担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

酸化還元反応と正負の数の計算規則。

2019-03-02 00:51:45 | chemistry
歴史的な事情により,電気現象を担う実体である電子の電荷は負の数として扱われており,化学反応における電子のやりとりや電気回路における電子の流れを考える際に頭がこんがらがりそうになる。

ところで,酸化還元反応における原子の酸化数の変化を考えることは,負の数を引くことが正の数を加えることと同じ効果をもたらすという計算規則を実感する良い機会であるように思う。

例えば電解精錬などで銅でできた陽極が銅イオン (II) として水溶液中に溶解していくという,「電子を吸い取られる」酸化反応は

Cu → Cu2+ + 2e-

というイオン反応式で表せるが,銅原子の酸化数は「-1 の電荷をもつ電子を 2 個失ったので,0 から +2 に増加した」ということになり,これは

0 - (-2) = +2

という,日本では中学1年で習う大事な計算規則に対応する。

なお,電子を受け取って酸化数が減少する還元反応では,例えが高校化学で必修ともいえる,硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液におけるマンガン原子の酸化作用(マンガン Mn 自身は還元される)

MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O

における Mn 原子の酸化数の変化

(+7) + (-5) = +2

のように,正の数と負の数の和に関する計算規則が利用されている。


こんなわけで,酸化数の変化の計算は正負の数の加法・減法を理解する上でとても良い題材だと思うので中学1年の数学に取り入れてはどうかと思うのだが,どうかなぁ。
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Hessの法則。

2015-09-28 19:44:16 | chemistry
久々に熱化学で重要な Hess の法則を思い出す機会があった。調べてみると,Hess の法則が発表されたのは 1840 年で,エネルギー保存則(熱力学第一法則)の提唱に先んじていたとのことである。ちょうど最近,エネルギー概念の成立の過程が気になっていたので,自分としてはタイムリーな話題であった。

エネルギー概念の歴史については,めぼしい書物にあたるつもりである。

ちなみに,Hamilton がいわゆる Hamilton 形式による力学の再定式化を発表したのは 1833年から 1834年にかけてのことで,それは Hess の法則よりもさらに前のことである。詳しく見てはいないが,Hamilton はエネルギーという言葉は使っていないように思われる。

こんな基本的なことすらおぼつかないというのは,いつものことながら,己の無知さ加減にあきれるばかりである・・・。
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杉は過ぎ去ったか。

2013-04-04 20:35:51 | chemistry
そろそろスギ花粉は過ぎ去ったろうか。

少なくともピークはという話である。

毎年花粉症に悩まされ続けてきて,ようやく理解してきた。おおむね,3月は「スギ月」,4月は「ヒノキ月」とみればよいようだ。

以前に行った検査で僕はスギ花粉だけでなくヒノキ花粉にも高いアレルギー反応を示していたので,今月も花粉症に苦しめられそうだ。

ただ,先週あたりから目のかゆみはかなり軽減された。くしゃみは起床時と就寝時を中心にときどき出るが,辛いというほどではない。

鼻水は止まっていない。確か一ヵ月くらい前に開けたティッシュの箱がもうそろそろ空になりそうな勢いである。

こうしてみてみるとピーク時と大して症状が変わらないような気がしてきたが,目が楽になったのはやはり大きい。

城ジイたちの叫びを無視してマスクを着けずに暮らして早二週間は過ぎ去ったろうか。それでもこうして無事に生き続けている。
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新元素。

2012-10-06 22:37:38 | chemistry
9月27日付のニュースで,理化学研究所が113番目の元素の合成に成功したことを知った。

さっそく Wikipedia で調べたところ,原子番号92のウラン,93のネプツニウム,94のプルトニウムあたりまでが天然の元素で,それ以上の原子番号を持った元素は人工的に合成されたものだという。そもそも原子核が大きすぎて不安定であり,すぐに崩壊してしまうようだ。

