ラバー・ソウル 価格:¥ 1,995(税込) 発売日:2012-06-02 |
こうして新作を楽しめるということが心底ハッピーだと思われる今日この頃-って別に純文も古典的名作も義務感で読んでるわけじゃないのだが・・・
前作「魔法使いの弟子たち」はSFアクションだったが、今回のは純正のミステリで超自然なところは全くない、特異な容貌の主人公を扱ってるが「メドゥーサ鏡をごらん」みたいな凄じいホラーでもない、だけど映像化はムリだろね、文字で「化物みたい」と書いてあれば読者は「はてどんな顔なんだろ?」と疑問は持ちつつもそういうもんだと思って読みすすむしかない、マスクをかけられるんだから耳はあるハズ、サングラスをかけるには一応鼻筋もないとマズいんじゃないか、とにかくも他人が聞き取れるようにしゃべれるんだから唇だってあると思うんだがな、ホウライエソ(こちら)はいくら何でもないのでは?にもかかわらず「人間の顔じゃない」・・・なんてものをたとえアニメでも造型できるわけはない、ま、ラジオドラマならありかも
そんなわけで誰とも顔を合わせずに暮らす主人公、大金持ちの上に唯一彼を特別扱いしない運転手が助けてくれるので、ネットで買い物したりたまにドライブしたり(クルマは持ってるし運転もできる、これは物語展開上の必須条件なのだ)ビートルズの資料を集めて雑誌に投稿したりしながら30半ばまでとにかくも生きて来た、直接会った音楽雑誌の編集者は一度は驚いたものの彼の知識とコレクションと文章に惹かれて付き合いを続ける、ある日主人公は撮影のためにヴィンテージな外車を貸してくれと頼まれて現場まで自分で運転して行った上にクルマの外へ出て撮影を見ていた、それまで例のないことだった、そしてその時・・・・・
以下略、これ以上何を書いてもネタバレはまぬがれない(事実すでにバラしてるヒトがいる)
だがこれだけは言える、オビ文にいつわりなし、これは「恋愛ミステリ」なのだ、こんなとんでもない犯罪を説明できる状況は恋愛以外にありえない、だからこそ安易に使うべきじゃないと昔佐野さんがおっしゃってたけどこれは安易じゃない極限の状態、そ、そうだよね、今も健在の佐野さん?
とは言え一つだけツッコミ、二人目の被害者がこの通りのやり方で殺されたんだったら、検視でバレないわけがない、偽装工作はもうちょっと考えてやるべきだ(「地の底のヤマ」参照)、いつだって私は揚げ足鳥をやめない
追記-こういうのをフェアじゃないとケナす石頭はもう死滅しただろな、犯人がホントのことを言わないのは当たり前、それは共犯者も同じ、わりと早い時点で「あれ、こいつ何か隠してるな」と感づくのにさほどスレッカラシである必要はない、井上さんはここに関してはっきりフェアだよ、これは是非何かの賞を獲っていただけますように