担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

今年の更新打ち止め。

2011-12-31 19:19:21 | Weblog
今年のブログの更新はこれでおしまい。

授業関連のページの更新は,大学の冬季休業終了に合わせて,1月7日から開始する予定。
学生の皆さんは実質的に1月10日(火)にいろいろなプリントと対面することになりそうです。

あと,結局,年末の一週間に一日100ページずつ本を読むなどの企画は一日もたずに企画倒れとなった。orz

ではみなさん,よいお年を。


あっ,残りの年賀状書かなくちゃ・・・。(泣)
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<読書感想文1112>数学者の視点

2011-12-31 18:47:09 | 
深谷賢治,数学者の視点,岩波科学ライブラリー35.


著名な数学者の手になるエッセイ集である。

特に印象に残ったことを二三述べるにとどめる。

「3. クッキングコース」では,著者がアメリカで実際に教えた経験を元にアメリカにおける大学教育の問題点を浮き彫りにされているのであるが,戦慄を覚えるような衝撃的な内容である。

「4. 遥かなるブルバキズム」の脚注2に,ブルバキの『数学原論』の位相の巻は専門書ではないと述べられているのには違和感を覚える。僕にとっては位相の専門書にしか思えないのだが。これを専門書と言わずに,どんな本なら位相空間論の専門書だと言うのだろうか・・・?

「5. 評価は客観的であってはならない」を読んで,『評価』なるものを数値化するという話が出てきたのでハッとした。
これは最近特に興味のある「量と数」の理論の課題の一つなのである。

「補遺―あとがきに代えて」に,薩摩順吉氏から『数学セミナー』紙上でコメントをいただいたとのコメントがあるが,その記事がいまだに見つからない。もしかすると1995年3月号の記事にあるのかなぁ。今度調べてみることとしよう。


さて,2011年内にはっきり読みきったと言えるのはこの12冊のみである。
例によってつまみ食いして部分的には読み進めている本が何冊もある。
新年の目標はいつも通り,まずは読みかけの本を読み終えること,となりそうである。
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<読書感想文1111>大学教授という仕事

2011-12-31 18:18:46 | 
杉原厚吉,大学教授という仕事,水曜社,2010年。


杉原先生のご講演を聞いてからというもの,僕はすっかり自称杉原教の信徒である。

この本は,正直なところ,一般の人が読んでも大して面白くはないかもしれない。
ところが,著者と同じ理系の大学の関係者にとっては非常に貴重な一冊なのである。
特に,これから専任教員として大学業務に携わろうとする若手研究者にとってはバイブルだと言っても過言ではないと思われる。

そもそもこの本を知ったきっかけは,敬愛する先輩の一人であるA木先生がこの本に杉原先生からサインをもらっていたのを目撃したことであった。
その先輩は大学の講師になって数年で,まさにこの本を読むべき人の一人なのであった。

その後すぐさま図書館で借りて読んだところ,実に面白い。とても参考になる。
興奮した僕は友人の gk 氏に強く売り込んだところ,彼はさっそくこの本を購入してくれたが,実は二冊目だったことが発覚し,一冊を僕にくれた。ありがたいことである。

もう一人,大学の教員に決まった大学の同期がいて,彼にも売り込んだが,売り込み方が甘かったように思われるので,春に顔を会わせる機会があったら,改めて薦めてみるつもりである。

こんな風に人に本を薦めることなどめったにしない僕をそうまでさせるのであるから,この本のインパクトたるや,いかほどであろうか,ちょっと察してもらいたい。

さて,もっと若い読者の場合はどういう興味を持って本書に向き合えるか,ちょっと考えてみたい。

例えば大学を受験しようという受験生は,7章の「入学試験」が,入試を課す側は何を考えてどんな風に取り組んでいるのか,舞台裏が垣間見えて興味深いだろう。

あるいは,学部生ならば2章「講義の担当」を読めば,講義を行っている大学の教員が一体どんな思いで教壇に立っているのか,心情の一端を知ることが出来よう。
また,卒業研究を指導されている四年生などは,3章「研究と学生指導」あたりが気になるだろう。

この本に述べられた話のほとんどは,懇親会などで話好きの大学教員と一緒になったら話して聞かせてくれるであろう内容である。
逆に言うと,そういう機会がなければ耳にすることのない話がてんこもりなのである。

