聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/7/11 創世記39-41章「ヨセフ、エジプトへ行く」こども聖書㉒

2021-07-10 12:56:18 | こども聖書
2021/7/11 創世記39-41章「ヨセフ、エジプトへ行く」こども聖書㉒

 先週からヨセフのお話をしています。ヨセフの父はヨセフばかりを可愛がりました。それで十人の兄たちの妬みは燃え上がり、遂にヨセフを捉えて、通りかかった商人たちに売り飛ばしてしまいました。今から四千年近く前の話です。帰って来ることなどまず期待できません。もうヨセフとは、二度と会うことはない、死んだ存在となったのです。
 ところが、そのエジプトで、ヨセフは生きていました。エジプトの高官ポティファルに買われて、彼の家で奴隷として働くことになりました。ヨセフはよく働きました。
 2主がヨセフとともにおられたので、彼は成功する者となり、そのエジプト人の主人の家に住んだ。3彼の主人は、主が彼とともにおられ、主が彼のすることすべてを彼に成功させてくださるのを見た。4それでヨセフは主人の好意を得て、彼のそば近くで仕えることになった。主人は彼にその家を管理させ、自分の全財産を彼に委ねた。
 神はヨセフとともにいてくださいました。そして、ヨセフの仕事を成功させてくださいました。その家の主人も、ヨセフが優秀だと言うよりも、主なる神がヨセフとともにいてくださるのだなぁと思いました。あの仕事もせずに、長袖の晴れ着を着ていた、お坊ちゃんのヨセフが、遠くのエジプトに行って奴隷として働かされたら、直ぐに倒れてしまうだろうと思ったら、違いました。主は、ヨセフをたくましく助けて、ともにいてくださったのです。ヨセフは、そこでエジプトの言葉を覚え、家を管理する仕事を覚え、エジプト人の主人に信頼され仕事を任されて、たくましく成長していったのです。
 ところが、そのご主人の奥さんが、ヨセフを陥れて、ヨセフは牢屋に入れられてしまいます。ヨセフは悪くないのに、濡れ衣を着せられて、捕らえられ、囚人になってしまいます。奴隷になったのも最悪と思ったのに、囚人になって牢屋に入れられたら、もっと最悪に思ったでしょう。暗く、汚く、恐ろしい場所ではなかったでしょうか。
21しかし、主はヨセフとともにおられ、彼に恵みを施し、監獄の長の心にかなうようにされた。22監獄の長は、その監獄にいるすべての囚人をヨセフの手に委ねた。ヨセフは、そこで行われるすべてのことを管理するようになった。
 牢屋でも、主はヨセフとともにおられました。主はヨセフに恵みを施し、助けて、そこにいる他の囚人を助けるようになりました。不思議ですね。主は、ヨセフがどこにいてもともにいてくださって、ヨセフの働きを祝福してくださったのです。神様は、私たちがどこにいてもともにおられます。私たちが行きたくないような所、そんなところにいくなんて最悪、と思う所でも、ともにいてくださいます。そして、そこで、私たちがすることを通して、最悪な場所で暮らしている人たちを助けるようになさいます。そんなことを、ヨセフの人生は私たちに教えてくれています。
 勿論、ヨセフにとって楽しい時間ではなかったでしょう。ヨセフがお兄さんたちに売られたのは17歳のとき。それから、23年、奴隷と囚人としてヨセフは生きていました。いろいろな事があったでしょう、ヨセフが牢屋を出たのは、40歳の時でした。とても長い長い23年です。早く牢屋から出たかったでしょう。いや、もう牢屋を出ることは諦めていたかも知れません。そんな時に、エジプトの王様を助けるため、ヨセフは牢から出されたのです。王が見た不思議な夢の説き明かしをするためでした。
15ファラオはヨセフに言った。「私は夢を見たが、それを解き明かす者がいない。おまえは夢を聞いて、それを解き明かすと聞いたのだが。」
 ヨセフは夢の中で、人の夢を解き明かしたことがあったので、それを伝え聞いたファラオが自分の夢を話したのです。他にエジプトにいた誰も、ファラオの夢の話を聞いてもさっぱり分からなかったのです。ただ一人、ヨセフだけがそれを解き明かしました。
29今すぐ、エジプト全土に七年間の大豊作が訪れようとしています。30その後、七年間の飢饉が起こり、エジプトの地で豊作のことはすべて忘れられます。31この地の豊作は、後に来る飢饉のため、跡も分からなくなります。その飢饉が非常に激しいからです。…33ですから、今、ファラオは、さとくて知恵のある人を見つけ、その者をエジプトの地の上に置かれますように。…35…これからの豊作の年のあらゆる食糧をすべて集めさせ…36…その食糧は、エジプトの地に起こる七年の飢饉のために、国の蓄えとなります。…」
 この言葉を受けて、エジプトの王ファラオはヨセフに言うのです。
40おまえが私の家を治めるがよい。私の民はみな、おまえの命令に従うであろう。私がまさっているのは王位だけだ。」
 こうして、ヨセフはエジプトを治めて、多くの人の命を救うのです。甘えん坊で、奴隷で、無実の罪で囚人だったヨセフが、エジプトの大臣になりました。牢から出されて、名前も与えられ、結婚して子どもも与えられます。牢屋から、国を治める働きに大きく変わりました。そして、国中の収穫を集めて、倉庫に蓄え、来る大飢饉に備えたのです。

 エジプトの王はここでは全く無力です。エジプトは当時の世界の超大国です。その王ファラオは「神の子ども」だと自称していました。世界一の権力者だと、思っていました。しかし、ファラオもただの人間です。神ではありません。飢饉を止めることも、どう備えたら良いかも分かりません。自分の夢さえ、どうにも出来なかったのです。そのファラオを助けたのは、囚人だったヨセフでした。もとは奴隷で、その前は遠くの野蛮人。そんな名前も知られなかったヨセフが、最高の王ファラオを助け、エジプトの命を救いました。こうして神は、ファラオたちのプライドを打ち砕いたのです。
 神は、人の支配や上下関係をひっくり返されます。神の子だと思い上がる人を辱め、一番苦しい思いをしている人々とともにいてくださいます。私たちが「最悪だ、終わりだ」と思った場所から新しいことを始められます。私たちがどこにいようとも、神は私たちとともにおられます。そして、偉そうにする人の言葉など気にせず、神のなさる働きを担うように、本当に尊い生き方をするように、招いて、そうしてくださるお方です。

「主イエス様。あなたこそ真の王でありながら、貧しく生まれ、飼葉桶に寝かされ、田舎者と笑われ、最後は十字架に処刑されたお方です。そのあなたこそ、世界を治めておられ、最も低くされている人をも慰め、強めて、高ぶる者を卑しめるお方です。どうぞ、私たちの人生も、そのあなたの不思議な御支配を現し、命の王の証しとしてください」
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