ちなみに,ウランは天空の神ウーラノス,ネプツニウムは海の神ネプチューン,プルトニウムは冥府の神プルートにちなんでつけられた名称だが,ネプチューン(ポセイドン)やプルート(ハデス)からみて,ガイアの子ウーラノスは祖父にあたるのではないかと思う。ジュピター(ゼウス)にちなんだ名を持つ元素があるのかどうか調べていないが,なければなんだか片手落ちのような気がする。

112番目の元素まではすでに存在が確定されているが,113番目以降はほとんど発見されていないようだ。ただし,114番と116番はすでに見つかっているらしい。いずれも発見グループが関与する研究所にちなんだ名称がつけられているので,そうした慣例に則れば113番目はジャポニウムではなくニシナニウムが妥当だと思うが,領土問題をきっかけとしてナショナリズムが高揚しつつある今,日本の国名を付ける方が支持されやすいかもしれない。もしそうしたければ,せめてジャポニウムじゃなくてニッポニウムにすべきだと思うのだけれど。

なお,元素名が確定する前は,ウンウントリウムという暫定的な名称がついている。ウン=1,トリ=3である。原子番号はいくらでも大きくできるかどうかは気になるところだが,ノーベル賞物理学者のファインマンが,電子の速さや Dirac 方程式などから考えて137番元素が限界だろうと言ったらしい。これはウントリセプチウム(セプト=7)が公式の名称だが,非公式に ファインマニウム と呼ばれることもあるらしい。すでに名前が予約されているようなものだが,いつの日かこの元素が本当に発見された暁にはなんと命名されるのか気になるところである。
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気になる言葉。II

2010-12-28 23:55:55 | chemistry
ホットケーキなどを膨らませる元となるもの。

それはベーキングパウダーという魔法の白い粉である。

ところで,中学でも習う有名な化学反応のひとつに,炭酸水素ナトリウムの熱分解がある。
それは

2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2

という化学反応である。

炭酸ナトリウム Na2CO3 は食べても無害なのかどうかはよくわからないが,僕はこれまで,この反応で生じる炭酸ガス CO2 が,ホットケーキを膨らませるのだと思ってきた。

そしてこれは重曹とも言うものだと思っていた。

ところが,ふと,その知識は正しいのか,という疑問が生じた。

そこである辞書を調べてみると,
・ベーキングパウダー=ふくらし粉
・重曹=重炭酸ソーダ
という,別々の説明しか見当たらなかった。

それで非常に不安になったが,別の辞書を調べてみて解決した。

重曹は重炭酸ソーダ(曹達)の略だそうだ。
だから「重曹=重炭酸ソーダ」である。

また,重炭酸ソーダは炭酸水素ナトリウムのことなので,
重曹=重炭酸ソーダ=炭酸水素ナトリウム
というところまで繋がった。

最後に,ベーキングパウダーは,重曹を主成分とする粉のことだそうだから,
ベーキングパウダー≒重曹
であって,僕の認識は間違っていなかったことがわかり,ほっと胸を撫で下ろした。
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試算。

2010-10-14 01:59:25 | chemistry
呼吸とは,簡単にいうと酸素取り込んで二酸化炭素を掃き出す行為である。
したがって,呼吸によって炭素原子が体外に排出される。
だから,

呼吸をするだけで体重は減少する!