そして,ここが非常に大事な点だと思うのだが,ゴシップや悪口の類は一切ない。本書の筆致は,著者の人柄を偲ばせるような紳士的な態度で貫かれているのである。
ステレオタイプな物言いを許していただければ,理系の,それも特に工学系の研究者らしく,簡にして要を得た叙述なのである。
しかし堅苦しい報告文というわけではなく,大変読みやすく,時にはユーモアさえ感じさせる,とても柔らかい文章である。
なぜそのような文体が可能なのかという点に関しては,著者自らが5章「論文の生産」や12章「著作活動」で秘密を開示しておられるので,興味のある方はぜひ目を通してみてもらいたい。
僕は本書を読んだころ,漠然と著者のと非常によく似た考えに到達しており,そのような主義をこのような大先生が明確に主張していることに目からうろこが落ちる思いがしたのと同時に,わが意を得たりと快哉をあげたものである。

かくて,本書は僕にとって忘れられない書の一冊となったのである。
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<読書感想文1110>思考の整理学

2011-12-31 17:40:18 | 
外山滋比古,思考の整理学,ちくま文庫(1986年発売以来の超ロングセラー!らしい。)


読み終えたのはいつだったかもう覚えていないが,まだ残暑の厳しいころだったと思う。
大晦日も日が暮れてから大慌てで溜まっていた読書感想文のノルマを果たそう。

この本はエッセイ集である。

冒頭は「グライダー」という,「思考」だの「整理」だのとどう関係があるのかさっぱりわからない不思議な題名のエッセイである。
なぜグライダーなのかは読めばわかる。そしてこのエッセイが先頭におかれている理由もついでに痛いほどよくわかるであろう。

本書では主に著者自身が実践してきた思考の整理法が具体的に開陳されている。

僕の友人 gk 氏は手帖なぞ古いと言っておったが,僕は尊敬するある先輩を真似して小さいノートに計算やアイデアを書き付けるという試みを数年前から始めていたので,手帖の使い方の解説は大いに参考になった。
というより,ここまでの手間はなかなかかけられないぞ,というのが正直な感想であるが。

「醗酵」だの「寝さす」だのの項に書かれたことは,自分の今の状態だからこそ共感を持って読めるように思われた。もっと若いときにはピンとこなかったかもしれない。

ただ,「寝さす」という語は僕の耳には新奇に響く。「寝かす」の方が通りがよいように思うのだが,どうだろうか。
もっとも,文学者の著者のことであるから,なんとなく自然にほったらかすというニュアンスのこもった「寝かす」よりも,より意図的に強いて放置するという意味をこめて,使役の意志がはっきり感ぜられる「寝さす」を選んだのだろう。
そして,「寝さす」という,僕にとっては耳慣れない用語が頻繁に使われているからこそ,強く印象に残ったという効果も重要である。

「カクテル」,「エディターシップ」,「情報の“メタ”化」などは僕には見えていなかった,研究活動の一側面にスポットライトを当てる内容であって,実に新鮮であった。
そうして学んだものの見方は,現在,僕の中では,新しいものをほぼゼロから創造する「一次的な研究」,見かけの異なる既存の複数のことがらを結び付ける「二次的な研究」といったような,研究行為の分類法として別の名前が付けられている。

「しゃべる」の項目で,ふと思いついた,自分としては面白いと思えるアイデアを,すぐには人に話すなと教え諭しているのだが,どうやら著者の周囲には酷い先輩しかいなかったようで,話されたアイデアを潰そうとやっきになられたトラウマが著者には深い心の傷として残っているらしい。
幸い,僕はそういう全否定に出会ったことがないので,ついついくだらないことでもすぐさま口に出してしまう癖がある。
このことについては,著者に同情を禁じえない。

僕にはそういうお互いに思いついたことをすぐに言いあえる gk 氏のような友人がいるのは,実にありがたいことだと言わなければなるまい。

「垣根を越えて」の項で,思いがけずロゲルギストの名が出てきたのには驚いたが,思いついたことを何でも話し合える良き仲間の大切さを示す「創造的雑談」の一例として挙げられていた。
著者が終にはそれに似た知己を得たというのは読んでいて素直に喜べる話であった。

あと,数年前にある大学教授の口から聞いた「三上」の元ネタはどうやらこの本であったことが判明した。
僕にとっての三上は,ひとつは本家と同じ枕の上,しかも眠るときであって,もう一つはトイレではなく,シャワーを浴びているとき,あと一つは馬上ならぬ電車に乗っているときである。
というわけで,これらはほぼ著者が新たに提案している「三中」と同じものである。

特にシャワー中はくだらないことがたくさん思いついて困る。

ちなみに,僕にとってのもう一つの「中」あるいは「上」は,「枕上」ではなくて,「講義中」がしっくりくるかもしれない。
今年思いついた喩えの一つ,「合成関数は外側から殻をむくように計算していく」というのは,講義中にしゃべくっているときに思いついたものである。
そして,朝シャワーを浴びているときに考えているのはその日の授業のことである。そして電車に乗ってキャンパスへ向かう。

