるまいか?
追記-受賞決定とのこと、他の候補はどういうカスだったんだろなあ、言うことはそんだけ
新月譚 価格:¥ 2,205(税込) 発売日:2012-04 |
でもってこっちは直木賞候補
勤めた会社の社長に恋をした21歳のヒロイン、幸い社長も彼女を気に入って恋人同士になったのも束の間、高校の同級生が割り込んで強引に社長と結婚してしまった、ヒロインは整形して超美人に生まれ変わったがあんましいいことはない、だけど小説を書き始めたらめでたく新人賞デビューできて、恋人とも再会、だが奥さんにバレて凄まじい修羅場が・・・・
しばらくしたら恋人いわく「離婚したからもう心配ない」、わー、こいつ奥さんを始末したんだな、あれだけ騒いでた奥さんがあっさり離婚に応じるわけはないからこれは殺人に違いない、ようやくミステリになったんだ
と喜んだ私は大マヌケ、奥さんはそれっきり作中から姿を消したにもかかわらず死んだとか行方不明だとかいう話には全然ならないのだ、いったいどうなっちゃったんだ、リアリティを何だと思ってるんだよ?!
その後ヒロインは書き下ろしの長編で「日本で一番有名な賞」を獲る、あれ、それって芥川賞?いや殺人犯人が逃亡する話らしいから直木賞かな?どっちにしても何か違うような・・・ま、フィクションだからいっか、その後も多和田葉子さんばりに次々賞を獲って40代半ばには大金持ちになり、その金を使いまくって若いままの容貌を保っていた
そんなある日、すっかり老け込んだ恋人が「1億円貸してくれ」という、果たしてその目的は?
と一応ミステリっぽく紹介してみたが実はミステリでも何でもない、ほんとにこれが貫井徳郎の作品なのかよ、金返せ!!!!
これを候補に推したヒトへ、選考委員って全員作家だろ?自分らの生活が(少なくとも経済的には)こんなにアマイもんだと書かれて、怒らんヒトがいると思う?(案外いるかも、これミステリじゃないが故に有力候補かもわからんな)
追記-あ、書くの忘れてたけど「容姿がいい」ってのはスタイルがカッコイイことであって、顔がきれいなのは「容貌が美しい」じゃないかな(「キリョウがいい」って言い方もあって今ちゃんと変換せん、器量とは違うからね)、ヒロインは最初から「容姿」には恵まれてたのに「容貌」がパッとしないおかげで不幸だと思ってたのじゃないか、そこちゃんと書けばまた話は違ったかも
追記-ともあれ受賞じゃなかったとのこと、これは受賞作を買うべきかな?