これは実に素晴らしい着眼点ではなかろうか。

ヒトが呼吸をするとき,吸気よりも呼気の方に二酸化炭素が多く含まれる。
これはつまり,取り込んだ酸素分子 O2 に炭素原子をひとつ付け加えて CO2 に加工して体外に排出するということである。その差は炭素原子分の質量であり,それが体重の減少量になるというアイデアである。

では,呼吸によって一日に成人男性の体重はどれほど減るのだろうか?以下に試算してみよう。

試算に当たってはなんらかの仮説を立てる必要がある。今回使用したのは次の仮説である。ただし,僕の個人的な全くの思いつきに過ぎず,科学的・医学的な裏づけがあるかどうかは不明であることをお断りしておく。

仮説:細胞内における好気呼吸によって得られた熱量の一日あたりの総和が基礎代謝に等しい。

好気呼吸とは,グルコースの燃焼である。手元にあった「理解しやすい化学I・II 改訂版」という高校生向けの参考書によると,グルコースの燃焼熱は 2867 kJ とある。

グルコース 1mol から CO2 が6mol生成されるから,C を 1mol,二酸化炭素という形で体外に排出するとき,477.8 kJ の熱量が発生したことになる。

同書によると熱の仕事当量は 1cal=4.19J なので,カロリーに換算すると 114.0 kcal ということになる。

成人男性の一日の基礎代謝を1500kcalとすれば,一日に体外に排出される炭素の物質量は 1500÷114=13.16 mol ということになる。

炭素の原子量は1molあたり12gとすれば,一日あたり,成人男性の体重はじっとしているだけで実に158gほど減少することになる!


す,少ねぇぇぇぇ!


い,いや,待てよ。よくよく考えてみれば,呼吸だけでご飯一杯弱の重さ分が消費されると思えば,結構でかいんじゃね・・・?

一週間も経てば1kgちょっと体重が減る計算である。1ヵ月では5kg近くもやせられる!

なんだか,究極のダイエット,『横になって呼吸をしているだけでやせられる楽チンダイエット構想』が現実味を帯びてきたぞ。

もっとも,試算に使用した仮説が正しければ,の話だが。

それにもちろん,一切何も口にしないで横になって呼吸をしているだけで一ヵ月間生き続けられれば,の話でもあるが。
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隠す。

2010-03-02 23:51:00 | chemistry
不活性ガスのひとつにクリプトン Kr がある。

英語のつづりは Krypton であるが,kryptos(ギリシャ文字だと κρyπτoσ なのかな?)はギリシャ語で『隠れる』という意味らしい。
なかなか発見されなかっただろうから,「隠れていた元素」といった意味合いであろう。

で,ふと気づいたのだが,暗号作成・解読法 cryptography の crypto- という接頭辞も同じ語源ではないだろうか。

暗号は重要なメッセージを人の目から隠すことが目的である。
適切な訳語ではないが,cryptography は,さしずめ『隠蔽術』といったところか。

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中央試験・化学編。

2010-01-18 00:17:18 | chemistry
センター試験,平成22年度の化学Iをやってみた。

70分間くらいでどうにか全問を解き終えた。自己採点結果は87点。
60分間で解けた分は,それから-10点くらいで77点といったところか。

かなり易しかった昨年度よりは難化したんじゃないかなぁ。
平均点は低めに63点±1点と予想してみる。
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計算の合わないこと,合わないこと。

2010-01-14 23:26:52 | chemistry
高校化学の物理化学分野は計算問題が中心で,なかなか難しい。

苦手意識の残る溶解度の基本問題に挑戦したら,立式までは正しいものの,その後の計算が合わないこと,合わないこと。
分数式の途中の式変形を間違えているせいで,電卓という飛び道具まで動員しているにもかかわらず,なかなか正答できない。

「計算の苦手な数学教師」を地でいっている自分に,ほとほと愛想が尽きる。

なんて書いているけど,実際にはあまり深刻に考えてはいないんだけどね。

蒸気圧が絡んだ問題もトラウマのひとつ。

陽イオン分析のミステリーも倒したい課題である。
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それは隠しコマンドのように。

2009-02-23 20:16:42 | chemistry
↓↓↑↓「下下上下」と入力するとα-グルコースが現れる。

↑↓↑↓「上下上下」と入力するとβ-グルコースが現れる。

これら以外のコマンドを入れると,アルデヒド基で還元したがる鎖式グルコースができる。

そんなゲームが欲しい。
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