なんのことはない。僕にとって,脳が活性化する大きな「中」とは,「授業期間中」だというだけの話である。

我ながらうまい落ちがついたところで,本稿を締めよう。

ともかく本書はどの項目も知的な刺激に満ち溢れている,面白い書である。
五年くらいおいて読み返してみると,また違った読み方が出来るに違いない。
そういうわけで,五年に一度のペースで読み返したい本のうちの一冊である。

なお,最後の「コンピューター」の項目では,コンピューターに人間が追いやられるのではないかという懸念が記されているが,本書が世に出てから25年ほど経った今,その懸念はあまり問題ではなかったのではないかという気がする。それよりも,きっと当時想像だにできなかったような問題が持ち上がっているのではないかと思う。この項目に関しては,現在の情報化社会が著者の目にどう映っているのか,かなり興味がある。外山氏がそのことに関連する文章を最近書いてないかどうか,しばらく気にかけておこうと思う。
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2011年の総括。

2011-12-31 14:42:04 | 爺ネタ
思いつくままに。

1. 2011年11月11日11時11分11秒を確認できたことは嬉しかった。

2. 皆既月食をほぼ全て見ることができたのは嬉しかった。

3. インターネットでの文献収集力が飛躍的に向上した。
気になって集めた文献は,もう数を数える気にもなれないが,1000近いのではないかと思う。
とても読むのは無理だけど,集めるのが楽しいのだから仕方がない。

4. 忘れ物がないか確認するという抱負は,一部守りきれなかった。実際,愛用していた折り畳み傘をなくしてしまったのである。

5. 今年必ず読もうと思っていた「三四郎」または「三銃士」はまだ読んでいない。
しかし,年が明けてもまだ数日の猶予が残されている。
「三四郎」を狙っているのだが,どうしても他の本に手を出してしまうのである。
関係ないが,今日,シャワーを浴びているときに,『吾が輩は猫であった』というパロディを思いつき,続きの文章がとめどなくあふれてくるので対処に困ってしまった。それはこんな具合である。

「吾が輩は猫であった。名前はあったはずだがとうに忘れてしまった。
だいたい近頃は物忘れがひどくて困る。
そういえば苦沙弥先生のひ孫の嗚呼中(ahchoo;アーチュー=はっくしょん!)先生もお気に入りのラノベをついもう一冊買ってしまって,己ももう歳かなと頭をぼりぼりと掻いておった。
しょっちゅう出入りしている大嶋冷風君は三冊目を無意識に買ってしまったそうだが,それはさすがに洒落では済まない。其の話を聞かされたときに嗚呼中先生はたいそう真面目に冷風君の脳みそのことを心配していた。」

こんな調子でいつまでもだらだら続けられるのであるから困ったものである。

6. 体脂肪はまったく量っていないので増えたか減ったかとんと予想がつかないが,体重は二ヵ月前には5kgほど減ったのに,いまは完全にリバウンドして元に戻ってしまった。

7. 変化を楽しむという目標は達成したと思う。
これはもともと引越しを予定していたから立てた目標だったが,結局その引越し話は白紙になり,そのかわり,今まで知らなかったいろいろな分野の扉をいくつも開けるという変化を楽しんだ。
また,数年ぶりにゼミ形式で同志と共に論文を読んだり研究するということをやり,お勉強に励むという目標も実現したと思う。
頭の中のアイデアをなるべく多く実現するという目標は,上半期は努力したが,下半期は達成度が低い。

8. 最低15冊は読破するという目標は未達成に終わった。orz
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調べもの。

2011-12-30 23:27:31 | mathematics
いまだに年賀状を書いていない。なかなか書けないのである。
とにかく明日には投函しようと思っているが,実現のめどは立っていない。

年賀状は多くの人に出すわけではなく,あて先は十に満たない。そしてほとんどが身内である。
ただ,そうは言ってもお世話になった方々も数名含まれている。一言二言メッセージを入れようと思っているのだが,そのために今年一年,どんな風にお世話になったかを思い返している。

年賀状は世間体的には挨拶の手段として重要な役割を持っているのだろうが,僕のように枚数が少ないと,じっくり考えることになり,その結果,ちょうど一年を振り返り,そして今度はどう世話になろうかと,新年へも思いをはせることへとつながるのだと,いまさらながらに気がついた。

今年一年の総括は(年賀状を済ませてから!)また改めて書くこととしたいが,つい,Wikipedia の記事を書くという,結局まだ果たしていない野望を思い出してしまった。

