著者の石井光太さんの文章は解りやすくて何冊目かになると思います(いい加減)
私の前説といたしまして、幼児・少年期という脳の発達期に継続的な虐待などを
受けた場合、脳の発達に影響を及ぼすと言われております。ハイ
取材は少年院から始まっております。
職員へのインタビューやNPO法人の自立施設の元薬物中毒患者の怖い施設長
へのインタビュー、もちろん非行少年少女へのインタビューもあります。
もちろん、本書は生育環境に問題があって非行に走ってしまったという事例を
集めて一冊の本にしてあるのだと思いますが、「親が薬物中毒者」、
「ネグレクト(育児放棄)家庭」、「親が暴力団員」などなどなのですが、
親の問題と一度非行(性非行を含む)に走ってその中で友人が出来るて
本人が更正しても心の緩みや社会から挫折した場合、意図もたやすく
『元の世界に戻りやすい環境』が出来ているということも問題です。
かといって、隔離するわけにもいきませんから、更正を目指す子供たちの人的環境
に非常に気を遣わなければいけない、ということを改めて感じました。
社会性・生育環境・広い世界観・更正するための人的環境
以上に上げたもの以外に精神科医の介入も欠かせないものだと思います。
今、各少年院などでは更正プログラムの一環として「SST(ソーシャルスキル
トレーニング)」を取り入れております(他にもあるのでしょうが・・・)。
今、よく書籍が出ていますが「認知行動療法」に基づいて「SST」があるわけです。
その他にも「社会的学習理論」も含まれます。ハイ
ちょっと、宣伝をいたしますと「認知行動療法」の要素を含んでいるものとして、
「当事者研究」もあり、私が7,8年ほど携わらせていただいております。ハイ
本線からすっかり脱線してしまいましたが、少年たちの全体を通して感じたのは
「良き相談者」に欠けていることだとおもいましたね。
「個人主義」が言われ始めて少しばかり経ちますが、生涯を通して一人では
生きていけないのは自明の理であります。
あなたに「良き相談者」はいますか?