担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

【高校数学のツボ】相加平均と相乗平均の不等式。

2017-12-25 23:55:54 | mathematics
過去にも話題にしたかもしれないが。

x と y が非負の数のとき,これらの相加平均 (x+y)/2 と相乗平均 √(xy) との間には

(x+y)/2≧√(xy)

が成り立つ。

これは非負の数が2つのときの不等式だが,n 個の非負の数についても同様の不等式が成り立つ。

ここでは 4 つの場合について述べる。ただし,扱いやすさも考えて,非負の数 a, b, c, d に対して

a4+b4+c4+d4≧4abcd

が成り立つかどうかを考える。

実は答えは簡単で,2 個の数に関する不等式を3回適用すればよい。今回取り上げたかったのは,そうした,不等式の反復適用というやり方である。

まず,おおもとの 2 個の数に関する不等式を

x2+y2≧2xy

と書き換えておく(最初に書いた不等式の x, y と同じ文字を使用しているが,それらとは別物とみなしていただきたい)。

x=a2, y=b2 とみれば

a4+b4≧2a2b2

が得られる。同様にして

c4+d4≧2c2d2

がわかる。これらを辺々足せば

a4+b4+c4+d4≧2(a2b2+c2d2)

となるが,右辺のかっこの中身は,x=ab, y=cd とみることによって

a2b2+c2d2=(ab)2+(cd)2≧2ab・cd=2abcd

となる。以上により,

a4+b4+c4+d4≧4abcd

が成り立つことが示された。等号は,a=b かつ c=d かつ ab=cd のとき,つまり a=b=c=d のときに成り立つ。
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関数方程式 f(f(x))=ax+b.

2017-12-16 02:10:26 | mathematics
Berge の "Graphs and Hypergraphs" (1973) という本をページっていたとき,p.40 に,実数 a, b に対し φ(φ(x))=ax+b を満たす実数値関数を求めよ,という問題が載っていた。

次のページに Menger によるという解があるのをチラッと見てしまったが,自分なりにこの問題を考えてみたくなった。

とりあえず,ギリシャ文字の φ を入力するのが面倒なので,f に変えておく。

そもそもとっかかりがほとんどないが,ふと,1次関数同士の合成は1次関数であるということを思い出した。合成関数の微分について教える時にいつも自分が言っていることであった。

というわけで,f(x)=cx+d とおいて,c と d を求めることにしよう。このとき,

f(f(x))=cf(x)+d=c(cx+d)+d=c2x+(c+1)d

となるから,これが任意の実数 x に対して ax+b に一致するとき,a が正の数なら c=√a ととり,b=(c+1)d となるように d=b/(1+√a) と選べばよい。
これがまさに Menger の解そのものである。

ちなみに,a=1, b=0 であるとき,定義域を x≠0 に制限すれば f(x)=x だけでなく,f(x)=k/x (k は 0 でなければどんな実数でもよい)も解となる。

あ,f(x)=k-x も解だな。


また,f(f(x))=x2 なんていう問題を考えたとすると,f(x)=|x|√2 という解がある。

さて,a が負の時,例えば f(f(x))=-x を満たす関数 f が存在するかどうか,気になるところである。なんかこういう問題,何年か前にも考えたような気がするのだが・・・。大阪大学理学部数学科の HP 上で公開されている『全国紙上数学談話会』の南雲先生の論文にそういう話題が載っていたような記憶があるので,それを調べようとしたら,そもそも数学科の HP 自体にアクセスできないという事態が勃発した。なんかメンテナンスでもしているのだろうか。

ところで,1次関数同士の合成は再び1次関数になるのだが,1次分数関数同士も関数の合成について閉じている。こうした,「あるパラメータを持つ関数の族で,合成操作について閉じているものは他にあるか」という問題も,前々から気になっていたことではある。

話があちらこちらに飛んでしまったが,f(f(x))=-x の解についてはちょっと考えただけでは全然わからなかった。Berge の本の p.41 にその解答が述べられている。Differential games の研究者である Rufus Isaacs という人の解らしいのだが,情報源は不明である。Menger の解についてもどこから引用したかはわからない。

こうした関数方程式の専門書に載っているかどうか,また今度調べてみよう。
コメント (2)
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