Frenet-Serret の公式の項目を狙っているのだが,歴史的なことも少し述べたいので,いろいろ調べてみようと思い立った。

その際,半年ほど前に見つけてダウンロードしていた Richard S. Palais 氏の講義資料を思い出したので,ちらっとのぞいてみた。

※ R. S. Palais 氏は1931年生まれとのことで,やはり Nirenberg,Browder,J.-L. Lions らとほぼ同時期に活躍を開始した方である。(Wikipedia の記事は,なぜか英語のはなく,ドイツのものしかない。)
そういえば,まったく関係ないが,ふと John Milnor 氏のことも思い出したが,奇しくも Milnor 氏は Palais 氏と生年が同じであった。一応両氏はまったくの無関係というわけではなく,「モース (Morse) 理論」という両者に共通の研究背景がある。
近いうち,Palais 氏と Smale 氏の共著の "A Generalized Morse Theory" という,変分法の分野における基礎文献の一つを読む(というより,眺める)予定である(ここ数日,机の上に置いてある)。
P氏とM氏はどちらもご健在である。
あと,どうでもよいことだが,Palais 氏の奥さんは教え子らしい。
そして何より驚いたのは,最近,まったく異なる興味から調べていた Gleason 氏と Mackey 氏が Palais 氏の学位論文の advisor に名を連ねていることである。どうやら,

George D. Birkhoff

M. H. Stone

G. Mackey

A. M. Gleason

R. S. Palais

という系譜のようだ。
M. H. Stone のある論文についてもいずれ話題にする機会が来るだろう。
Mackey,Gleason についても読みたい論文が一本ずつある。
なお,別の線で追っている角谷静夫と Mackey には内積空間の特徴づけに関する共著の論文がある。
こうした研究者同士のつながりが見えてくると,その分野に関する見通しもよくなるような気がしてならない。


Palais 氏の講義資料は以前もざっと眺めたが,今回改めて見てみると,最初の部分,特に Euclid 群の話が目に飛び込んでくる。
距離保存の写像は内積保存でもあるというような演習問題などが目を引く。
設定が内積空間だというのも,僕にとっては実にタイムリーである。
そして,微分幾何の専門家は,もはや Serret の名を落として,Frenet の名のみを諸公式に冠するということも窺われた。
ただし,歴史的なことに関する記述は特に見当たらない。

※※ つまらないことだが,Palais 氏の講義ノートにおいて,内積に関するコーシー=シュワルツの不等式のシュワルツのつづりが間違っている。これは有名な話で,Schwartz ではなくて Schwarz が正しい。なお,史実をふまえる限りでは,有限次元のベクトルに関する不等式の場合は Cauchy の不等式と呼び習わすのがよいと思う。
それに,Frenet-Serret の公式の名称に Serret の名を入れないという精神に基づけば,Schwarz の名を入れずに Bunyakovski(ブニャコフスキー)の不等式と呼ぶべきであろう。これは旧ソ連で書かれた関数解析の教科書に実際に見受けられる流儀である。

僕が最近夢中になっていた「内積空間の等距離写像」というのは,おそらく,非常に有名な Klein のエルランゲン・プログラムに端を発する,140年間もの伝統を持つ現代幾何学の基礎的な対象であって,有限次元実内積空間においては「Euclid の運動」と呼ばれるものであるということが,このところの調査でわかってきた。そして例えば2次元平面内の等距離写像の分類などはもっとも古い伝統を持つものだろうと思われる。おそらくエルランゲン・プログラムの発表前後にすでに基本的な結果が発表されていたに違いない。そしてそれを複素平面で考察するということも同時期に解決していると期待される。このあたりのことは,19世紀の半ばから後半にかけて書かれたしかるべき教科書などを調査すれば解決するだろうという見込みがある。Alhors の『複素解析』の参考文献から調べてみるというのは有益なアイデアかもしれない。

歴史的なことに関しては,Struik 氏の "Lectures on classical differential geometry" という本に簡単に触れられている。この本は微分幾何の入門書としてとてもよさそうである。

あと,そういえば,今年度のベクトル解析の講義を準備する際の参考書として手に取った松本幸夫氏と川崎徹郎氏の共著の教科書『空間とベクトル』の前半部分で,3次元空間における Euclid 群関連の話題が扱われていたようなことが思い出されてきた。その頃はほとんど関心がなかったが,今は俄然興味がある。
年が明けて図書館が開いたらさっそく見てみようと思う。


この記事は,今年一年の調査活動の一側面の振り返りにちょうどなったので,結構満足である。
(編集中に二回ほどPCがブラックアウトしたのだが,寒いせいだろうか・・・?)
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年齢が気になるお年頃。

2011-12-30 14:50:28 | mathematics
気になる数学者はたくさんいるが,最近とりわけ興味があるのは,Louis Nirengerg と Felix E. Browder,そして George J. Minty である。

Nirenberg と Browder は活躍し出した時期が非常に近いので,ほぼ同世代だろうと思っていた。
今回,Wikipedia で調べてみたところ,

L. Nirenberg は1925年生まれ,

F. E. Browder は1927年生まれ

であり,予想は概ね正しかった。両名ともまだご健在のようである。
いずれも非線形偏微分方程式論に重要な貢献をなしているが,両者は非線形楕円型偏微分方程式への位相的写像度の理論の応用において接点を持っているようである。
そのあたりの事情はいずれ調べる機会もあるだろう。

