「特殊相対性理論とミンコフスキーとはミスマッチだ」と思う方もおられるかもしれない。そんなことをいう人は特殊相対論のことを知らない方だろう。
1905年にアインシュタインが特殊相対性理論を発表した後で、その3年後の1908年にミンコフスキーがその幾何学的な意味を示した。
私は相対論の講義を聞いてよく理解できなかったが、このミンコフスキーの解釈を聞いてようやく特殊相対論を理解できるようになった。それ以来、これは私のお好みである。
雑談会でその分野の専門家であるEさんが、特殊相対論の話を一般の人のためにしたのだが、わかりやすくという意図のためにかえって理解が難しくなっていると感じた。
そのときに技術者だったKさんがE=mc^{2}という式がどのように導出されたかをまだ知らないと言っていたので、その説明をしたいと考えるようになった。
私の勤務していた大学の工学部には特殊相対論を教える科目はなかった。それで原子力工学の基礎を教えるために2回と半分くらいの授業時間を使って特殊相対論の初歩とE=mc^{2}の導出を講義していた。いわば、目的志向の講義であった
講義のプリントをつくって学生に配ったが、その記録は小著「数学散歩」(国土社、品切れ)に載せてある。もちろん、この講義のプリントはもっと他のことも書いてあるが、それらは授業で取り扱わなかった。
そういうことで、ミンコフスキーのアイディアにもとづくローレンツ変換の初等的な導出をしようかと考えているこのごろである。
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