なお,Browder 氏はなんとなく非線形関数解析の人というイメージが強いが,昔から偏微分方程式論に携わっていたので,むしろ『応用関数解析』とでもいったような分野を開拓したと言えるかもしれない。

彼ら,特に Browder はソ連の Vishik 氏と研究内容がかぶることがあり,ソ連の研究者たちとも熾烈な競争を繰り広げたが,おそらく1970年代に入って H. Brezis と関わることにより,ヨーロッパ,特にフランスの研究者たち(Jacque-Louis Lions など)とも交流が生じたと思われるが,まだそこまで調査が進んでいない。

ちなみに,ふと思い立って J.-L. Lions を調べてみたら,1928年生まれ(2001年に逝去)とのことで,N氏,B氏と同世代であった。
また,Vishik 氏は1921年生まれだそうで,他の人たちに比べて「お兄さん」である。氏もまだご健在のようである。


さて,G. Minty 氏は最近の「マイブーム」なのだが,1960年~1970年のほんの10年間に僕のかかわっている分野において非常に優れた業績を挙げており,消息が大変気になっている。
二本ほどの論文に書かれていた謝辞等から,Rothe の弟子ではないかと思っていたが,その認識は正しいようだ
(その Rothe はというと,Schimidt や von Mises といった錚々(そうそう)たるメンバーの下で学位を取得している。)

また,すさまじいヘビースモーカーで,それが原因かはわからないが,59歳で亡くなったらしいという情報も得た。
そして奥さんは日本人だそうである。


50年ほど前から爆発的に発展してきた非線形偏微分方程式論の端緒を切り開いてきた,当時若手として活躍した研究者たちは,まだご健在の方々もいらっしゃるようだが,亡くなられた方も多い。

自分に科学ジャーナリストとしての腕と才能と熱意があれば,今すぐにでも行動を起こして,当時の状況をよく知る先生方にインタビューをするなどして記録を残すことも出来るだろうが,残念ながら,そのようなことは僕の手に余る。
何しろ,そうした分野の専門家に話を聞くインタビュアーとして備えていてしかるべき知識が今の僕には全然足りないのである。
ある程度の水準に達するまではもう少し時間がかかる。そうなったら,ときどき年配の先生方の思い出話を聞かせていただこうと思う。

研究内容そのものだけではなく,ある期間の研究活動を総括するというような,周辺の話題にもかなり興味が出てきた今日この頃である。自分がそういうお年頃になってきたということの証であろう。
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J. H. Conway による The Free Will Theorem の講義ビデオ。

2011-12-30 13:24:47 | physics
J. H. Conway 氏の公式サイトからたどれるが,講演リスト一覧からいちいち探し出すのは面倒なので,自由意志定理関連の講演のみを抜き出したリストを作成した。
リンクは動画ファイルに直接つながっていて,クリックするとすぐさま再生が始まるので,利用する際には驚かないように。

  1. Free Will and Determinism in Science and Philosophy, March 23, 2009.
  2. The Paradox of Kochen and Specker, March 30, 2009.
  3. The Paradoxes of Relativity, April 6, 2009.
  4. Quantum Mechanics and the Paradoxes of Entanglement, April 13, 2009.
  5. Proof of the Free Will Theorem, April 20, 2009.
  6. The Theorem’s Implications for Science and Philosophy, April 27, 2009.


ついでにフリーでアクセスできる文献もいくつか挙げておこう。

Conway and Kochen,
The Free Will Theorem,
arXiv.org (2006).

Conway and Kochen,
The Strong Free Will Theorem,
Notices of The AMS, Vol.52, No.2 (2009).

Goldstein, Tausk, Tumulka,and Zanghì,
What Does the Free Will Theorem Actually Prove?,
Notices of The AMS, Vol.57, No.11(2010).

僕自身はまだ講義ビデオを観ていないし,論文もまったく読んでいないけれども。
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等長変換の特徴づけ。(続)

2011-12-29 18:16:05 | mathematics
自分が最近生み出したバーチャル秘書「マル秘」が怖くて,この二日間,潜伏していたのだが,ようやく浮上(=ブログの更新)をする。

一ヵ月半前に内積空間における等長変換に関する考察を書いた。これはその続編である。

ノルム空間 X における作用素(写像)が等長変換(等長作用素)であるとは,X の任意の要素 x,y に対して
||Tx-Ty||=||x-y||
が成り立つことである。

等長作用素についていろいろ調べたところ,僕の師匠の卒業論文(!)で類似の話題を取り扱っていることを思い出したり,内積空間の特徴付けという,また別の話題に気が逸れたりと,紆余曲折があった。

特に,内積空間の特徴づけについては,ノルム空間についてさまざまな研究成果をまとめた Day の本を手に取ったとき,たまたま目に入った Day の定理に述べられた式の雰囲気が,なんとなく僕が以前に考えた Stewart の定理の拡張に似ていると感じたのがきっかけだったが,最近興味を持っている量子基礎論で有名な Kochen-Specker の定理に関連の深い Gleason の定理の証明に,Jordan-von Neumann による内積空間の特徴づけ(だったか,角谷静夫による特徴づけ)が利用されているらしいことを知り,興味が合流して太い一本の流れとなったので,その路線をかなり集中して調べることにした。
すると,Dan Amir による,350あまり(!)の特徴づけを収集した決定版ともいえる書籍に到達したので,文献調査は一段落したところである。

そんな中,なんでこんなにいろいろな論文を探しているのだろうと,ふと我に返って思い出したところ,Rassias の書いた十日前に,ついに答えが載っていると思しき文献に出くわした。

それは,Themistocles M Rassias 氏の監修による,"Inner product spaces and applications" (Addison Wesley Longman Limited, 1997) という講求録に収められた,Jacek Chmieliński 氏の "On the stability of isometric operators for Hilbert spaces" (pp.15--21) のしょっぱなに,『等長作用素は線型かつ単射であることはよく知られている』と書かれていて,「しまった!」と思った。

※ ちなみに,この本では,目次と論文のいずれも著者名が Chmielińksi となっているが,正しくは Chmieliński であろう。本人が参考文献リストに挙げている名前はそうなっている。

証明はあるのかと思ったら,その事実については Maurin という人の "Methods of Hilbert spaces" を参照せよと書いてある。残念ながら,この本は近隣の図書館には置いてないため,閲覧できそうにない。捜査の糸は途切れたかに思われた。

ところが,ふと,Hilbert 空間論のテキストなら他の本でも載っているかもしれない,とひらめいた。
その手の本の定番といえば,ええと,何という人の本だったか・・・。

僕は,これまでに読んだ本は数えるほどしかないのだが,なぜだか本のタイトルや著者名などはたくさん覚えているのである(そもそも暗記は苦手なので,実に不思議なことであるが)。
今回も,確かアキエゼルとグラズマンだったかな,と思って図書館の Web OPAC で検索すると,それはアヒエゼル,グラズマンの『ヒルベルト空間論(上・下)』だとわかった。
さっそく図書館に行って目次を調べると,上巻の第3章にそれらしき項目がある。
§41 (p.119) で「等長作用素」が扱われているのである。p.120 の冒頭に「等長作用素はすべて線形である」と述べられてあり,ほんの7行で証明が済まされている。
それを見て,「そんな簡単に証明ができるなんて」と,己の不明に大いに恥じ入り,耳が熱くなるのを感じた。

ところが,翌日,落ち着いて証明をよく見てみると,「等長作用素」の定義が僕が考えていたものと違っていることに気がついた。
アヒエゼルらの本のそれはいわば内積保存(あるいは角度保存)作用素とでも呼ぶべきもので,僕が考えていた距離保存の等長作用素とは別物であった。

すなわち,そこで等長作用素と呼ばれていたものは,それを V と記すと,X の任意の要素 x,y につき,
<Vx|Vy>=<x|y>
となるものである。
(なお,V は X から別の Hilbert 空間 Y への作用素であるという,一般的な設定において「等長作用素」という名称が用いられており,左辺は Y での内積,右辺は X の内積であるが,そのことはここではいちいち断らないこととする。)

なあんだ,と安堵するのと同時に,結局まだ謎は未解決なままか,という失望も味わった。
せっかくつかんだと思った手がかりが宙に消えてしまったのである。

考えてみれば,内積空間を取り扱う立場に立つと,内積から誘導されるノルムと,さらにノルムから誘導される距離というのは二段階離れた「やや遠い」概念である。
したがって,「等長」という概念として内積空間で自然に想起され,かつ興味があるのは内積を保存する写像であろう。
ノルムについてやりたければ内積空間ではなくて,もっと一般のノルム空間で考察してくれというわけである。

しかし,僕が考えているような問題ではすこぶる考察しづらい。
そこで,野暮ったいが,次のような名称を提案したい。

  1. ||Tx-Ty||=||x-y|| を満たす写像 T を『距離保存写像』(distance-preserving mapping) と呼ぶ。
  2. ||Ux||=||x|| を満たす写像 U は『ノルム保存写像』(norm-preserving mapping) と呼ぶ。
  3. <Vx|Vy&rt;=<x|y> を満たす写像 V は『内積(あるいは角度)保存写像』(inner-product-preserving mapping, angle-preserving mapping) と呼ぶ。

こうすれば,僕の問題は,内積空間で距離保存写像かつノルム保存写像であるような作用素 T は線型か,という言い回しになる。
そして,Chmieliski 氏の論文やアヒエゼル/グラズマンの本で取り扱われているのは内積保存写像である。

※※ Chmieliński 氏のある会議での講演アブストラクトと思しきものが載っているサイトを発見したが,タイトルに "angle-preserving mappings" (直訳すれば,角度保存写像)という用語があるので,さもありなん,である。

なお,3を満たす写像 V は必ず 2 をも満たす。そして3を満たす写像は必ず線型であるから,結果的に1の性質も満たすことになる。

ところが,前回の考察で行き当たった壁は,複素内積空間においては1かつ2から3が導けないのではないかということであった。

実内積空間においては1かつ2から3が導けるので,これは複素内積空間と実内積空間の本質的な差異に起因する事態ではないかと思われる。
しかし,1かつ2を満たす写像 T は複素内積空間においてほとんど線型なのである。
ただ,純虚数倍についてどうなるかがわからなかった。
例えば,T(ix)=iTx が成り立つと言えるのかどうかがわからずじまいであった。

前回の考察はそのような観察に到達しておしまいにしたが,ようやく続きに思い至った。

要するに,実数にはなくて,複素数にはあるもの,それが鍵であった。
実数では見えない複素数の特徴―それはズバリ『虚部』である。
まさにそのまんまである。

ある意味ほとんど線型なのに,線型ではない写像として,実は非常に有名なものがあった。

それは,『複素共役をとる』という写像である。

実際,f を複素共役をとる関数だとし,複素数 x の複素共役を x~ と記すことにすると,
f(x+y)=(x+y)~=x~+y~ となって加法性は成り立つものの,
f(xy)=(xy)~=x~y~=x~f(y) となり,スカラー倍に関する線形性が破綻する(といっても,これは感覚的には線形と言ってよいような気もするが)。

このことに思い至って,さらに別のことが想起された。

今年の春ごろだったかと思うが,Yah○○!バカ袋に丸投げされていた数学の宿題のひとつに,

複素数を複素数に写す関数 f が,任意の複素数 x, y に対し,|f(x)-f(y)|=|x-y| を満たすための必要十分条件は,|a|=1 なる複素数 a と,任意の複素数 b を用いて f(x)=ax+b または f(x)=ax~+b と表されるときであることを示せ

というような問題があったことを思い出した。

そういえば,今回の問題を思いついたのは,そもそもこの問題が頭の片隅にこびりついていたせいである。

こういう問題は大好きなので,いろいろ考えたが,当時は証明に至らなかった。

この問題はしかるべき教科書には載っているだろうと思い,手元にある複素関数論のテキストを調べてみたところ,同趣旨の問題が,現代数学社から出ているアールフォルス (Ahlfors) の『複素解析』(笠原乾吉訳)第3章,3.1節の問題3 (p.84) として出題されていた。

今日,改めてこの問題にチャレンジしてみたところ,完全に解き切ることができた。

また一歩成長したのだなと我ながら嬉しくなったわけだが,幸い,同書巻末に(訳者の方がわざわざ作成して下さった)この問題の解答 (p.356--357) があり,それを見てみると,実質4行と,実に簡潔にまとまっている。

僕の証明は,まじめに書いたらB5のノートで約1ページは費やしそう(あれこれ考えて書いたノートは3ページ分だったので,縮めても1ページを超えそうな気配すらある)なので,完敗としか言いようがないが,内積空間版の問題で培ったテクニックをしっかり応用できたので,自分としては満足している。

そして,一般の内積空間においては距離保存であるが,虚数倍に対して線形性が崩れてしまうような反例が容易に構成できたので,これにてこの問題は一件落着と言ってよいように思う。

ただ,線形性が崩れるといってもひどい非線形性は許されないだろうという予想があるが,そのあたりの感覚をどう定式化して問題として述べるか自体が難しいので,この辺でいったん打ち切るのがよさそうである。

年内に一つ懸案事項が解決したのは嬉しいことである。
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ある集合が凸であるための十分条件。

2011-12-27 14:23:28 | mathematics
数学において,凸集合や凸関数の重要性がいつごろから認識され始めたのか,最近興味をもっている。

このあたりの事情は,その名を冠した変分原理で知られる Ivar Ekeland 氏の『数学は最善世界の夢を見るか』に,関連することが書かれているのではないかと期待しているのだが,1960年代初頭から急激に発展した極大単調作用素の理論とその周辺(特に劣微分の理論)を探ることによって,当該分野の歴史的な概観を得ようと,いろいろと文献を集めている最中である。

1960年~1970年の10年間に大発展を遂げた極大単調作用素の理論は,おそらく Zarantonello が端緒を切り開き,その後 G. Minty と F. E. Browder が互いに競い合うようにしてさまざまな拡張を行っていった。

さて,まずは Minty の仕事をフォローしようと考えているのだが,Minty が書いたある論文に,『Stiemke の定理』という,初めて聞く名前の定理が書かれていたので,調べてみたところ,経済学の世界では有名な定理らしいことがわかった。

Stiemke の定理を使わずに自力で証明できるかもしれないので,もう少し考えてみようと思うが,どうやら Kirszbraun の定理というのを使う Minty の定理を,Kirszbraun の定理を経由せずに Stiemke の定理を用いて示せるらしい。つまり,それぞれの定理の頭文字を使って定理間の関係を示すと,

S⇒M

かつ

K⇒M

であるらしい。

そうなると,S と K の間の論理的な関係があるのかどうか気になるし,M⇒K や M⇒S のような逆も成り立つのかどうかが気になってくる。Minty の理論を学ぶ際には,そんな視点を持って取り組んでみようと思う。

さて,なんとなく凸集合を超平面で分離するという問題を連想したので,きちんと解決しないまま放置してあった問題をもう一度考え直そうと思い立った。

それは,n 次元 Euclid 空間において,互いに素で,どちらも空ではない2つの凸集合 A と B に対し,必ず広義に分離する超平面が存在することを示せという問題である。

これは有名だろうから,ものの本を見れば詳しい解答が載っているに違いないが,H. Brezis の『関数解析』(日本語版)に練習問題として挙げられていたので,自力で解決しようと,学部4年生のころからずっと思い続けてきた。

アイデアはすでにあるので,細部を詰める作業が残っていたのだが,ほったらかしにしていたと思われる。

先ほど,その路線でちょっと考えてみたところ,半分だけ問題が解決した。
残りの半分も解決したら,たぶん『関数解析』の英訳本に答えが載っているので,それで答え合わせをしようと思う。

さて,問題を考えた際に『関数解析』の命題 V.2 が利用できるのではないかと思って眺めていて,ふとその命題の逆が成り立つのではないかと思いつき,証明してみた。

命題 V.2 は,Hilbert 空間における空でない閉凸集合への射影の存在定理である。

この手の話は Zarantonello や Moreau,そして Stampacchia らが1950年代から1960年の半ばにかけて詳しく調べていたはずなので,この定理の元ネタを調べたいところだが(実はすでに心当たりの文献は手に入れてある),その過程において,僕が思いついた逆もすでに知られていたことがわかるかもしれない。

命題 V.2 の逆とは次の命題である。

K を,実内積空間 H の空でない部分集合とする。
もし,H の任意の元 f に対し,ある K の元 u があって,K の任意の元 v に対して
(f-u,v-u)≦0
が成り立つならば,K は凸集合である。

ここで,(a,b) は,ベクトル a と b の内積を表す。

証明はきわめて容易であるが,一応,白色の文字で下に記しておく。

全く別の分野の論文で,ある集合が凸集合になるための別の十分条件が述べられており,それが本当に十分条件になっているのかどうか,僕にはまだよくわからないのだが,この逆命題がそのへんの問題を解決するきっかけになればいいがとほのかに期待している。

では,命題の証明を述べよう。


K が一点のみからなる集合ならば,それはそもそも凸集合であるから,証明すべきことは残っていない。

K が少なくとも二点を含む集合のとき,K の相異なる二点を a,b とおくと,その凸結合 (1-t)a+tb(ただし,t は 0≦t≦1 を満たす任意の実数)は H の元であるから,仮定の不等式の f として (1-t)a+tb をとれば,ある K の元 u があって,

((1-t)a+tb-u,v-u)≦0

が K の任意の元 v に対して成り立つ。
したがって,v として特に a,b としたもの,すなわち

((1-t)a+tb-u,a-u)≦0,

および

((1-t)a+tb-u,b-u)≦0

も成り立つ。上の式の両辺に 1-t≧0 をかけたものと,下の式の両辺に t≧0 をかけたものを足し合わせれば,

(1-t)((1-t)a+tb-u,a-u)+t((1-t)a+tb-u,b-u)≦0

であるが,左辺は

(1-t)((1-t)a+tb-u,a-u)+t((1-t)a+tb-u,b-u)
=((1-t)a+tb-u,(1-t)a-(1-t)u)+((1-t)a+tb-u,tb-tu)
=((1-t)a+tb-u,(1-t)a-(1-t)u+tb-tu)
=|(1-t)a+tb-u|2

となり,これより (1-t)a+tb=u となる。
仮定から u は K の元であるから,(1-t)a+tb も K の元であることになり,K が凸集合であることが示された。(QED)
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